祝宴
さて夕飯を用意するわけだが今日は残った缶詰に酒にと大放出だ、最後の夜を祝宴で、宴と言うには少しばかり寂しいがまぁ豪勢にだ、少なくとも酒は有るからな、焚き火とかの雰囲気も込みでなんとか体裁は保てている。
焼き魚にフルーツ缶にご飯に酒に、なんだこの合わなそうな食卓は、自分で作っておいてなんだが物凄く微妙な気分だな、せめてもう少し豪華に行きたかったが甘味とかはこの島だと最大限の贅沢品だし酒もまただ、これ以上を望むのは贅沢が過ぎる、ただ食を楽しみ杯を傾けるだけで十分だ。
長かった日々も今夜を越えればあっという間でもはや24時間を切ってしまった、1年も良く続いたが根気強いというより維持だなもはや、墨巣さんの事を抜きにしてもここまで来たら完走するという維持だけで過ごしてきた感が強い。
チビチビと舐めるようにウィスキーを胃に納めつつ酔いが少しずつ回っていく感覚を楽しむ、シングルだとちょっと酔いが回るには足りないのだがホロ酔い程度が適量だろう、理想を言うならばダブルで二杯ってのが酔いが完全に回っていい感じなのだが、親父に言わせれば適量の倍らしい、バカみたいな量飲む人が言うと全く説得力が無いが医者としての意見がソレらしい、ダブルで一杯って少し寂しいのだがバーとかだとソレで1時間近く粘れたりするんだよな。
店からしたら困った客だろうが貧乏学生がシコタマ呑んだら生活費なんぞ残らないからな、雰囲気を楽しむのと蘊蓄聞いたりするのとで、後は希に有る『学生さんか一杯奢ってやるよ』という豪気な方が現れるのを願いつつだ、先輩なんかはピアノ弾いたりして席料以外を払わずにシコタマ呑んだという逸話を持つが俺だと月に一度か二度か、ご機嫌なオッサンか、大学の後輩だと知った若者辺りがシングル出してくれた程度でそれでも幸運なのだろうが見てくれは美人な先輩と野郎を比べるのがおかしいのかね。
ただまぁ願わくば美人薄命の例えが先輩の身に有りますようにだ、あの変態は一回死なないと、いや死んでも治らないと思う、変態とバカは紙一重と言うかド変態はバカよりも質が悪いからな、あの人はもう一線を越えるとかいうレベルを越えている。
ご馳走も腹に収まれば残るのは皿だけだな、島で食べる最後の晩餐だが変わらずだ、明日は朝飯と片付けと待ちか、とりあえず温泉効果でグッスリ眠れる事を願うとして片付けやらを済ませるとしよう。
やはりあの温泉の効能の一つに安眠が有るなと確信しつつ万全の体と精神は久々の感じだな。
どちらかが欠いていたからだろうが実質1週間ぶりとかでそこまで久々でもない、だというのに懐かしいのは忙しいと思い続けたからかね。




