初探索
大中火島は火山島である、今は休火山として静かな島ではあるが、地面の下、奥底ではマグマが煮えたぎっている事だろう、となれば温泉くらいはある筈で、少なくとも普通の島より暖かいだろう、気の持ちようかもしれないが旅行で行った沖縄くらい暖かい気がする。
また黒潮に近く、魚もかなりの種類、量が住んでいる筈だ、残念ながら釣り道具はサバイバルキットに入っていた糸と針しか持ってないし、本格的な物を持っていたとして、釣りは時間が掛かり確実製に欠ける、1時間を釣りに費やすより山菜採りや虫ハントの方が楽だ。
かと言ってこの豊富な資源を前に何もしないのはもったいない、今回のように潮溜まりや浅瀬にいる魚を捕るのも手だが、もっと楽に確実に行くなら罠の設置だろう、今はまだ材料がないため無理だが何時かは作ろう。
約45分、帰りはそこまで時間をかけずに仮拠点まで戻った、来た道と言うか、通ったルートを逆順で戻る、森を突き抜けて戻る事もできただろうが安全性を求めて逆順となる。
海岸線まで北西に悪路で10分、海岸線を東側に30分、距離としては上陸地点まで直線で2キロくらいだろうか、荷物を抱えて森を進むには辛い距離だし一部ずつ移動させながら探索範囲を広げるとしよう。
荷物の一部とテントを背負い、残る荷物を木陰に隠す、盗む奴もいないだろうが念のためだ、三度海岸線を進み、途中から森の中を派手に枝葉を切り開きながら進み水場まで戻る、次からはこれが道代わりになるだろうが、今日の所はテントの設営と焚き火の準備で終わりだ、そろそろ日も暮れるし、灯りのない世界を動き回るほど危険もないだろう、今日から1年のスローガンを決めるなら『転ばぬ先の杖を持ち石橋を叩いて渡れ』だな。
ある程度開けた場所にテントを設営する、見付けた水源まで2分くらいの位置である。テントの中に荷物を置いてテント近くの枝を払い、地面に落ちた枝や落ち葉をある程度掃除し、適当な細い木を斧で二本切り倒し、払った枝葉を集める。
斬り倒した木の皮を剥ぎ、鋸で切り分け、斧でさらに小分けにしていく、適当に切られた薪を組み上げ、拾い集めた漂着物の布切れや葉や剥いだ皮を中央に据えて、サバイバルキットのファイアスターターを削り、焚き付けの細く裂いた木の皮やら裂いた布で作った糸屑やらに火花を散らして見るが失敗、二度三度と挑戦してようやく火を灯す。
生木ゆえに燃えにくいがちゃんとした水場を見付けた時は余分に斬り倒して乾燥させよう、1日2日では変わらないだろうが1週間もあれば細い木なら少しは違うだろう。




