お巡りさーん、マイマザー&マイブラザーズが迷子です
誤字脱字を発見した限り修正しました。
まだあるかも知れないので教えてくださると有難いです。
「ん、これで全員レベルと魔力適性は確かめたね。それじゃあ今日の本番いってみよう!」
そう言って元気に全身ストレッチをするコボルトマザー。
それを真似するコボルトベビー達。
それをニヤニヤと見つめる俺。
いろいろとシュールな光景がその場にある。
「それより先に聞きたいことがあるんだけど」
「ん?なんだい改まって」
「レベルは毎回アレをしないとダメなのか?」
「まあそうなるかな〜。技術が発展している妖精達はレベルを機械で測れるようにしたりしてるらしいけど、私らにそんな大層なモンは無いからね。
あ、でもコボリスは自分のレベルとかは賢狼のスキルのおかげで確かめれるさ」
気にすんなと高笑いをするコボルトマザー。
そうか俺はスキルのおかげであの長ったらしい詠唱をしなくても視れるのか、それは有難いな。
そういえばコボルトマザーは俺のステータスを視れていたよな。俺にも見えたりしないだろうか?
「んんっ!そんじゃコレより狩というモンをするよ。明日からあんたらは乳離れすんだから、しっかり見て覚えな」
コボルトマザーの言葉を前のめりになって聞いているコボルトベビーたち。目の輝きが先程のレベルと魔力適性を調べる時よりも輝いている。
肉が食えるということが本能的に分かっているのだろう。ヨダレが凄いことになっている。
俺はというと、賢狼のスキルでいったいどこまで視れるのかが気になって仕方ない。狩なんぞはココ掘れワンワンで、穴でも掘って捕まえれば良し。
「そうだね、とりあえずこの森の中で今のところあんたらじゃ絶対敵わない奴らを教えといてやろう。つっても、だいたいの奴らがあんたらより強いんだけどね。
先ずは森の中心にある巨樹ユグドラシルに棲む化物、白い悪龍グルル=ヴァイス。
次にこっから南方…じゃ分かんねーか、あっちの方向にあるそそり立つ巨岩の洞穴に眠る亜獣。
最後に大草原に時々現れる人間たちだ」
身振り手振りを入れて説明し、分かったね?と締めくくるコボルトマザー。
しかしコボルトベビー達は皆頭の上に?が浮いている。まあ話だけ聞いて分かるはずもないだろうから、仕方ないといえば仕方ないのだが。
俺は気をつけよう。
「それじゃあ私らは何が狩れるのかって話に戻るけどね。そいつらの説明は今から狩るんだし、面倒だから飛ばすね」
そう言うや歩き出したコボルトマザー。コボルトベビーたちと一緒に俺もついていく。
賢狼のスキルは今のところ使えない。
何故だろう?と頭を抱えるも打開策は出ない。
「草よ、お前は何という名前なのだ……」
考えても何も分からないからか、独り言が口から漏れた。
すると宙空に文字が滲み出してきた。レベルの時のように!
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レベル:4
名前:蛍光草
説明
夜光ってます。
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お、おぉ……。
やはり説明は短いが、賢狼のスキルを使用したということだろう。
使用方法はなんだろうか?名前を問うたら出てくるのだろうか。
確かめる必要があるな。
なので俺はすぐ近くにあった見た目の違った草に名前を問うた。
すると先ほどと同じように文字が滲み出す。
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レベル:2
名前:麻痺草
説明
食べると痺れます。
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レベルがさっきのと異なっているのは種類が違うからだろうか?
後やはり名前を問わなければならないのか?
もし意識に反応して賢狼が発動しているのだとしたらーーー
草、お前は何だ?
そういう思いを先ほどの蛍光草と同種であろう草にぶつけてみる。
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レベル:7
名前:蛍光草
説明
夜光ってます。
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どうやらレベルは同種の物でも異なっているようだ。
そして思考次第でそれが何か分かるという素晴らしさを発見。
何故先ほどまで賢狼が使えなかったのか疑問に思えてしまう。
嬉しさから他の草も何か思考で調べてみる。
………が、何も起こらなかった。
文字は一文字たりとも滲んでこなかった。
「もしかして一度調べた種は思考検索できるけど、調べたことのないのは調べなければならないとかっていう仕様か?」
もしそうなら、と調べ終わっている麻痺草と同じ見た目の草を思考検索する。
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レベル:1
名前:麻痺草
説明
食べると痺れます。
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その後に調べてない草を思考検索。
………
……
…
やはり文字は滲んでこない。
なので口にして誰何を問う。
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レベル:4
名前:多葉草
説明
生命力が高めです。
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おお〜、異世界にもクローバーはあるのか。
形はギザギザな葉が3枚という前世とは少し形が異なっているが、クローバーはクローバーなので良しとしよう。
嬉しくなっていろいろ賢狼で調べまくる。
紅い実をつけた小さな木や触ると棘がブワッと出る茨もどき、虫のような疑似餌で肉食性の虫を捕らえる食虫植物など。調べた物は多種多様だった。
時間を忘れて調べていると、いつの間にやら夕暮れ時になっていたようで辺りが赤く染まっている。
目の前には赤い光を浴びて、とんでもない勢いで出している水蒸気が炎のように見える草。踊っているような愉快な草。草草草草草草草草草草草、一面草が生えている大草原がそこにあった。
雄大な景色に感動する。
が、この時やっと気づいた俺。
コボルトマザーとコボルトベビーがいないことに。
「やっべ、夢中になり過ぎた………」
どうやら迷子のようだ。
コボルトマザーとコボルトベビーが!
え?
スキル賢狼の見物が使い勝手が地味なチート?
HAHAHAHAHAHA!
こんなのでチートなんて言ってたら技能喰者はどうなるんだって話なので無視しますw
主人公は基本的にアホなので、草を調べるだけで食べてません。
草最強宣言はもう少しお待ちください。
少し説明会が長いかもですが、家を建てるには地盤からってことで許してください。