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Re:KoboldSaga  作者: 空見鳥
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転生二日目ーーぶっ壊れ成長ーー

サービス♪サービス♪サービスタイム☆

「あっ…あぁぁぁあん♡ダメっそこラメなの〜〜〜♡そんな激しく吸っちゃラメ〜〜♡…ふ……んんっ、はっぁぁぁあぁあぁあんっ♡♡♡


はぁはぁ……。


コボリス…、母をイカせるなんて将来が楽しみネ♡」




「オロロロロロロ〜〜〜…おぅうえぇぇぇ………」


 目が覚めた。

最悪といっていい気持ちの悪い目覚めである。

 昨日のコボルトマザーの喘ぎ声があまりにもインパクトが強かったからだろうか?コボルトマザーの乳を吸ってイカすという吐き気を催す夢を見てしまった。


 あまり夢の詳細を思い出したくない。

 ただトロンとした顔のコボルトマザーは生理的にも生命体としての本能的にも、元人間としての価値観的にも無理な物だったと伝えておこう。

 そうだな、この気持ち悪さを知りたいならゴキブリをイカしてみれば良いと思う。たぶん伝わるはずである。


「あら、お早い目覚めだねコボリス。もっとしっかり寝ないと身体が上手く成長しないわよ〜」


 そう話しかけてくるコボルトマザー。

 夢の中でのことがあったので今はあまり顔を合わしたくないのだが、すぐ近くにいるのに無視をするのは如何なモノかと思うので適当に応答しようと顔を向ける。


 目を見張る、という言葉が今の俺の状況には適当だろう。

 そこにいるはずの巨大なコボルトが存在せず、少し小さくなったコボルトがいた。と言っても俺よりは8倍くらいは大きいのだが。


 俺は慌ててその大コボルトとの距離をとった。

 寝る前よりも力が入り、身体が軽かったので一気に距離を置くことができた。


「ハルルルゥゥゥウ!!」


 と、人間らしからぬ唸り声を本能的にあげる。

 全身の毛が粟立ち、牙や爪が俺の警戒に影響されてか大きくなる。

 俺の気に当てられて羽虫が飛びたつ。


「ぷっ、はっはっはっはっはっはっ!

こりゃたまげたね、母親の姿を見るなり威嚇をし始めるバカは初めて見たよ!


大丈夫さね、コボリス落ち着きな。今あんたが何で警戒しているのかは何となく分かるよ。

目が覚めて起きたらすぐ近くにいた母親の姿がなく、その代わりに母親より小さな同種がいてビックリしたんだろ?


よく見な、(あたし)だよ私。あんたの母ちゃんだ。

言っとくけど私が小さくなったんじゃなく、あんたが大きくなったんだよ?」


 え?これがコボルトマザーだっていうのか!?

 大きさが違うのは俺が大きくなったからって、そんな一日やそこらで急成長しないだろ。


「ん?まだ疑ってんのかい?だったら私の腹の周りを見な、あんたの兄弟達が見えるだろうよ」


 そう言われて大コボルトの腹周りに目をやる。

 そこにはクークーと可愛らしい寝言を漏らす自分と同じくらいの大きさのある兄弟達がいた。

 しかし、兄弟達の大きさが俺と変わらんのは当たり前だ。元から同じくらいの大きさだったのだから。

 やっぱりこの大コボルトがコボルトマザーだとは信じれない。


「あらあら、この子達を見て兄弟だと認識したのに私は信じれないって顔をしてるねぇ〜。ここまで我が子に疑われるのは愉快を通りこして泣けてくるね」


 そう笑いとばす大コボルト。

 どこも泣いてない、完全に愉快そうな顔をしている。


「よし、じゃあ次は周りの景色を見てごらん。あんたが大きくなったんだってことが周りの景色の見える角度の違いで分かるだろうよ」


 あ、この大コボルト意外と頭が良いぞ。

 モンスターなのに角度とか言えるとは、少し凄いと思ってしまった。

 不覚…。


 俺は大コボルトの言うがままに辺りを見渡す。

 すると昨日見た美しい景色が見える。しかし、あまり景色の見える角度に差は生じていない気がする。

 やはりこいつはホラ吹きのコボルトなのだろう。


「なに四足状態で確かめてんだい。あんたが昨日景色を見ていたのは二足だろうが」


 あ、そう言えばそうだった。

 二足で立つとしっかりと見える景色が変わっていた。

 うん、寝ボケていたんだと思う。これは仕方ないと思うよ。


「はぁー…。で、どうだい?私を信じる気になったかい?」


 深いため息ついたコボルトマザー。

 言っておくが今のは無しだから、俺は寝ボケていたんだ。何も俺の知能がコボルトマザー以下などということはあり得ませんから!

 元人間なめんなよ?


「何を凄んでいるんだい。ま、とりあえずその顔だと私を母親と認識したようだね。それと自分の成長も」


 そうだ、成長具合がオカシイのだ。

 いったい誰が一回くらいの眠りでここまで成長すると想像できるだろうか。

 確かに赤子の頃は第一次成長期で1年そこらで30センチくらい成長するけど、今の俺は一回の睡眠で2倍の大きさになっている。


 人間の赤子が1年かけて2倍の大きさに成長するのに対して、コボルトは一回の睡眠とか何と言うぶっ壊れ(ゲーム用語で、設定や物語などの上限を超えてしまっている、()わばチートのようなもの)ようだろう。


「クウゥー…」


 可愛らしい声をあげて他のコボルトベビー達が起き始めた。

 たぶんこいつらも勘違いするはずなので楽しく見させてもらうとしよう。


「ウォン!(母ちゃん!)」

「ん、おはようコボレイ」


 へ?今なんて言ったの?え、母ちゃんって言った?

 おいおい、なんで分かんだよコボレイくん。

 どう見てもそのコボルトマザーは昨日のコボルトマザーより小さいだろ!?


「ぶふっ!クックックッ……」


 俺がコボルトベビーのコボレイくんに対して驚きの表情をしていると、コボルトマザーがまた吹き出した。

 コボレイくんがいきなり笑い出したコボルトマザーに首を傾げている。俺がいきなり笑い出したコボルトマザーに首を背けている。


 それから残りの6匹(コボルトは1度に乳の数だけ産む)が起きてきたが、1匹たりともコボルトマザーを警戒したりしなかった。

 完全に今日のコボルトマザーを昨日のコボルトマザーと同一視していた。


 お前ら絶対頭おかしいぞ……。

 そんな俺の思いなど誰にも届かなかったとさ。

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