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初っ端からボス戦…そして変身

ノアと出会ってからおよそ二週間が経過した。最初は僕もノアの関係もぎこちない物だったけれど、ここ最近になってようやく、少しずつ打ち解けられたような気がする。


元々会話スキルも低かった僕だ。子供とはいえ(まあ年齢的にはノアの方がずっと大人なんだけれども)女の子との会話なんて妹としかしたことがない。その妹とでさえ、ここ数年まともな会話もしていないけど。


「とりあえず…食料ゲットだぜ!」


「…げっとだぜ」


首を少し傾けながらもノアがそう言う。そうか、新世界こっちでは言葉が違うのか。あれ?でも会話は成立してるよね。どういうこっちゃ。


とにかくお腹が空いたから食べよう。僕たちを追っかけてきたこの動物(猪のような)をなんとか退治した。今夜は焼肉だ!


ちなみに火はノアが付けてくれた。ドラゴンが口から火を吹くっていうのは旧世界の童話にもあったけれど、まさか本当だとは。他にも物凄い風や水流なども出せるんだとか。もうあれだね、一家に一台ノアさんだね。


「…お肉、すき」


「うん。知ってる。この間も僕の分まで食べてたし」


「……ごめん」


「あ、いや、別に怒ってる訳じゃないよ。むしろ…」


「…むしろ?」


「いつも、凄く美味しそうに食べてるから…そんな顔が見れて嬉しかったな」


ノアは基本無表情でいることが多い。それに言葉数も少なくて最初の頃は何を言っても表情を変えないから、嫌われてるのかなと思ったりしたけれど…近頃、よ~~~~く見ると少しの表情の変化があることに気づいた。普通の人が見ても何も変わっていないように見えるけれど、一緒にいるとよく分かる。


その変化の少ない表情の中でも最もはっきりと分かる(と言ってもやっぱり分かりづらいのだけど)のが、大好物、つまり肉を食べている時。その時の表情は一番幸せそうだ。初めてノアの表情の変化に気づいたのはこれがきっかけだった。


「…そう」


「だから今日もお腹いっぱい食べていいよ。あ、でも少しは僕の分も残しておいてね?」


「…うん。コウタ、ありがとう」


「どういたしまして」


あ、それと初めの頃に比べて、僕に対しての態度が柔らかくなった気がする。年相応…というのは間違ってるかもしれないけれど、子供らしい雰囲気を出すようになった。

それを見て、なんだか妹が幼かった時のことを思い出す。あ、そっか…僕がノアを見捨てられない理由はそこにあるのかもしれないな。


「よし、それじゃあノア、お願い」


「…任せて」


そう言うとノアは腕を振り、猪もどきの体が切れる。

ノアは腕部分を少しだけ龍の物に戻し、その爪でこの肉を切ったのだ。


「お疲れ様、大丈夫?」


「…大丈夫」


神の加護とやらを受けていないせいなのか、ノアはあまり長い時間龍の体に戻ることが出来ない。そのため、一部だけを戻すので精一杯なんだとか。

やっぱりいろいろ不便な体なんだな…と思ったが、「…もう慣れた」だそうだ。


「それじゃ、焼こうか」


近場にあった木の枝を肉に刺し、火で焼き始める。炙られた部分から肉汁が少しずつこぼれ始めるのを見て、思わず喉を鳴らす。凄く…美味しそうだなぁ…


今すぐ齧り付きたい衝動を無理やり押さえつけて、じっと待つ。


「………よし!それじゃ、いっただき―――」



ドスン!!



肉が焼きあがったのでさっそく食べようと思った瞬間、大きな地鳴りがした。

なんだなんだ!?じ、地震!?


「いったい何が…!」


「…コウタ!」


ノアが大きな声をあげ、こちらに向いてくる。その目は何かに怯えているのかのようなものだった。


「…来る…!」


何が来るんだ、そう聞こうと思ったとき、目の前に大きな何かが現れる。


「こ、これは…!」


そこにいたのは…焦げ茶色の大きな翼を広げ、獰猛な口と目を持ち、こちらを睨み付けてくる大きな四本足のがいた。まさかこいつ…!


「…グレイドラゴン」


ノアの種族を迫害していた―――龍王族がそこにいた。




   ☆




『旨そうな匂いがして来てみれば…いたのは大昔に滅びちまった筈の疫病神様じゃあねぇか…』


こちらを見ながらそう言う…えと、ノア曰く、グレイドラゴンとやら。

ノアを疫病神呼ばわりしたのが癇に障り、僕の血管からピキッと音が鳴るけれども、我慢して聞く。


「アンタは…龍王族、で合ってるのか?」


『あぁ~?人間族ごときが俺様に「アンタ」なんて言葉遣いで呼ぶんじゃねえよ。グレイドラゴン様と呼べ様と』


この反応からして、龍王族に間違いは無いみたいだけど…こういう奴らはホント…腹立つんだよね。

お前みたいな奴がいるから、弱い物は迫害されて、潰されて…死んでいくんだよ。


『だいたい、人間族って無駄にプライドばかりあるやつで参るぜ。弱いくせに粋がってんじゃねえっての』


いちいち腹が立つ言い方をするなぁこいつは…そう言うアンタだって龍王族ってプライドを鼻にかけてるというのに…


『で、何百年も昔に滅亡しちまった筈の疫病神が…なんでこんなとこにいやがんだぁ?』


「………っ」


ノアが悔しそうに唇を噛んでいる。滅亡、そう言われてしまっても仕方ないだろう。なにせ何百年も洞窟の中に閉じ込められたままだったのだから。


でも、それよりなにより…疫病神、と改めて言われた事にノアはショックを受けたのだろう。


『まあ、神の加護を受けられないお前らなんか、龍王族の下位種族にも及ばねぇもんな?その姿じゃあ人間族と大して変わらねえ。その上お前らの種族は不幸持ちだ。そんなお前の傍にいるだけでこっちまでその不幸に巻き込まれちまう』


「…それ以上言わないで」


『そんな疫病神がやっといなくなったと思ってたら、お前はその人間族を巻き込ませるのか?災難だなぁ、そこの人間族は。また―――』


「………めて」


グレイドラゴンは一拍置いて、言う。その言葉は僕を怒らせるには十分な言葉だった。







『―――お前のせいで誰かが死ぬぞ?』







「やめてぇえええええ!!!」


「………いい加減にしろこのトカゲ」


もう我慢の限界だ。こいつは僕の手でぶっとばす。

さっきから聞いてりゃ、ノアの事を散々言いたい放題言ってくれやがって…


『何だよ人間族?お前のことを思ってこっちは忠告してるんだぜ?』


「余計なお世話だよアホ。それ以上言うと、ノアじゃなくて僕がキレるぞ?」


『…あんまり調子に乗るなよクズ。捻り潰すぞ?』


「出来るもんならやってみなよ。口で言うだけなら誰でも出来るけど?」


僕の言葉にカチンと来たのか、見下していたような眼つきが獲物を捕らえるそれに変わった。

それにしても僕らしくない物言いに自分で驚いた。旧世界での僕ではこんなことは決して言わなかった。何を言われても無視して放って置いただろう。


「(………自分の事はどうでもよくても誰かノアの事は放っておけないってこと?)」


とんだ偽善だなぁ…そんなお人好しだとは思わなかったよ、僕自身。

そう言えば、死んだ時も妹の事だったし…人間としての色々な感情を失ってたと思っていたけれど、

案外まだ人間らしさが残っていたのかも。


『に、人間族にここまでコケにされたのは初めてだぜ…くそったれが。そこまで言ったんだ。後悔するなよ?と言ってもそんなことする前に潰すけどな』


「それじゃあ…いくよ!」


僕はまっすぐ駆け出し、右足に力を加え地面を踏み込む。その瞬間、僕は加速する。

グレイドラゴン目掛けて、右手を突き出す!


…だが、現実はそんなに甘くは無かった。


『…何か、したか?』


「なっ…!」


確かに手ごたえはあった。でも、その巨体はビクともしない。そこは腐っても龍王族という事なのか。

多少この世界に来て力が強くなったみたいだけれど、それでも届かないのか。


『それでもまぁ…一発は一発だ』


「ぐっ…!がぁああああ!!!」


痛い…!とてつもなく痛い!

旧世界でいじめっ子から殴られた痛みや、この新世界で出会った動物からのダメージなど比じゃない。骨は折れていないみたいだけど…腕や足を動かす度に千切れるような痛さが走る。


僕を大きな前足で蹴ったグレイドラゴンは笑みを浮かべる。


『なんだなんだぁ?大層な事ほざいてた割には一撃で終わりか?』


「…そんな、わけない、だろ」


『無理すんなよ。俺としてはこれで終わらせるつもりだったんだが…案外しぶといな。人間族にしては』


それでもこの力の差は歴然だ。龍に人間が勝つなんて…無理な話だったのだろうか?

もう体を動かす事が出来ない…僕の不幸は、こいつ(グレイドラゴン)に出会ってしまった事なのかな…

グレイドラゴンに会いさえしなければ、いや…それ以前にこんな不幸で誰からも求められない僕は生まれてきてしまった事が―――


そう思った瞬間、僕を一つの影が覆う。


「…コウタは死なせない」


「ノ、ア…?」


その影はノアの物だった。僕とグレイドラゴンの前に両手を広げて立っていた。

表情は見えなかった、でもその雰囲気はとてつもない怒りの物だった。


『おいおい、お前みたいな疫病神が俺に勝てると思ってんのか?今のお前はそこの人間族よりも非力なんだぜ?』


「…それでも私は、コウタを守る」


そう言ったノアの体が変化していく。黒い何かがノアを包んでいく。それはとても大きくなり、やがて晴れる。そこにいたのは、黒い大きな龍だった。


巨大な翼に、見るだけでその硬さが分かる程に重厚な皮膚。前と後ろにある鋭く尖った爪付きの足。あえて言うなら…そう、積乱雲だ。人間の身では絶対に抗う事が出来ない大自然の力、そんなことを感じさせるほどの圧倒的な存在感だった。


驚いた様子でノアを見るグレイドラゴン。その表情は怯えを感じさせた。


『き、聞いてねえぞ!お前の種族は龍の姿になれねえんじゃなかったのかよ!』


『…少しの時間なら、私はこの姿で戦える』


『ぐっ…だが、所詮は疫病神だ!』


そう言うとグレイドラゴンはノアに向かって突進してくる。頼む。逃げて、ノア!


「えっ…?」


そんな僕の心配は、ノアがその突進を咆哮一つで止めてしまった事でどこかへ行ってしまった。

ノ、ノアって…こんなに、強かったの?


『う、動けねえ…これが高位種族の威圧ってことかよ…!』


『…今度は私の番』


ノアはそう言うと口に光を集める。そしてその光は一直線にグレイドラゴンに向かって伸びていく。

その光をグレイドラゴンはかわそうとするも足にかすってしまい、そこから血が吹き出る。


『ぐっ、がぁああ…!てめえ…』


『…コウタに怪我させた事、許さない…!』


ノアはもう一度口に光を溜める。よし、これが当たればいくらあいつでも…

足が痛むのかグレイドラゴンは動かなかった。


『や、やめろぉぉぉおおおおお!!』


決まった、僕はそう思った。

しかし、膝を付いたのはノアの方だった。集めていた光は霧散し、ノアは倒れてしまった。

それと同時に、龍の体も元に戻ってしまい元の少女の状態に戻る。


「…はぁ、はぁ…」


辛そうな声と表情のノア。あの姿になるのはそこまで消耗が激しいのか…

それなのに、ノアは戦ってくれた―――僕のために。


『く、く、くはははは!!こいつは傑作だ!ったく、びびらせんじゃねえよ!』


ノアが元に戻った事でいつもの調子を取り戻したのか、高笑いをするグレイドラゴン。


『よくも俺の足を傷つけてくれやがって…!』


そう言いながら、翼をはためかせ風を起こす。それによりノアはこちらへ吹き飛ばされてくる。

地面を転がりながら、擦り傷がノアの体に出来る。


「ノア…」


「…安心、して…コウタは私が…くっ、必ず…!」


「どう、して…」


僕をそこまで守ろうとするのか…こう言っては何だが、僕とノアの繋がりはたかだか二週間ばかりの間を共に過ごしただけだ。ノアがボロボロになってまで僕を守る義理は無いはず…


「………私にとってコウタは、大切だから…!」


「たい、せつ…?それだけで…あんなこと、まで?」


「…私に光を、取り戻してくれた。追われて、襲われて、傷つけられて…私を守ってくれたのは父様だけだった。でもその父様ももういない。その代わりに…コウタが、傍にいてくれた」


僕は何もしてない…偶然・・死んで、偶然・・あの洞窟を見つけて、偶然・・…出会っただけ。

それが僕じゃなかった可能性だってあったんだ。僕じゃなくて、もっと強くて優しい人だっていたんだ。


「…私…コウタに出会えて、よかった」


「っ!?」


薄く微笑みながら、ノアはそう言う。それを見て、僕はハッと気づく。

…そうだ。何が不幸だよ。

僕は…僕だって…!ノアに出会えて、よかったって思ってる!


偶然?いいや、これは『不幸』だ。不幸が招いた、偶然ではなく必然。僕とノアが出会い、この二週間を過ごしたのは紛れも無い必然だったんだ。


出会いこそ『不幸』だった。出会わなければ、こんなことにはならなかっただろう。

でも…出会ってからのこの生活は、正真正銘…


「僕だって…ノアと出会えて…」


僕は立つ。ノアを守るように、ノアが僕を守ってくれたように。


「『幸せ』に決まってるだろ!!!」


「…よかった」


そう言うとノアは僕と向き合うように立ち上がり、じっと見つめてくる。


『ったく…そんなに言うなら、二人纏めて潰してやるよぉぉ!』


グレイドラゴンが何かを言ってるが聞こえない。今僕の目に見えているのは、ノア一人だ。それ以外のものは視界の外に追いやる。


「…コウタ、しゃがんで」


「え、え?うん」


「…汝、我と契りを結びけり。我、汝と契りを結びけり」


「ノア…?いったい、むぐぅ!?」


ノアが何かを呟くと、いきなり僕の口にキスをしてきたぁ!?

舌を入れて、中で僕の舌をこねくり回す。


「んっ…んん!」


その瞬間、僕の周りを黒い何かが包む。それはノアが元に戻る時に現れた何かと似ていた。

腕を、足を、やがて体全体を包み、僕の体は変化を始める。


日本人の証である黒髪は、白銀の輝く髪に変わり、


色白であまり健康的とは言えない僕の肌は、焼けたように茶色くなり、


僕が着ていた私服は、黒色のマントが付いた漆黒の物に変わる。


体つきも変わり、そして…意識も変わる。


「こ、これは、俺はいったい…ん、?」


『…コウタ、私と契約した。私の力、存分に使って』


「ノア?どこに…」


ノアの声は、俺の内側から聞こえるようだった。まさか、俺は…


「ノアと、融合したのか!?」


『…そう』


なんてこったい。そんなファンタジーな話があるのかよ。ってこの世界からして既にファンタジーか。

俺が自身の変化に驚愕していると、グレイドラゴンがこちらに向けて迫っていた。


『…コウタ。今から私が言う事を繰り返して』


「あ、ああ。分かった」


ノアが俺に向けて発した言葉は、何かの呪文のようだ。それを聞いた俺は、グレイドラゴンに向けてその言葉を放つ。


「聖嵐、セイントストーム!」


そう言い放った瞬間、光が集まり、竜巻のようにグレイドラゴンを包む。


『ぐぐっ…!な、なんだこれはぁ!?』


グレイドラゴンは光の竜巻によって、体中のあちこちに傷をつけていた。その数は数百、数千にも及ぶだろう。大量に血を撒き散らすのを見て、若干気持ち悪いなと思う。でもそれ以上にすげえな、これ。


『…これはまだ序の口。次は…』


再びノアに呪文を教えてもらう。どんなものかは想像できないが、きっとこれも凄い呪文なのだろう。

さっきの竜巻により体がボロボロになっていたグレイドラゴンだが、その目はこちらを憎しみと殺意を込めた目で見ていた。


『ふ、ふざけんなよ…たかが疫病神や人間族の分際で…』


「この辺りで逃げておいた方が身のためだと思うが?」


『龍王族が、人間族に負けて逃げ帰ったなんて…他の奴らに笑われちまうだろうが!』


「既にお前はお笑いもんだよ…追闇、ダークネス!」


そう言い放つと、今度は小さな黒い何かが集まり、グレイドラゴンに纏わり付いた。

…でもあれだな。遠めで見るとゴキブ――黒い虫が付いているようで嫌だな。


『き、気持ちわりい!?離れろ!』


「…ブレイク!」


その瞬間黒い何か一斉に爆発し始める。しかもその黒い何かは先ほど付けたばかりの傷の上にも付いていた。故に、その痛みは想像を絶するものだろう。


「う、うわぁ…えげつねえ」


『ぎゃあああああ!!お、俺の体がぁぁああああ!!』


痛みで暴れまくるグレイドラゴン。少し可哀想になってきたかもなぁ…でもまあ、人を撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけって言葉もあるんだ。よしとしよう。


『た、頼む…もう二度とお前らに手を出さねえ。約束する、だから逃がしてくれ…!』


なんともまぁ…負けそうになった途端に命乞いかよ。つくづく下衆な奴だ。いつの世もどこの世界にもこんな情けない奴はいるもんだな。


そうだ、チンピラドラゴンとでも改名した方が良いんじゃないか?その方がよっぽど似合っているような気がする。


「だってよ、どうする?」


『…コウタがそうしたいなら、すればいい』


うーむ…まあこれ以上やるのもなんだかめんどくさい様な気もするし、この辺で勘弁してやるか。


「わかった。そんじゃあ出て行け。二度と俺達の前に現れるな」


『あ、ああ…もうお前たちには関わらねえ。約束するぜ』


俺は背中を向け、この場を去る。もう二度と現れないというのなら、それでいい。だがまあ、プライドの高そうなこいつのことだ。俺達が背中を向けた途端…


『………なんてなぁぁあああ!!!』


襲ってくるだろうな、と思っていたら案の定これだよ。


俺は振り向きざまに突進してきたグレイドラゴンを、掴んだ・・・


『……………は?』


「突進するか蹴るかしかないのか、お前の主な攻撃手段は…よっと!!」


そのまま俺は投げ飛ばす。この姿になると、力も元の何倍、いやこの感じだと何十倍になるみたいだな。本当にこれは…恐ろしいもんだな。


「さて、もういい加減分かったな」


『あ、ああ!もう十分だ!だから…!』


「だから大人しく…成仏しやがれ」


俺はノアから教えてもらった三番目の呪文を唱える。聖なる嵐も、纏わり付く闇すらも、超える威力の呪文。







「―――終末、ミスフォートエンド」







その瞬間、グレイドラゴンは消えた・・・。影も形も無く、何もかもが消えた。確かにそこにいたはずの場所には死体すら残らない。グレイドラゴンの存在は完全な『無』となったのだ。




「さすがにお前を最初から無かった事にすることは出来ないが…お前がこれから先に迎える筈だった生涯は、『不幸にも』終わってしまったな」







半分に区切ろうかとも思いましたが、そのままくっ付けちゃいました。

おかげで文字数が過去最高の7000字越え…一話にしては多いですよね?

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