結末
あたしは、星の大地に降り立った。
この土地はだいぶ除染が進んでいて、防護服を着なくても、長生きはできないけど生きていける。
あたしには、最初にやることがある。
トランクの中につめた大事な荷物。
これを、あるところに持っていくのだ。
You-Ai-loid“自殺”のニュースが“コロニー”全体に行き渡るのに時間はかからなかった。
極秘だった“You-Ai-loid計画”は、それにより破綻した。
あたしは“自殺”したYou-Ai-loid――アイから手紙をもらっていた。
そしてそれを、広めたから。
“王”がしたこと。
アイの心境。
計画のすべて。
やがてYou-Ai-loidの技術を利用し、他のドームと戦争をしようとしていたこと。
そして……不平を言う人が現れた。不平不満は暴動になり、内戦にまでなった。
その内戦の首謀者は、あたしってことになった。
内戦は一月ほどで鎮圧され、あたしは“処刑”されることになった。
星への流刑。それがあたしに決められた罰、処刑だった。
後悔はしてない。
むしろ彼女の遺志を叶えるためには、流刑はちょうど良かった。
「……この辺だよね……」
崩れた家々の中に、まだ形をとどめている家があった。
表札は掠れて読みにくいけど、「天笠」と書いてある。
アイが二百年以上過ごした家。
優さんと暮らしていた家。
あたしのご先祖さまの家。
その裏庭に、ふたつ、穴を掘った。
そして、片方に砕けた電子チップを入れた。あの自殺現場から拾ってきたもの。
もう片方に骨を入れる。
上から土を被せて、大きめの石を乗せた。
天笠優の墓と、アイの墓。
アイは、『ユウの住んでたところに、形だけでもお墓を作ってほしい』と、手紙に書いていた。
これでずっと、優さんと一緒にいられるね。
あたし、また時々来るからね。
住むところを造ったり、食べ物を造ったり、することは山積み。
数ヶ月住む人のいなかったアイの家は荒れてるけど、しばらくお世話になろう。
いつかまたここに人々が住めるようになる日まで、精一杯生きて、精一杯星をきれいにしていこう。
はじめましてこんにちは。雪野つぐみです。
最終話まで読んでいただき、ありがとうございます。
You-Ai-loidシリーズ(と、言っても2作の詩とこの連載だけですが…)無事完結です!
応援ありがとうございました。
感想、質問等お待ちしております。
では、またの機会に…