真実の調査結果
あたしは、いつも来ないところにいた。
喫茶店のテラス席。
目の前に、硝子の搭。
あの搭に住まう、高貴な少女を待っている。
「掴めましたよ……」
少し、口に出した。
しばらく経っただろうか。
からん、と音がして扉が開いた。
「待ってました?待たせてごめんなさい」
隣に座る少女。彼女があたしの待ち人だ。
「いえ、今来たところです」
本当は三十分前だけどね……
「それで……何かわかったの?」
「掴めま……」
「コーヒーのお代わりはいかがですか?」
あたしの報告はウェイトレスの言葉にさえぎられた。
「いえ、結構です」
断り、ウェイトレスが去ったところで報告を再開する。
「結論から言わせて頂くと、“アマガサユウ”は……」
あたしは、少し躊躇った。
このまま真実を話していいのか?
「ユウ、見つけてくれたの!?ありがとう!」
……まだ何も言ってないのに……
見つけたのは事実だ。だけど……
“アマガサユウ”は……
「どこ?どこにいたの?」
……
「ねえ教えて!ボク、ユウに早く会いたい!」
説明ではなく見せたほうが早いかもしれない。
そう判断したあたしは、少女の言葉を遮り、話し始めた。
「あなたが求めるようなものでは無いかもしれませんが……」
「いいの!ボクは会いたいの!ユウがボクを忘れていても、病気で寝たきりでも……!」
彼女はこんなにも必死で“アマガサユウ”を探していた……
でも……
「説明より直接見たほうが早いかと……今日、お時間は大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫!」
「そうですか。では、お連れ致します」
伝票を掴んだあたしを彼女は引き留めた。
「ボクが払うよ。調査代の一部だけど……」
彼女はそのまま伝票を奪って支払ってしまった。
あたしは、どんな結果になろうとも頼まれた仕事をしただけ。
たとえそれが、残酷な真実を突きつけることでも……それが彼女の求める答えでなくとも。