表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

疑問点

「ひーまーだーなー」

“王”への面会を申し込んで二日が経つ。

まだ許可は降りなかった。

「ねえ、ユカリさん」

「なんでしょう?」

「ユカリさんの家ってどんなところ?」

暇だからユカリに聞いてみた。

「“グラスタワー”の第30階層に居住を許されてる一家です」

「“グラスタワー”って、下級住民は出入りできないって本当?」

「“グラスタワー”は“コロニー”の中でも特権階級のみが出入りできます。居住を許可されるのはその中のほんの一部です」

「ユカリさんの家ってすごいんだねー」

「我がモエギ家は“コロニー”成立時から王様に支える家系です。わたくしがアイ様のお世話を任されているのも、血筋の七光です」

“親の七光”じゃなくて“血筋の七光”なんだ……

メイドとしての腕は一人前以上だと思うんだけどな……

「ユカリさんはお仕事ちゃんと出来てて偉いと思うよ」

「そうですか?」

ピコーン。「着信しましたー」

メールだ。今の?着メロ。

「えーっと……三時から面会。面会室へ赴くこと」

「王様と面会なさるのですね」

やっと許可が降りたのだ。


「アイ、面会を申し込むとは、何かあったのかね?」

「ボクはあなたに聞きたいことがあります」

面会室。また、モニター越しに“王”と話す。

「まず、あなたは何故面会もモニター越しにするのですか?」

「知らないのなら教えよう。私はAIだ」

「えっ!?AI!?」

“王”が人工知能だなんて……

「これは驚いた。てっきりモエギから聞いたものだと思っていた」

ユカリはそんなこと一言も言ってなかった。

「かつて人が求めた“統治者”、それが私だ」

「あなたは誰により創られたのでしょうか?」

「それを知るものは既にいない。知る必要もない」

“王”も知らないのかな?それとも知っていて言わないのか……

「早く本題を話せ。まさかそんなことを尋ねに来た訳ではないだろう」

それもそうだった。

「では、申し上げます。何故この“コロニー”には身分差があるのでしょうか?」

これがボクの目的だ。

「……何故それを聞こうと思った?」

「かつてボクがいた星の人類はみな平等でした。なぜ“コロニー”の人には身分差、格差があるのですか?」

「それが必要だからだ。他に理由などない」

「なぜ必要なのですか?」

「それを知ってどうする?」

「……」

……確かに、ボクが知っても変えられる力があるわけじゃない。

でも……

「それだけか?なら、退出したまえ」

画面越しの威圧的な物言いに、ボクは引き下がるしかなかった……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ