手記
ついに完結編始動です。
どうかおつきあい願います。
星は死んだ。
それは戦争で使われた兵器だったかもしれないし、環境破壊の結果だったかもしれない。
地軸が歪んだせいかもしれないし、不幸な事故だったのかもしれない。
今となってはどうでもいいことだ。
そして、人類は星から逃げ出した。
月は生きるためにたくさんのドームを建てられた。
とても……昔のこと。
わたしがまだ若かった頃のこと。
もう、たった一つを除いては未練などない。
あの子……アイは、どうしているのだろう?
あの時からずっと、星に残されたまま……
“人工少女”You-Ai-loidだからという理由で、取り残された……
アイにもう一度会いたい。
わたしの孫が、将来的に行われる“地球浄化計画”の実行隊に志願したらしい。
十年単位の計画だ。
わたしが生きて出発を見られるか否か、それほど時間を要する計画だ。
だから、多分わたしはアイとは生きて会えないだろう。
それでも……会いたかった。
1日も忘れなかった。
もし、孫なりひ孫なりがこれを読み、そしてアイに会えたら、伝えてくれることを願う。
「天笠優はアイのことが大好きだった」と。