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能力者  作者: 如月結衣
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第一章 Ⅰ

能力者。

それは、特別な能力を持つ人達のこと。

テレパシーは、能力者の基本中の基本。

主に光、風、火、水、土に分けられている。

また、能力を使い技を出すこともできる。

技の最高ランク「特大能力」を使えるようになると、

特大能力者として認定される。

だが、特大能力者は10人しかいないと言われている。

そのため、特大能力を使える能力者はほぼいない。

しょうせピピピピピッ

ある日の朝。未衣は、目覚ましが鳴る音で目が覚めた。

時刻は5時20分。寮の起床時間まであと40分もある。それに、今起きても寮の外には出る事ができない。だが、今日はそんな事に構っていられない。今日は、未衣達にとっては重要な日。

「おはよう。」

そう言って、ルームメイトの由花が起きてきた。由花は、紫色の髪を腰まで伸ばしていて、黒ぶちの眼鏡も掛けている。

「おはよう。由花。」

未衣がそう言うと、由花はクローゼットの中から洋服を取り出した。由花が取り出したのは、黄緑色の長袖にオレンジ色のパーカー、そしてジーンズだった。

「未衣も準備したら?用意、してあるんでしょ?」

「もちろん。」

そう言って未衣もクローゼットのなかから洋服を取り出す。

「あ、それにしたの?」

由花が驚いた声を上げる。

「この服が1番動きやすいし。」

未衣が選んだのは、水色の半袖にジーンズ。

「寒くない?」

「うーん…どうだろう。」

「長袖パーカーも持っていけば?」

由花にそう言われて、未衣はクローゼットの中から黄緑色の長袖パーカーを取り出した。

「うん。それで大丈夫でしょ。」

未衣は、さっそく着替え始めた。

「よしっ。」

思った通り、着替えには3分もかからなかった。由花の方を見ると、由花ももう着替え終わっていた。

「じゃあ、もう行く?」

未衣が由花に聞いた。

「え、ダメでしょ。」

由花は時計を指さしながら言った。

「集合時間は5時53分。今は5時28分。」

「集合時間、半端だよね…。」

「しょうがないのよ。それは未衣も知ってるでしょ?」

「うん。知ってるけど…。」

なぜこんなに中途半端な時間なのか。それは、寮の見回りに関係している。寮の見回りは、1時間に2回。00分から15分まで。30分から45分まで。という事は、見回りが無いのは15分から30分、45分から00分。だから、45分から00分の間。53分になったのだ。

「じゃあ、47分に出る?」

「そのくらいでいいんじゃない?」

「でも、ここから外まで誰にも見つからずになんていけるかな…。」

心配そうな未衣の表情を見て、由花は未衣の顔を覗き込んだ。

「大丈夫。いざとなったら、ボーイフレンドが助けてくれるって。」

「え、そんな人いないよ?」

「馬鹿。風斗の事に決まってるでしょ。」

由花にそう言われて、未衣の顔が少し赤くなった。

「風斗とはただの幼馴染だよ。」

「でも、周りから見たら恋人よ?」

「なっ…何でそうなるの!?・・・大体、由花だってボーイフレンドいるじゃん。」

未衣がそう言うと、由花は少し驚いた表情を見せた。本当に分かっていないようなので、未衣はからかうようにこう言った。

「拓也だよ。」

「はぁっ!?」

「え、違うの?」

「違うに決まってるでしょ・・・!」

そこで由花はため息をついた。

「ったく。未衣はある意味鋭いけど、ある意味鈍感よねー。」

「ど、どういうこと?」

「それは後で。…ほら、そろそろ行くよ。もう47分になる。」

由花に言われて時計を見ると、確かにもう時計は47分になりかけていた。未衣と由花はベッドの上に置いてあったリュックを背負った。

「じゃ、行こうか。」

由花はそう言ってドアを開けた。

思った通り、廊下は静まりかえっている。少しでも物音をたてると、誰かが起きてきそうな雰囲気だ。

「慎重にね。」

由花が小声でそう言う。未衣は無言で頷いた。

ここは寮の3階。ここから階段で1階まで下り、裏口へ向かう。裏口から少し離れた倉庫の前。そこが集合場所だった。寮は男女一緒。そのため何回も集合場所を練り直し、ようやく倉庫に決まったのだ。

「ルートは覚えてる?」

由花が未衣に小声で尋ねる。未衣も返事を返した。

「もちろん。覚えてるよ。」

「よかった。じゃ、計画通りに。」

「了解。」

そう言いながら、足を前に進ませる。少しでも間違えたら、考えてきたことが水の泡になってしまう。慎重に、そして素早く。それは難しい事だが、やらなければならない。

そう考えていると、クラスで男子がこう言っては騒いでいた事を思い出した。「いつやるの?今でしょ!」これがどういう意味を持つのか、未衣にはよく分からない。ただ、この言葉が今流行しているという事は事実のようだ。そして、この言葉は男子にとっては最高のお守りでもあるようだった。この言葉を聞くだけで、明るくなれるのだとか。そして、それが今発揮されてくれたらどんなにいいだろうと未衣は思った。

「未衣?大丈夫?」

由花の声を聞いて、未衣は考える事をやめた。

「うん。大丈夫。」

「無理してる?」

「してないよ。」

その言葉を聞いて、由花は安心したらしい。

「良かった。」

「…もうすぐだね。」

「そうね。あのドアを出たら倉庫まですぐなんだけど。」

それが上手くいけばいいのだが、そうはいかない。裏口は、ドアを開けるたびに軋む。そのため、慎重にやらないといけないのだ。

「ドア開けるのだけで何分かかるんだろう…。」

時計を見ると、時刻は5時50分を指していた。集合時間まであと3分しかない。

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