S197 4月18日(月)
眠るのには心地良い、優しい天気。
時々太陽が顔を見せるが、雲の多い空。
変わりなく始まる学校と、それに乗り遅れるラディアス。
調子はあまり良くない。
7:40髪の毛、ボサボサ----------------
ラディアスを起こしに行ったフィリアが台所に戻ってくる。
リアナ「あええ? おにーちゃんはぁ・・・?」
リアナが口に食べ物を入れながらフィリアに話しかける。
フィル「お兄ちゃん、全然起きない。」
リアナ「おねーちゃんもぉ、髪の毛、ボサボサれすよぉ・・・」
フィリアが自分の頭を触りながら返事をする。
フィル「・・・そうだね。」
リアナ「おねーちゃん、あたしは今日、びょーいん行ってくるですよ?」
フィル「うん。途中まで一緒に行くよ。」
リアナ「はうです~。」
フィル「あと、お母さんが後で休みの連絡入れるって言ってたから。」
リアナ「はうです。」
プル「おはよ~・・・」
プルミアが台所に入ってくる。
リアナ「おはよーですぅ~。」
プル「ふあぁ~・・・ダルぅ・・・」
フィル「・・・おはよう。」
プル「! あら、フィリアの髪、そんなに乱れて・・・」
フィル「うん?」
プル「お疲れモード?」
フィル「・・・そうかもね。」
プル「リアナも、とっとと御飯食べなさいよねー。」
リアナ「はっ、はうですよ~・・・」
12:00激しく寝坊----------------
ラディ「のがはぁー!!!!」
突然叫びながら跳ね起き、目覚まし時計を鷲掴む。
ラディ「・・・。じ、十二時って・・・」
目覚まし時計をポトリと落とし、がっくりくるラディアス・・・
………。
ラディ「はぁ・・・」
布団から起き上がり、深く溜め息をつく。
ラディ「何やってんだよ・・・オレ・・・」
階段を下り、台所へ向かう。
少しひんやりする台所に行くと、テーブルの上にラップされた食べ物が並んでいる。
『ゴハンだよ。AM8:05 Filiah』
ラディ「・・・用意はいいなぁ。」
・・・?
ラディ「こんなことするなら、起こしてくれって・・・」
………。
ラディ「はぁ・・・」
席に着き、黙々と御飯を食べ始めるラディアス。
………。
………。
ドタバタ~・・・
リアナ「おに~ちゃ~ぁん!!」
リアナがドタバタしながら台所に入ってくる。
ラディ「ん?」
茶碗を持っている腕を掴むリアナ。
リアナ「起きた? 起きたですか!?」
ラディ「あぁ、見れば分かるだろ?」
リアナ「ホント? ホント? ホント?」
リアナがラディアスの腕を揺らす。
ラディ「おわ、やめやめっ! 茶碗落とすって!」
リアナ「はぅ~・・・ホントにぃ起きてる??」
ラディアスの腕をぎゅっと掴むリアナ。
ラディ「んー、いや、だから、これで寝てるほうがおかしくないか?」
リアナ「はぅぁ~・・・そっかですぅ~。」
ほっとした感じのリアナ。
!
リアナ「れもぉ、昨日はおにーちゃん、寝ながら御飯食べてたですよ?」
ラディ「え?」
リアナ「きのお~・・・?」
ラディ「一緒に食べなかったか?」
リアナ「・・・おとついだったれす。」
ラディ「一昨日か・・・確かに、その辺は記憶が曖昧だな・・・」
15:20お休み時の散歩----------------
リアナの誘いで散歩に出かけるラディアス。
トコトコ・・・
ラディ「ちょうどいい天気だよな。」
リアナ「曇りがぁ?」
ラディ「太陽出てると、暑いだろ?」
リアナ「でも、太陽が出てないと、ちっと寂しいですよ。」
ラディ「まぁ、そういう意見もあるな・・・」
トコトコトコ・・・
ラディ「そういや・・・」
リアナ「はう?」
ラディ「リアナ・・・学校は??」
リアナ「今日はぁ・・・びょーいん行ってきたですー。」
ラディ「! ・・・大丈夫なのか!?」
リアナ「ダイジョブだったよー。」
ラディ「そうか。良かった。」
リアナ「うん・・・この前ーゆーかいされちゃったからー・・・お薬飲めなかったんだよぉ。」
ラディ「そ、そっか・・・そうだよな。」
リアナの頭を撫でるラディアス。
リアナ「だけどダイジョプって、新しいお医者さんが言ってくれたです。」
ラディ「そうか。それなら良かったな。」
リアナ「はぅです。」
ラディ「ごめんな・・・」
リアナ「あううー。」
ラディ「怖い思いさせちゃったな・・・」
リアナ「あううー。」
リアナがラディアスの背中に頭をつける。
ラディ「どうした?」
リアナ「うん・・・」
ラディ「ん? リアナ、休むか?」
リアナ「うん・・・」
ラディ「そこの公園で休むか。」
リアナ「ぅにゅ・・・公園・・・?」
15:30追いつけない背と年の差----------------
公園のベンチに座るラディアス、リアナ。
ラディ「リアナ、ブランコとか、やんないのか?」
リアナ「そ、そんな年じゃないよぉ。」
ラディ「何を言ってる? ブランコは大人の遊びだぞ。」
リアナ「そ、それはぁ・・・ウソ、ウソですぅー。」
ラディ「1回転できるか?」
リアナ「ふぇぇ?? で、できないよぉ~。」
ラディ「まだまだだな。」
リアナ「うぅぅぅ~・・・」
リアナの頭に手を当てるラディアス。
ぽむ。
ラディ「リアナ、結構、背ぇ伸びたよな。」
リアナ「はう?」
ラディ「少しは成長してるみたいだ。」
リアナ「ぅ・・・そうですぅ! あたしだって、もう、じゅう・・・12歳ですぅ!」
ラディ「そっか。もう中学校に上がってるんだもんな、本当は。」
リアナ「!!」
ラディアスの言葉で苦い顔をするリアナ。」
ラディ「あ、ごめん、ごめんな。」
なでなで。
リアナ「はうぅ・・・」
ラディ「リアナは、クラスでは、背、高いほうなの?」
リアナ「はうぅ、そ、そうですよー。」
ラディ「何番目?」
リアナ「えぇぇえっとぉ・・・今はぁ・・・後ろから5番目だよ。」
ラディ「へえぇ。高いなぁ。」
リアナ「でもぉ、おにぃちゃんのほうが高いですぅ・・・」
リアナがラディアスの頭の上に手を伸ばす。
ラディ「あぁ。だけど、あれだよ、リアナと同じ年の頃は、リアナより小さかったよ。」
リアナ「はぅぁ~そぉなのぉ・・・?」
ラディ「140cmくらいだったな、確か。」
リアナ「れもぉ、おにぃちゃんはいつもあたしより背ぇ高かったのにぃ・・・」
ラディ「それはしょうがないだろ。年の差だな。」
リアナ「はぅ。」
ラディ「もしかしたら、この先、オレより背、高くなるかもな。」
リアナ「はうぅ~それはそれでイヤですぅ。」
ラディ「そうか?」
リアナ「もうこのくらいの背でいいよぉ。」
ラディ「もっと高くてもいいと思うぞ。オレは、背は低いほうなんだから。」
16:25買い物途中のプルミア----------------
散歩の帰り。
ラディアスとリアナが通学路を歩いていると、正面からプルミアがやってくる。
プル「・・・あ。」
リアナ「あぅ、おねぇちゃんですぅ!」
プルミアに気づくと、リアナが走ってプルミアのほうへ行く。
プル「リアナ、何やってんの?」
リアナ「おにーちゃんと散歩ぉ。」
ラディ「あ、姉さん? 珍しく1人?」
ラディアスも近づくと、プルミアがニヤけはじめる。
プル「へえぇ~・・・」
ラディ「?」
プル「学校休んで、こんなとこでデート?」
ラディ「は・・・?」
リアナ「はぅ!」
ラディ「散歩だよ、散歩。」
ラディアスが手を横に振って否定する。
プル「何? 焦ってる?」
ラディ「い、いや、そんなことないって・・・」
リアナ「散歩ぉ・・・」
プル「何? これから帰るの? だったらちょっとこっち寄ってよ。」
ラディ「こっち?」
プル「そうよ。買い物、付き合って。」
リアナ「はいですぅ!」
ラディ「えぇ~今度は何買うんだよ?」
ドゴッ!!
ラディ「あたたぁ・・・」
すかさずプルミアの拳がヒットする。
リアナ「はぅあ・・・」
プル「夕飯の買い物よっ!」
ラディ「何? 姉さんが作るの?」
プル「はぁ? まさか。」
ラディ「だよなー。」
ドゴッ!!
ラディ「あっだぁ!」
容赦なくプルミアがラディアスを殴る。
プル「フィリアに頼まれたのよっ!」
ラディ「うぅぅ・・・」
痛そうにしているラディアスの頭をリアナが撫でる。
リアナ「はぅあぅ~ダイジョプ?」
ぺしぺしぃ。
ラディ「大丈夫・・・」
プル「ま、フィリアもお疲れだからね。たまには手伝ってあげてるのよ。」
ラディ「フィリアが? そうなのか?」
プル「見て分かんない?」
ラディ「いや、今日見てないし・・・」
リアナ「おねーちゃん、昨日も今日も、溜め息たくさんついてるですよぉ。」
ラディ「え・・・そんなに疲れてるのか・・・全然、気づかなかったな・・・」
リアナ「おにぃちゃん、しっかりするですよぉ・・・」
ラディ「う、うん、悪い。ちゃんと様子見ないとな。」
16:35フィリアの内なる力----------------
商店街に向けて3人が歩き出す。
プル「ガナチーに聞いたのよ。」
リアナ「ガナチィガナチィ~。」
リアナが意味もなく連呼する。
ラディ「何を?」
プル「フィリアの武勇伝。」
ラディ「武勇伝?」
プル「そ。フィリアの100匹斬りだって。あのおじさんと戦いながらね。」
ラディ「100匹・・・斬り? 異形な感じの奴らを?」
プル「そ。ティリアのおじさんと戦いながら。」
ラディ「ながら・・・」
プル「しかも、ガナートを庇いながら。」
ラディ「ながら・・・」
リアナ「ガ~ナ~チィ~。」
ラディ「!! ・・・なんだか信じられないな。いつもは、もけ~っとしてるのに。」
プル「私のライバルに不足はないでしょ?」
ラディ「ライバルって・・・妹じゃんか・・・」
プル「そうだっけ?」
ラディ「そうだよっ!」
リアナ「はぅあ~・・・ガッ、ナァ、チュー。」
良く分からないことを言いながら、リアナがラディアスに抱きつく。
ラディ「ほぁ、そ、そもそも、フィリアはどこであんな剣術を学んだのか知りたい。」
………。
………。
プル「はぁ?」
ラディ「何? その間は。」
ラディアスがリアナの頭を撫でながら聞き返す。
リアナ「はぅ・・・?」
プル「暗黙の了解かと思ってたけど・・・そういうことか。」
ラディ「なに?」
プル「・・・なんでもない。」
ラディ「そう言われると、すごく気になるんだけど。」
プル「気にならないわよ。」
ラディ「いや、姉さんが気にならなくても・・・」
プル「ラディ、そういえば全然起きなかったみたいじゃない。」
無理やり話を切り替えようとするプルミア。
ラディ「え?」
プル「今日の朝よ。」
ラディ「起こされた記憶なし・・・」
プル「死んだように眠ってるって、フィリアが言ってたけど。」
ラディ「疲れが溜まってるのかも。」
プル「過労死するタイプね。」
ラディ「そうなのか?」
プル「自分の疲れ具合を認識しないと、そうなるわよ。」
ラディ「つっても、そんなの分かるのか?」
プル「分かるわよ。だって、自分のことでしょ?」
ラディ「そうだけどさ・・」
リアナ「む、難しいお話・・・?」
ラディ「難しいかなぁ?」
リアナ「はぅぁ・・・?」
プル「ある意味、難しいかしらね?」
ラディ「ある意味・・・ねぇ・・・」
リアナ「良く分からないれすぅ・・・」
17:10アイスとプルミアと----------------
夕飯の買い物を済ませるラディアス達。
コンビニの前で、プルミアがアイスを食べだす。
ラディ「何? アイス食べてんの?」
プル「にゃいおー!?」(何よー!?)
ラディ「姉さん、寒くないの?」
プル「・・・うぇつにー。」(・・・べーつにー。)
ラディ「別に?」
プル「うぅー。」
プルミアの言葉にならない言葉を訳すラディアス。
ラディ「確かに今日は寒くはないけど、アイスはまだ早いと思うんだけど・・・」
プル「ほんにゃことにゃいわよ!」(そんなことないわよ!)
ラディ「はぁ・・・食べてからでいいって。」
スプーンを口から離し、ちゃんと喋りはじめる。
プル「寒い時に食べるのが、美味しいのよ。」
ラディ「そうかー?」
プル「分かってないわねー、全く。」
ラディ「夏、暑い時に熱いものを食べる、我慢大会みたいなものか・・・」
プル「違う!」
ラディ「違うの?」
プル「趣があるってことよ。」
ラディ「はあぁ?」
プル「・・・ックシュ!」
ラディ「寒いんじゃん。」
ゴッ!
ラディ「あったー!!」
プルミアが座った状態でラディアスの脛を蹴る。
プル「鼻がくすぐったかっただけよ!」
ラディ「け、蹴ることないのに・・・」
リアナ「おにーちゃん! お待たせですー!」
リアナが勢い良くコンビニから出てくる。
ラディ「もういいのか?」
リアナ「はうです!」
プルミアが荷物を持ち、立ち上がる。
プル「んじゃ、帰るわよ。」
リアナ「はぃですっ!」
アイスのゴミをゴミ箱に放るプルミア。
ラディ「おお、入った。」
プル「フツー、入るでしょ。」
ラディ「いや、簡単には入らんでしょ・・・」
プル「ほら、くだらないこと考えてないで、ラディも帰るわよ。」
ラディ「あ、あぁ。」
20:50完成? ハルシオンヒール----------------
リアナ「おにーちゃん!」
廊下を歩いているラディアスを呼びかける。
ラディ「ん?」
リアナ「おにーちゃん、ちょっと怪我してー。」
ラディ「はぁ?」
リアナ「転んだりしてー、痛くなってよー。」
………。
ラディ「い、いきなりそんなこと言われても、無理だろ?」
相変わらず無茶苦茶なリアナに、困った顔をするラディアス。
リアナ「はうぅ~せっかく新しい魔法作ったのにぃ~・・・」
リアナが残念がる。
ラディ「魔法、覚えたのか? 回復魔法?」
リアナ「うん! 作ったですぅ!」
ラディ「へぇ。」
リアナ「おにーちゃん、怪我しないのー?」
ラディ「そりゃ、わざと怪我してどうすんだよ?」
リアナ「はうぅ・・・」
!
リアナ「あ、じゃぁじゃぁ、いつ怪我するですかっ!?」
ラディ「そんな予定はないって。」
リアナ「はうぅ・・・」
愚図りそうなリアナに気づき、すかさず代案を出すラディアス。
ラディ「あのさ、別に怪我してなくてもいいだろ? 使ってみれば?」
リアナ「う、うー・・・はぅですよぉ・・・」
不満げだが、直後手から光を発し、その手がラディアスの胸に触れる。
リアナ「ふぇいっ!」
ポアアァァン・・・
ラディ「おおおおお。」
リアナ「ふえぇ?」
ポアアァァン・・・
ラディ「んー・・・」
リアナの手から光が消える。
リアナ「ど・・・どですか・・・?」
ラディ「なんだか・・・心が温まる・・・」
リアナ「・・・。」
ラディ「・・・どした?」
頭を抱えて悩みだすリアナ。
リアナ「はうぅ~・・・間違えちったかなぁ~・・・?」
自分の部屋のほうに歩き出すリアナ。
ラディ「え!? ちょっと、間違えって・・・」
リアナ「はうぅ~いいのかなぁ・・・? 傷が治ればいいけどー、うーん・・・」
リアナが歩きながら首を傾げる。
ラディ「お、おい、それ大丈夫なの!?」
リアナ「はうぅ~ダメかもですぅ~・・・」
ラディ「おいおい・・・人にかけといてー・・・」