S197 4月16日(土)
リアナの居場所を知ったラディアス達。
夜風が吹く中、闇組織の地下施設の入り口へ行く。
そこで待ち受ける幾多の敵に立ち向かう。
フィリアとプルミア、そして、仮面の青年の力により、
リアナと無事再会するラディアス。
0:000時の進入----------------
エディスに言われた場所に到着するラディアス達。
ちょうど地面の窪んだ所に、大きな扉がある。
ラディ「ここか?」
ガナチ「施設にしては怪しすぎねーか?」
地面を下ろうとするラディアス。
ラディ「行かないと・・・」
プル「ちょ、ちょっと、待ちなさいよっ!」
進もうとするラディアスの肩を掴むプルミア。
プル「ここだって確証、あるの!?」
ラディ「そんな気がする。」
ガナチ「気がするって・・・わ、分かるのかよ!?」
ガナートの質問に無言で頷くラディアス。
………。
プル「・・・分かったわ。信じるわよ。」
ラディ「あぁ。」
ガナチ「おいおい信じる・・・って、マジで行くのかよ!?」
進むラディアスとプルミアを背に、戸惑うガナート。
フィル「行っちゃうよ。」
ガナチ「ん、あ・・・あーしょうがない!! 行くかっ!」
フィル「うん。」
ガナートが入り口まで走り、それにフィリアがついていく。
………。
異常なまでの強固な扉が立ちはだかり、立ち竦むラディアス達。
ラディ「すごい扉だな・・・」
プル「フツーじゃないわね、ここ。何やってるトコなんだか・・・」
ラディ「扉、壊せる?」
プル「これは、無理でしょ?」
フィリアが近づく。
………。
フィル「壊す必要ないよ。」
フィリアが扉を軽く押すと、開きはじめる。
ズズズズ・・・
ラディ「この扉・・・開いてる・・・」
プル「ラッキーじゃない? ね? ラディ?」
ラディ「あぁ、だが・・・誰か他にも侵入したのか・・・?」
ガナチ「もしかして、エディス先生とか?」
フィル「うん。」
ラディ「とにかく、行くしかない。」
プル「そうね。」
0:20身分を隠した青年----------------
コツコツコツ・・・
階段を下りる4人。
階段を下りきると、何もない小さな部屋になっている。
・・・!!
ガナチ「早速、敵さんのお出ましか・・・」
小部屋の中央に数人倒れている。そこに近づくガナート。
ガナチ「おい・・・あれ・・・倒れてるのか・・・?」
プル「バカッ!! 無神経に近づくんじゃ・・・!!」
チャ・・・
ガナチ「う!?」
部屋の死角から現れた者が、一瞬でガナートの首に刃をかける。
プル「・・・っ!」
フィル「!」
………。
………。
デュー「パンドラの者では・・・ない?」
刃を下ろすと、すぐさま間合いを取る。
ガナチ「うおおおっ!」
デュー「何者? ・・・子供?」
プル「仮面を被ってるほうが何者って感じだけど??」
デュー「ふふ・・・そうですね。」
プル「・・・! ふ、ふ~ん・・・ま、まぁ、いいけどね。」
デュー「あなた達は何故ここに? ここは危険ですよ。」
プル「そんなの知ってる。」
デュー「危険を顧みないのですか?」
ラディ「こっちには時間がない。用がないなら先行かせてもらう!」
先に行こうとするラディアスの肩を掴んで止めるプルミア。
プル「まぁ、焦りすぎるのも、良くないわよ、ラディ。」
ラディ「・・・。」
プル「お兄さんもワケアリみたいね。」
デュー「調べ物ですよ。」
迷いもせず、仮面の男が言い放つ。
プル「ふ~ん・・・じゃ、せっかくだから、手を貸してよ、仮面のお兄さん。」
デュー「・・・?」
プル「いいでしょ?」
デュー「・・・まぁ・・・いいでしょう。」
ガナチ「ちょっと待てよ。そんなに簡単に信用していいのか!?」
プル「信用できるわよ。」
ガナチ「何で!?」
プル「カンよ、カン。ほら、行くわよ。お兄さんも、行くわよ!」
とっとと行ってしまうプルミアに、ガナートが戸惑う。
ガナチ「お、おい! フィ、フィリア~、いいのか!?」
フィル「うん。」
ガナチ「ラディアスもっ!! いいのかっ!?」
ラディ「リアナを助けるためなら構わない。姉さんがいいって言ってるんだし。」
ガナチ「そ、そうか!?」
………。
ガナチ「はぁ、しゃーないな。なんか、いけ好かないが・・・」
ガナートが仮面男に指差す。
ガナチ「何か怪しいことしたら、俺があんたを倒す!」
デュー「好きにすればよいです。」
プル「あのさ、ガナート、あんたごときが何言ってるの?」
いつの間にか、ガナートの横にいるプルミア。
ガナチ「う・・・」
プル「気配くらい読んでくれないと困るんだけど。もう3回は死んでるわよ。」
ガナチ「う・・・」
0:55弟が信じる姉、妹が信じる兄----------------
急ぎ足で歩くラディアスを追いかけるようにガナートが後ろを歩く。
ガナチ「姉ってそんなに信じられるものなのか?」
ラディ「真面目な時の姉さんは、信用できる。」
プル「なんか引っかかるわねー。」
ラディ「こういうときは信用できない。」
ゴンッ!
ラディ「いだだっ!」
剣の柄でラディアスの頭を叩くプルミア。
プル「私も、こういうときは信用できないわね!」
ラディ「さっきは信用したくせに・・・」
デュー「話はそのくらいにしたほうが良さそうですよ。」
男の言葉で、物音に気づくラディアスとプルミア。
フィル「・・・来るよ。」
フィリアも気配を感じる。
ガナチ「く、来る・・・って?」
プル「ラディ、どうする?」
ラディ「どうって言われてもな。」
フィル「うん。」
ラディ「先に進むしか、ない。」
フィル「うん。」
プル「そうね。」
デュー「正面から攻め過ぎたのは、少し失敗ですね。」
プル「あははは。何の策もないもんねー。」
デュー「仕方がないですね。足止めしましょう。」
!
プル「・・・いいの?」
デュー「調べ物が、やってくるからですよ。」
プル「そ・・・じゃ、気をつけてよ、お兄さん。」
デュー「心配は・・・無用です。」
ラディアスのほうを向くプルミア。
プル「・・・ってことで、私たちは先に進むわよ!」
ラディ「あぁ。」
ガナチ「ぉ・・・プルミア、仕切ってるなぁ・・・さすがだな・・・」
1:15フィリアの真の力----------------
先頭を歩くフィリアとプルミアの動きが止まる。
フィル「いるよ。」
ガナチ「え?」
フィル「手ごわいかもしれない。」
プル「い、嫌な感じね・・・こんなに嫌な扉、ここ来て初めてね。」
ガナチ「わ、分かるのかよ・・・お前ら・・・」
ためらっている2人を他所に、扉を開けるラディアス。
フィル「あ・・・」
ガナチ「おっ、おいっ!!」
ギギギぎ・・・
………。
扉を開くと広い空間、そこに1人孤独に立つ傭兵。
スル「侵入者がこんな子供達とは・・・」
プル「・・・!」
………。
プル「な・・・なーんだー、ただのおじさんかー。興味なーし。」
そう言うと、すぐさまフィリアのほうを向く。
プル「フィリア~、そろそろ本気でやったら~?」
フィル「お姉ちゃん、うるさい。」
ガナチ「お、おい・・・」
プル「いけるでしょ? 足止めくらい。」
フィリアは一瞬ラディアスのほうを向き、再びプルミアに話しかける。
………。
フィル「お兄ちゃんに、何かあったら・・・」
プル「分かってるわよ。ヘマはしない。」
フィリアが言い切る前に返事をするプルミア。
プル「じゃぁ、任せるわよ。足止め。」
フィル「足止めの必要はないよ。倒すよ。」
プル「言うわね。それじゃ、任せるわよ!」
ポンとフィリアの背中を叩くプルミア。
プル「じゃ、ラディもガナチーも、後はフィリアに任せて行くわよ。」
フィル「・・・やる。」
そう呟くと、フィリアが一瞬にして、敵の前へ移動する。
ス・・・
スル「速いな・・・」
スルファトが斬り返す。
ガギンッ!!
フィリアが四方八方から、剣を打ちこみ、それを捌くスルファト。
ガナチ「フィリア!? つ、強い・・・うそ・・・」
プル「本気のフィリア・・・ま、知らないか。フィリアは私以外には無敵。」
ラディ「オ、オレも・・・あんなの初めて見た・・・」
プル「この間に先、行ちゃうわよ。ほらほらほらっ!」
ラディ「あ、あぁ。」
ガナチ「お、俺はフィリアをサポートするっ!」
プル「はぁー? ・・・勝手にすれば? することないと思うけどね。」
1:25迷わぬ太刀筋----------------
キンッ!
一旦フィリアが下がる。
フィル「あの・・・私が相手みたいだよ。」
スル「誰一人、通すわけにはいかない!」
プルミア達を狙おうとするスルファトに、すかさず、フィリアが攻撃を仕掛ける。
スル「ぐっ!」
パパンッ!!
二本の剣で交互に打ち込む。
スル「その細い腕から、なんという力強い攻撃を・・・」
フィリアが切り返す。
ガギッ!!
スル「・・・っ!!」
スルファトの剣が軋む。
スル「いや・・・この力は・・・太刀に迷いがない・・・」
剣を弾くと同時に、フィリアが下がる。
フィル「話しながら戦えるんだね。器用だと思う。」
ガギギッ!!
スル「その歳で、そのような冷酷な太刀を持つとは・・・残酷なことだな・・・」
スルファトが攻撃を仕掛け、それを受け止めるフィリア。
スル「ぐ・・・それとも・・・心をすべて閉ざして戦えるというのか?」
フィル「うーん・・・良く分からないよ。」
スルファトの独り言に、答えてみるフィリア。
スル「はっ!」
スルファトが素早く放った真空波を、フィリアはかわしつつ、体を捻る。
フィル「邪閃!」
スル「氷床結界!」
パアアァン!!
黒い閃光と氷の結界が弾けると共に、強い光を放つ。
スル「くっ・・・」
フィル「隙・・・」
スルファトの一瞬の隙に、フィリアがスルファトのほうへ突っ込む。
スル「・・・!!」
フィル「邪神剣・・・終闇。」
フィリアを中心に、周りの空間が漆黒の闇に包まれ始める。
スル「フィールド!?」
両者が漆黒の闇に包まれる。
!!
!!
一瞬の後、闇の中からスルファトが勢い良く吹き飛ぶ。
ズシャシャアアァァ・・・!!
………。
………。
闇が霧のように消え、そこにフィリアの姿が現れる。
フィル「ふは・・・」
膝を付くフィリアに、ガナートが近づく。
ガナチ「フィ、フィリア・・・大丈夫か・・・?」
フィル「・・・うん。」
ガナチ「フィリア・・・その力・・・」
スル「全く何者なのだか・・・」
・・・!!
スル「これを食らったのは・・・20年ぶりくらいだな・・・」
フィル「ちょっと、時間が足りなかったかな・・・」
ス・・・
スルファトが立ち上がり、剣を構える。
スル「まだだ。まだ、負けられない・・・」
スルファトと合図共に、四方から異形の群れが現れる。
その数は百体近い。
ガナチ「な・・・」
フィル「さっきのに追いつかれちゃったね。」
ガナチ「ぅ・・・ウソだろ・・・?」
フィル「・・・ガナート君、半分、お願いできる?」
ガナチ「は、半分て・・・何体だよっ!?」
フィル「う~ん・・・」
ガナチ「軽く100体はいそうだぞっ!」
フィル「そうだね。」
ガナチ「マジでやべぇ・・・」
フィル「うん。」
スル「・・・ゆけっ!!」
1:40プルミアとカラクリ機械----------------
先を急ぐラディアスが、突然足を止める。
ラディ「この先にリアナがいる。」
プル「そこ?」
ラディ「間違いない。」
プル「じゃ、とっとと行って助けるわよ。」
ズウウゥン!!
後ろの重低音に気づき、振り返るラディアス達。
ラディ「な・・・き、機械?」
プル「ロボットじゃないの!?」
高速でラディアス達のほうへ向かってくる。
プル「ああ~ん、もうっ!!」
ラディ「姉さん!?」
ザッ・・・
プル「でやぁ!!」
すかさずプルミアがブラックファイアを放つ。
プル「ほらっ! 今のうちに、なんとかしなさいよっ!!」
ラディ「と言われても・・・」
プル「うりゃあぁぁ!!」
強烈な一撃が機械に打ち込まれる。
ラディ「姉さんっ!?」
プル「早くっ!! あんたじゃ、コイツ、止めらんないでしょうがっ!!」
ラディ「あ、ああ!!」
ラディアスが奥の扉のほうへ行く。
ヒュン・・・
着地したプルミアが片方の剣を上空に投げ魔法を刻む。
ザッザザッ・・・
プル「・・・ッ!! エラプションテアッ!!」
プルミアが落ちてくる剣を掴むと同時に、灼熱のマグマが機械を取り囲む。
・・・パッシイィィィィン!!
機械から衝撃波が発生し、マグマが消滅する。
プル「はぁ・・・私の適応力じゃ、あれ熔かすほど高温にならないか・・・」
ガシャッ!
機械の腕から、チェーンソーが現れ、チェーンソーが勢いよく回転を始める。
プル「え? チェーンソー? 趣味悪ぅ・・・」
ギンッ!
プルミアがガードエッジで防ぐ。
ガギギギギギギギギン!!
プル「あーっ!!」
叫びと同時に後ろに下がるプルミア。
プル「な、な・・・なんてことしてくれるのよっ!!」
チェーンソーによって、ガードエッジの刃がボロボロになってしまう。
プル「さ、サイアク・・・」
ブンッ・・・!!
機械のチェーンソーの一撃を、間一髪で避けるプルミア。
プル「冗談はなしか・・・あんた・・・剣の材料にしてやるんだからっ!!」
2:05時間と空間と----------------
コツコツコツ・・・
ラディ「リアナ・・・」
リアナ「・・・ん。」
・・・!!
ラディ「リアナ? リアナッ!?」
リアナ「おに~ちゃ~ん・・・?」
微かに聞こえるリアナの声の位置を確認するラディアス。
ラディ「ここ、ここか?」
ゴンゴンゴン!
リアナ「はうぅ~」
ラディ「無事・・・なんだな。」
リアナ「はぅですぅ~・・・」
………。
ラディアスが鉄塊の扉に手を当て、溜息をつく。
ラディ「はぁ・・・こんなドア、力まかせで破壊できるワケないし・・・」
・・・!
ラディ「空間・・・歪められるか・・・?」
ラディアスがふと上を見る。
ラディ「通気口か。 ・・・!」
ゴンゴン!
ラディ「リアナ? リアナ、聞こえる?」
リアナ「うん・・・」
ラディ「今から扉の上にある通気口を下に広げる。」
リアナ「ふぇえ?」
ラディ「そこから出てくるんだ。」
リアナ「はぅ・・・よ、良く分からないですぅ・・・」
ラディ「実際に見れば分かると思うから。いいな?」
リアナ「うん。で、でも・・・おにーちゃん、こっち、3人いるですよ・・・」
ラディ「え、3人・・・か。じゃぁ、順番に出るんだぞ。」
リアナ「は、はいですぅ。」
ラディアスが魔法を刻み始める。
ザザ・・・ザ・・・
………。
ラディ「スペースワインド!」
光が発し、そこから空間が歪み、通気口が大きく開く。
ラディ「リン・・・い、今っ!」
リアナ「うぅ・・・はぅぁ~っ!!」
リアナが思い切って、開いた通気口に飛び込む。
続けてリアナと一緒にいた2人も飛び込む。
リアナ「は、はうぅー・・・うー・・・」
ラディアスに抱きつくリアナ。
ラディ「大丈夫だったか?」
リアナ「う、うぅー。おにーちゃぁん。はうぅ・・・」
ラディ「もう・・・大丈夫・・・」
リアナ「あうぅ~・・・」
ラディ「キミ達も・・・大丈夫かい・・・」
ローラ「は・・・ぃ・・・」
シオン「ラディ・・・? ラディッ!!」
ラディ「ぉ・・・? ・・・!! シ、シオン!? シオンまで!?」
2:10必死の無限フィールド----------------
ラディ「姉さん!」
プル「ラディ!? ま、まだ・・・!?」
一瞬、余所見をしたプルミアが、機械の攻撃を一瞬遅れてかわす。
プルミアが体勢を崩すと、敵がすかさず突っ込んでくる。
プル「・・・っ!」
ラディ「ね、姉さんっ!!」
ズギャンッ!!
プルミアの目の前で、ラディアスのレインフォレストが機械に突き刺さる。
機械「ガ、ガギギギ・・・」
プル「敵、動くよっ!!」
ラディ「うっ、う、うわああぁぁー!!」
敵の周りに空間の歪みが見えはじめると、敵が不自然な形に曲がり始める。
ラディ「う・・・ど、ど、どっかいけーっ!!!!」
ズッギャアァァァァーーーーンッ!!!!
鋼の塊が吹っ飛び、グシャグシャになって崩れ落ちる。
ラディ「ふ、ふはぁ・・・はぁ・・・」
………。
プル「こ、これ・・・フィールド!? また・・・?」
ラディ「ふ・・・はぁ・・・ね、姉さん、大丈夫?」
しゃがんでいるプルミアに、ラディアスが手を差し伸べる。
………。
ペシ!
ラディ「あた。」
プル「・・・別に。あんたが邪魔しなくてもいいのにっ!」
ラディ「え・・・? で、でも・・・」
プル「私を誰だと思ってるの!? ラディ?」
ラディ「でも、随分、苦戦して・・・あだっ!」
プル「そんなことないっ!!」
プルミアがラディアスの脛を蹴る。
ラディ「ったく・・・」
リアナ「おにーちゃん、すごいですぅ~、わははぁ~い。」
だきっ!
ラディ「うわっ!」
ラディアスに抱きつくリアナ。
ラディ「リアナ・・・本当に無事で良かった・・・でも、今は、早く逃げないとな。」
プル「血・・・なのかしらね。」
ラディ「え?」
プル「なんでもないわよ!」
2:20抜けないツルギ----------------
プルミアと合流したラディアス達が出口を目指し歩き始める。
しかし、プルミアとリアナ達とは反対方向へ行くラディアス。
プル「ちょっと! ラディ、どっち行くのよ!?」
ラディ「あ、あぁ、剣を・・・剣が機械に刺さったままだから・・・」
プル「!」
ラディ「ちょっと取ってくる。」
プル「!! ラディっ! いいわっ! 私が取ってくる。」
ラディ「え? いや、オレが・・・」
プル「あんたはリアナ達と一緒にいる! あのメカが動いたら大変でしょうがっ!」
ラディ「! あ、あぁ・・・」
リアナ「おにーちゃん?」
ラディ「そ、そうだな・・・」
リアナ「どうしたれすか?」
ラディ「ん? あ、あぁ、姉さんにオレの剣を取りに行ってもらってるの。」
リアナ「ほえぇ~・・・」
プルミアがぐしゃぐしゃになった機械の前に行き、剣の刺さった所を探す。
プル「・・・?」
地面に目を向けると、機械からオイルと大量の紅い液体が流れ出ている。
プル「っ・・・やっぱ・・・この臭い・・・」
………。
プル「!」
プルミアが機械に刺さった剣を見つけると、剣を握って引き抜こうとする。
ぐ・・・ぐぐぐぐ・・・
プル「んっ・・・!」
ぐぐぐぐぐぐ・・・!
プル「っはぁ・・・」
一息ついた後、プルミアが機械から離れ、ラディアス達の所へ戻ってくる。
ラディ「抜けない?」
プル「無理ね。」
ラディ「じゃぁ、オレが・・・」
プル「あんたはいいからっ!」
ラディ「でも、姉さんから貰ったものだし・・・」
プル「私の力で抜けないんだから、あんたじゃ絶対無理っ!」
ラディ「でも、やってみないと・・・」
プル「ああもうっ!! いいから、行くわよ!」
ラディ「! わ、分かったよ・・・」
2:30エディスの都合に乗せられ----------------
ラディアス達の前に、白衣の女性が現れる。
・・・!
エディ「ラディアス君、なんていい所に!」
ラディ「エディス先生??」
プル「先生?」
エディ「話はあと! 手伝って!」
ラディ「え? えっ!?」
エディ「時間がないからっ! 早く!」
エディスがラディアスを掴む。
エディ「プルミアちゃん、ごめんなさい、ラディアス君、借りるわよ。」
プル「は、はーい。」
!
エディ「こっちの出口なら、すんなり出れるから、そこから脱出しなさい。」
プル「・・・はい。」
………。
リアナ「お、おねぇちゃん・・・?」
プル「はぁ・・・疲れてるわね・・・」
プルミアがリアナの頭をコンコン叩く。
プル「じゃ、こっち行くわよ。」
トとトト・・・
プルミアがエディスの言った扉に近づき、半開きの扉を開くプルミア。
プル「!! ・・・リアナ、ちょっと待って!!」
リアナ「はう!」
プルミアが扉を戻す。
プル「すんなり・・・って敵全滅ってこと・・・?
リアナ「あうぅ・・・ヘンな臭いがするですよ・・・」
プル「すごい血の臭い・・・あの先生、趣味悪いことするわね・・・全く・・・」
シオン「き・・・気持ち悪い・・・」
ローラ「・・・。」
プル「こっちは子供連れだっていうのに・・・」
!
プル「私も子供っちゃぁ、子供か・・・」
リアナ「あうぅ・・・」
プル「まだこっち来ないっ!!」
リアナ「は、はうですっ!!」
シオン「うん。」
ローラ「・・・。」
プル「目を閉じて、私に掴まってるのよ。絶対目を開けちゃダメだからねっ!!」
リアナ「は、はぃですっ!」
シオン「う、うん!」
プル「あと、鼻で息しちゃダメだからねっ!」
2:50黒鳥の繰者が守る者----------------
エディ「滅する! ジェルノティック・ノヴァ!!」
光りと共に、一瞬にして数十体の異形を消滅させる。
ビシャアアァァ!!
残った肉片から血が噴き出る。
ラディ「先生・・・う・・・うぇ・・・」
エディ「ごめんね、グロいもん見せちゃったわね。」
目に手を当てながら答えるラディアス。
ラディ「は、はぁ・・・ちょっと気分が・・・」
ポン。
エディ「でも、今はそんなこと言ってられないの! ここ! ここの扉、開いて!!」
ぐぐぐ・・・
ラディ「開かないですよ・・・」
エディ「こらこら。手で開くなら、ラディアス君、必要ないでしょ?」
ラディ「あ・・・空間褶曲・・・?」
エディ「そうよっ!! 早く!!」
ラディ「あ、はい。」
………。
ラディ「ふぅ・・・」
ザ・・・ザザ・・・
ラディ「・・・てい!! スペースワインド!」
扉の隙間が徐々に開いていく。
エディ「もう少し!」
ラディ「うぅぅ・・・でいっ!!」
ラディアスの掛け声で、さらに開く。
エディ「さ、入るわよっ!」
ラディ「は、はいっ!!」
2:55ティリア奪還----------------
ギネル「何故ここにっ!?」
エディ「私のカワイイ生徒を、返してもらいに来たのよ。」
ティル「せ、先生・・・」
ラディ「ティ、ティリアさん?」
ティル「え、と・・・」
ガシッ!
ティル「きゃ。」
ティリアの首、手足を魔法で縛る。
ギネル「大人しくしてもらおうか! 少しでも動けば、小娘の首が落ちる。」
ラディ「うぐっ・・・」
震えながらもジッとするラディアス。
エディ「ティリアさん、安心して、必ず助けてあげますからね。」
ティル「は・・・はぃ・・・」
ギネル「ふん・・・何を言うかと思えば・・・」
エディ「・・・残念だけど、あなたの反応速度じゃ・・・その束縛は無意味よ。」
ギネル「!? 少しでも変なマネをすれば・・・」
ボンッ!!
ギネル「ぐあああああーーーーー!!!!」
ティリアを束縛する魔法が消滅し、同時にギーネルの両手が弾ける。
エディ「ラディアス君、ティリアさんをっ!!」
倒れそうになるティリアをラディアスが支える。
ラディ「・・・っと。」
エディ「早く、ここから出なさい!」
ラディ「は、はい!!」
急いで離れるラディアスとティリア。
ギネル「ぐ、ぐ・・・あ・・・」
もがくギーネルの目の前で、エディスが見下すような目をする。
エディ「ふふ・・・私が生まれてきたこと、後悔してるでしょう? ねぇ?」
ギネル「ううぅ・・・エレ・・・うっ!?」
ギーネルを足で踏みつける。
エディ「用済みの気分は・・・どう・・・?」
ガスッ!
ギネル「うぐぐ・・・ぐ・・・エ、エレシー・・・」
エディ「ふふ・・・」
ギネル「っ・・・!!」
エディ「黒き邪の繰る所へ・・・クロウズフレア!!」
ギネル「ま・・・」
3:30極限を越えた少女----------------
フィル「はぁ・・・はぁ・・・」
疲れで屈むフィリアの周りには、異形の死体が山になっている。
スル「なんという執念・・・」
フィル「ふは・・・はぁ・・・」
スル「いや、だが、そこの青年を庇いつつ、ここまで良くやったものだ。」
フィル「・・・っ!」
スルファトがフィリアの首元に剣を付ける。
スル「しかし、これで終わりだ。恨まないでくれ。」
フィル「かは・・・」
高速移動し、ガナートのほうに行くフィリア。
スル「まだか・・・良くやる・・・」
ゆっくり歩き、フィリアのほうに近づく。
フィル「・・・が・・・ガナート君・・・動ける?」
ガナチ「あ、あぁ・・・なんとか・・・」
フィル「ちょっと厳しいよ。」
ガナチ「ちょっとドコじゃないだろ・・・くそ・・・」
フィル「もう、庇えないかな・・・」
ガナチ「あ、あぁ・・・すまん・・・」
フィル「がんばってね。私もがんばる。」
ガナチ「お、おぅ。」
フィリアが敵の群れに飛び込む。
ガナチ「俺が引き付けるっ!!」
ガナートがファイアボールで牽制する。
バアアアアンッ!!
ガナチ「こっち! こっち!」
敵が振り向くと、その隙をフィリアが狙う。
フィル「邪閃!」
バシュアッ!!
フィリアの放った剣波が数体の異形を斬り裂く。
ガナチ「これくらいしか・・・できねー!」
ガナートが更にファイアボールを打ち込み、敵の群れを牽制する。
ガナチ「この・・・っ!」
スル「・・・。」
ザンッ!!
スルファトが振り下ろした剣がガナートに突き刺さる。
ガナチ「うぐぐう・・・」
フィル「!」
ガナートがよろけた瞬間、スルファトの喉元にフィリアの剣が近づく。
スル「くっ・・・」
間一髪で攻撃を避けるスルファト。
スルファトが下がった隙にフィリアがガナートを抱え、高速移動で離れる。
フィル「・・・。」
フィリアがガナートの腰に手を当て、ガナートの傷を塞ぐ。
ガナチ「す、すまん・・・」
フィル「良かったね、致命傷じゃなくて。」
ガナチ「あ、あぁ・・・本当にすまん・・・」
フィル「でも、かなり厳しいよ。」
ガナチ「なんとか・・・逃げる方法、考えないとな・・・」
フィル「そう・・・だね。」
3:45ティリアの意思とスルファトの事情----------------
奥の扉が開く音。
ティル「やめてーーーー!!!!」
ティリアの声でハッとした表情を見せるスルファト。
スル「ティリア・・・?」
ティル「お父さん、なんで・・・こんな・・・」
スル「ティリア・・・」
ティル「私は・・・」
………。
ティリアが辺りを見回し、フィリア達を見つける。
………。
ティル「私は・・・クラスメートを失ってまで、学校に行きたくないです!」
スル「・・・。」
ティル「他人を傷つけて生きていくくらいなら・・・・っ!」
ティリアが小刀を首に当てる。
スル「!? わ、分かった。分かった・・・ティリア・・・」
剣を下ろすスルファト。
スル「ここまでか・・・」
カラン・・・
スルファトが放した剣をティリアが拾う。
ティル「こんなに・・・」
ラディアスがフィリアのほうに駆けつける。
ラディ「フィリア!」
フィル「うん?」
ラディ「大丈夫か?」
フィル「・・・。」
ラディ「フィリア・・・?」
フィル「うん・・・ちょっと・・・疲れたかな・・・」
フィリアがラディアスの肩に凭れ掛かる。
ガナチ「リアナちゃん、見つかったんだな・・・」
ラディ「あぁ。ガナートも大丈夫か?」
ガナチ「お、おう・・・」
ラディ「ガナート、ありがとう。」
ガナチ「なんだよ? らしくないことを言いやがって・・・」
ラディ「あぁ・・・」
エディ「ラディアス君。」
ラディ「は、はい。」
エディ「ティリアさん達は私が連れていくから、先にみんなを連れて脱出して。」
ラディ「はい。」
エディ「また学校でね。」
7:30徹夜明けの雰囲気----------------
フィリアが台所に入ってくる。
フィル「連絡ついたよ。」
テーブルで伏せているラディアスに声をかける。
ラディ「・・・。」
フィル「・・・寝てる?」
ラディ「う・・・あ、あぁ・・・いや。」
ほんの少し顔を上げて返事をするラディアス。
フィル「ファティマ叔父さんの所に連絡ついたよ。」
ラディ「ふわあぁ~・・・そっか・・・良かった。」
フィル「うん。」
ラディ「オレ・・・寝ようかな・・・ふわあぁぁ~・・・」
再び大きな欠伸をする。
フィル「うん。」
ラディ「フィリアは寝なくて大丈夫なのか?」
フィル「うん。」
ラディ「はあぁ・・・徹夜なんて久しぶりだよ。」
フィル「うん。」
ラディ「とりあえず、もう限界・・・」
フィル「お兄ちゃんは寝てていいよ。」
ラディ「ぅ・・・すまん・・・」
フィル「うん・・・」
プル「なっさけないわね~・・・」
プルミアがラディアスの頭を叩く。
ベシッ!
………。
ラディ「いてて・・・」
プル「反応、遅過ぎ・・・」
ラディ「ぅ・・・」
プル「ちぇ、寝てるし・・・」
ラディ「Zzz・・・」
うに。
プルミアがラディアスの頬っぺを摘むが無反応なラディアス。
うにうに。
うにうにむに~。
プル「つまんなぁ・・・じゃ、私も寝るわ。」
フィル「・・・うん。」
トトト・・・
フィル「お兄ちゃんも布団で寝たほうがいいよ。」
ラディ「・・・ぁ・・・」
フィル「・・・。」
10:35想いすれ違う姉弟----------------
ファティマがリューネの部屋に入る。
ファト「なんだか、酷いことに巻き込まれたもんだな。」
リュン「・・・そうね。」
ファト「だが、皆、無事で何よりだ。」
リュン「えぇ・・・」
ファト「ラディアス君達には感謝だよ。シオンが連れ去られた時は青ざめたから・・・」
ファティマがテーブルの横にある椅子に座る。
ファト「昔より治安が良くなったと言われるが、そうでもないよな。」
リュン「今回の件は、フィリア、プルミアの力が大きいわ。」
ファト「彼女達の能力か・・・」
リュン「そう。」
………。
ファト「助けてもらったのに、こんなこと言うのもなんだけど・・・」
リュン「?」
ファト「フィリアちゃんに頼りすぎじゃないか? 彼女だって、普通の子供だぞ?」
リュン「フィリアは普通ではないわ。」
ファト「確かに、剣の腕が一級品でも・・・まだ隙があるだろう?」
リュン「フィリアは精神面でも超越してるわよ。」
ファト「そうか?」
リュン「昔の私と同等の力を与えているのだから。」
ファト「姉さんはフィリアちゃんを道具としか思ってないように聞こえるよ。」
リュン「そんなこと・・・」
ファト「姉さん、自分の子だろう? もう少し・・・」
リュン「説教なら間に合ってるわ。」
ファト「そういう問題じゃないだろうっ!?」
リュン「・・・。」
………。
ファト「なぁ? 自分が生んだ子供だろう? どうして・・・?
リュン「・・・。」
ファト「もっと、フィリアちゃんの将来、考えてやらないと。」
ファト「俺達は親として、子に与えてやるものはなんだと思う?」
ファト「将来の選択肢を広げてあげることじゃないのか?」
ファト「人として多様に生きれる。フィリアちゃんだって同様だ。」
ファト「今のままでは、姉さんを失った時、フィリアは壊れてしまうぞ。」
リュン「・・・。」
ファト「それでも・・・それでもいいのかっ!?」
リュン「・・・。」
………。
………。
ファト「ったく・・・」
バタン・・・
ドアの向こうで待っていたエレナがファティマに話しかける。
エレナ「ダメ?」
ファティマが首を横に振り、溜息をつく。
ファト「はぁ・・・いつものだんまりだよ。」
エレナ「しょうがないでしょう?」
ファト「それは分かってるが・・・それではあんまりだと思う、フィリアちゃんが。」
エレナ「リューネさんには、リューネさんの考えもあるでしょうし・・・」
ファト「あの人は、厳しく育てられたからな・・・」
ファティマが再び溜息をつく。
ファト「ティナ姉さんや私とは違ってな・・・」
エレナ「育て方って、育ち方で変わるもの。私だってそうなってる・・・」
ファト「せめてエル兄さんがいてくれれば、随分違ったのだろうけど・・・」
12:10シオン、またね----------------
シオンが玄関で靴紐を結んでいる所、プルミアがシオンの頭を叩く。
ぺちぺち。
プル「じゃ、シオンも元気でやんなさいよ。」
シオン「あの・・・ラディは?」
プル「ラディ? 寝てるわよ。絶対起きないわね。」
シオン「そっか・・・」
プル「そのうち遊びに行かせるわよ。」
シオン「う、うんっ!」
ファト「プルミアちゃん、ありがとな。」
プル「叔父さんも気をつけてよ。治安、宜しくないみたいだからさ。」
ファト「あぁ。今回の件は・・・本当に申し訳ない。」
プル「偶々だけどさ、ホントに良かったわよ・・・」
ファト「あぁ。本当にありがとう。今度、遊びに来てな。」
プル「は~い。」
ファト「フィリアちゃんも、ありがとうな。」
フィル「はい。」
エレナ「それじゃあね。」
プル「じゃ、叔母さんも、シオンも、またね。」
シオン「う、うん!」
フィリアが靴を履きはじめる。
フィル「港まで送ります。」
ファト「いや、いいよ。フィリアちゃんも疲れているだろう?」
フィル「ですが・・・」
ファト「本当に大丈夫だよ、フィリアちゃん。」
エレナ「気持ちだけで、充分よ。ありがとう。」
フィル「・・・はい。」
パタン・・・
………。
………。
プル「・・・ふぅ。じゃ、私、もう一回寝るから。」
プルミアが軽く手を振りながら階段を上る。
フィル「・・・うん。」
19:00なんでそんな疲れるかな----------------
夕飯時。ラディアスがフラフラ台所に入ってくる。
フィル「! お兄ちゃん、ご飯。」
フラフラ・・・
ラディ「・・・。」
目を閉じたままイスに座り、ご飯を食べ始めるラディアス。
プル「寝ながら食べてる・・・」
リアナ「お、おにーちゃん・・・?」
モグモグ・・・
モグモグ・・・
モグモグ・・・
ガタッ!
テーブルの食べ物を平らげると、立ち上がって台所から出て行く。
フラフラ・・・
リアナ「はぅあ~・・・全部食べてるですよ。」
フィル「全自動だね。」
リアナ「頭も爆発してたですよぉ・・・」
プル「よっぽど疲れたんじゃないのぉ?」
リアナ「はうぅ・・・」
プル「でも、ラディは疲れ過ぎ。私達に比べたら、何もしてないの同然なのにさ。」
リアナ「そ、そーなんれすかぁ・・・?」
フィル「・・・。」
プル「私なんて変な時間に寝たから、逆に夜、寝れなそうなのに・・・」
リアナ「おねーちゃん?」
リアナがフィリアの服の袖を引っ張る。
………。
フィル「・・・ぅん?」
リアナ「おねーちゃんも疲れてる・・・?」
フィル「う~ん・・・そうだね。少し。」
プル「ま、フィリアは苦戦してたみたいだし、しょうがないわよねー?」
フィル「!」
プル「私も寝よ。じゃ。」
プルミアがさっと食器を片付け、流しに放り込む。
………。
フィル「・・・。」
リアナ「お、おねーちゃん・・・ダイジョプ・・・?」
フィル「平気だよ。」
リアナ「はぅ・・・」