S197 4月14日(木)
曇る空と無風。静かな不安を煽るような天気の日。
そして、1人、姿を消した少女。
気にすることもなく、学校生活を続けるラディアス達。
この後、意外な場所で会うことも知らずに・・・
8:45ティリアの欠席----------------
チャイムが鳴ると同時に、エディスがやってくる。
エディ「はいはい、席についてねー。」
来て早々出席をとりはじめる。
………。
………。
………。
エディ「ティリアさん。」
シーン・・・
エディ「ティリアさん・・・?」
エディスがティリアの席を見る。
エディ「あら・・・休みかしら・・・?」
シーフィアが後席のフィリアに声をかける。
シフ「ティリアさん、いないね。」
フィル「うん。」
エディ「・・・と・・・連絡も来てないわね・・・」
ぺぺら・・・
エディ「あぁ・・・このクラス初の欠席ね・・・」
………。
プルプルさせながら赤ペンを出欠簿に持っていくエディス。
エディ「あああ・・・出欠簿に赤ペンが入ってしまう~。」
シーン・・・
………。
エディ「誰か突っこんでくださいね。」
ガナチ「あれに突っ込みを入れるのは、なかなか難易度高いよな。」
ラディ「そうなのか?」
ガナチ「かなりの高等技術を要する、と思われる。」
後ろ向きになって話すガナートに指さすエディス。
エディ「じゃ、そこ。ガナート君!」
ガナチ「おわっ!!」
エディ「以後、ガナート君が突っ込むように。」
ガナチ「うそ!?」
エディ「本当です。」
ガナチ「いや・・・先生に突っ込みを入れるのは難易度高いですって!」
エディ「ダメです。決定です。」
ガナチ「ちょ、ちょっと、お願いしますよ!」
エディ「はい、じゃ、次~・・・」
ガナチ「うががっ!!」
12:35アナベル落ちる----------------
ラディアスが廊下を歩いていると、そこにセルフィナが通りかかる。
ラディ「あ・・・」
フィナ「ぁ・・・」
ちょうど目の前で目が合い、お互い立ち止まる。
ラディ「あ、あの・・・セルフィナ・・・さん・・・」
フィナ「ラ・・・ディアス君・・・?」
ラディ「え・・・と・・・」
二人が立ち止まり、間の悪そうにしている所に、激しい怒鳴り声が降りかかる。
アン「きっ、貴様ぁー!!!!」
セルフィナの後ろからやってきたアナベルがラディアスに取っ付きかかる。
アン「セルフィナに触るんじゃねぇ!!」
ラディアスの首を掴み、強く締め付ける。
ラディ「うぐぐ・・・」
ドゴッ!!
ラディアスを廊下の壁に押し付け、さらに強く締め付ける。
アン「貴様のせいで!! 貴様のせいで・・・!!」
ラディ「ぐぐ・・・」
プル「あんた、いい加減にしなさいよっ!!」
アン「な、なんだよ、プルミア!?」
プルミアがラディアスとアナベルを引き離す。
ラディ「げほっげほ・・・」
アン「これは俺とこいつの問題だ!! 邪魔するな!!」
アナベルがプルミアの手を掃い、怒鳴り散らす。
プル「はあぁ!? アンタが私の弟に因縁つけてるんじゃないっ!! 問題大有りっ!!」
アン「弟っ!?」
プル「誰がどう見たって、姉弟でしょうがっ!!」
アン「ぬぅ・・・」
ラディアスとプルミアの顔を交互に見るアナベル。
プル「分かった!? ワケ分かんない因縁つけんじゃないわよ!」
アン「だ、だが、俺はコイツに借りがあるんだっ!! プルミア、どけっ!!」
プルミアの肩を掴み、横へ押し飛ばそうとするアナベル。
プル「っく・・・ふ、ふざけんじゃないわよっ!」
プルミアが逆にアナベルの腕を掴む。
アン「離せっ!!」
プル「こ、このぉー!!!!」
アン「ううっ!?」
・・・ドゴッ!!
プルミアがアナベルの背をとり、豪快にバックドロップを決める。
プル「ったく・・・ラディ、大丈夫?」
パンパン・・・
立ち上がり、服を掃いながら、ラディアスに話しかける。
ラディ「あ、あぁ。それより、あれ・・・」
プル「ん?」
ピクリともしないアナベルの頭を突付いているセルフィナ。
フィナ「お兄ちゃん? お兄ちゃーん・・・?」
プル「・・・ほっときなさいよ、セルフィナ。」
そう言ってセルフィナを立ち上がらせるプルミア。
フィナ「お兄ちゃん・・・」
プル「じゃね、ラディ。」
プルミアがセルフィナの背中を押して、とっとと行ってまう。
ラディ「おぃ・・・この人、置いていっていいのか・・・?」
15:30エディスの示す、部のあり方----------------
エディ「今日は、簡単にこの部のあり方について話しますね。」
ガナチ「おぉ、まじめだ。」
エディ「いつもまじめです。」
シフ「えぇー!?」
………。
………。
エディ「・・・シーフィアさん、本気で驚くのはやめてください。」
シフ「す、すみませぇん・・・」
掌を合わせ謝るシーフィア。
ガナチ「確かに、驚くのも無理ないよな・・・」
ガナートがラディアスの耳元でこそっと話す。
エディ「ガナート君、聞こえます。」
ガナチ「うぉあ!!」
キイィィィィン!
ラディ「こ、こっちが叫びたいよ・・・人の耳元で・・・」
ラディアスが耳を押さえながら、ぼやく。
ガナチ「・・・ス、スマン。」
ラディ「はぁ・・・ぃてて・・・」
フィル「大丈夫?」
フィリアが両手でラディアスの両耳をふさぐ。
エディ「で・・・そろそろよろしい?」
ガラガラッ!!
勢いよく教室の扉を開けて、プルミアが入ってくる。
プル「先生、ホームルームちゃんとやってる!?」
エディ「え? えぇ・・・」
プル「ウチの担任どうにかしてよ。早く終わらせるよう言ってよ! 先生っ!」
エディ「私が?」
プル「絶対途中で話、脱線してるんだってばっ!!」
ラディ「姉さん、落ち着きなよ。」
プル「あーもうっ!!」
ゴスッ!
15:40今度こそ、部のあり方----------------
プルミアが入ってきたことで、話がごちゃごちゃになってしまう。
何故か殴られたラディアスが、ぼやく。
ラディ「八つ当たりは勘弁してほしいんだけど・・・」
プル「悪いのはウチの担任だから。」
ラディ「それはないと思うよ。」
ポンポン。
ラディ「ん?」
フィル「そもそも、この部、何部?」
フィリアの素朴な疑問に、何かに気づくラディアス。
ラディ「え・・・?」
フィル「何部?」
ラディ「・・・い、いや・・・そういや、知らないな。」
シフ「あ・・・わ、私も聞いてないかも・・・」
フィル「知ってる?」
フィリアがガナートに話を振る。
ガナチ「ぉ、お、おっ、俺も知らない・・・」
ラディ「なんとなく想像できたが・・・微妙な反応だな。」
ガナチ「うっ、うるさいぞっ!」
ラディ「~。」
ガナートの苦し紛れな感じの返事に呆れるラディアス。
プル「何よ? みんな、なんの部かも知らずに入ったの!?」
ラディ「姉さん、先生から教えてもらった?」
プル「知らない。」
………。
エディ「魔導部よ、魔導部。」
言うタイミングを逃していたエディスが話し始める。
シフ「な、なんか寄ってきそうな名前ですね・・・」
ガナチ「惑ってるんだから、寄れなくないか?」
ラディ「そうか?」
フィル「うん。」
プル「あ~なんか突っ込みドコに欠けるわねー。誰がボケ分からないし。」
皆が皆、意味不明なやり取りをし、プルミアが呆れる。
エディ「マホ研っていう呼び方もあるんだけれども。」
ラディ「マホ・・・?」
エディ「魔法研究部、が、正式名称かしらね。その手の部活です。」
シフ「はぁ。」
エディ「私的には、魔導部で登録しようと思ってます。」
シフ「はぁ。」
エディ「あ、でも、部と言っても、マジでやる必要ないわよ。」
シフ「え?」
エディ「別にマジでもいいですけど。」
ラディ「?? ど、どういうことですか・・・?」
エディ「それは・・・」
………。
エディ「何かの顧問やってないと、色々仕事押し付けられちゃうのよ!」
ガナチ「うぉ!!」
シフ「それだけ・・・ですか?」
エディ「8割7分は、それ。」
シフ「多い・・・」
ラディ「なんか中途半端な割合だなぁ・・・」
………。
15:55気を取り直して----------------
エディ「気を取り直して・・・部活動ですが、基本は自由です。」
ガナチ「自由なのかー!?」
フィル「だって。」
ガナチ「な、なのかぁ・・・なのかぁ・・・なのかぁ・・・」
声をフェードアウトさせながら、小声になって話すガナート。
エディ「ええ。」
シフ「あの・・・部・・・ですよね・・・?」
エディ「そうです。大枠では・・・魔法の研究です。」
シーフィアがちょっとホッとする。
エディ「魔法の勉強は、実技、理論と授業でたんまりやりますけど・・・」
エディ「通常の授業以外の部分でフォローしたいと思っています。」
エディ「あとは・・・共通の目標としては、各種校内大会の参加・・・かしらね?」
シフ「校内大会・・・って、この前の魔導大会とかですか?」
エディ「そうです。校内では、年に4回あって、この前のは、その内の1回です。」
黒板の前に行って話し出すエディス。
エディ「この前のクラス対抗魔導大会、ソーサリズムから始まって・・・」
カツカツ・・・
エディ「初夏、7月に武技の個人戦、ソーディスト。」
カツカツカ・・・
エディ「秋中旬、10月に総合無差別系個人戦、マイテェリア。」
エディ「それと・・・年明けの1月には、総合団体戦のパルディオン。」
カツカツカツカッ!
エディ「・・・と。で、開催されるのはこの4回です。」
プル「4つ・・・」
エディ「特に10月にあるマイテェリアが校内の最高峰です。」
ラディ「ま、巻いてるや?」
エディ「マイテェリア。言えない人はマイテリアって言ってるわね。」
ラディ「マイテリア・・・」
エディ「そう。結構なお偉いさんとか見に来るわよ~。」
シフ「お偉いさん・・・?」
エディ「それくらい注目されているってことよ。」
シフ「ふわわぁ・・・」
エディ「由来は確か、無敵・・・とか、そんな意味だったかしら?」
一息入れるエディス。
エディ「で・・・それらを狙うのも一つの目標ってことです。」
プル「面白そうねー。」
ラディ「姉さん向けだね、それ。」
シフ「またプルミー、優勝狙っちゃう?」
ガナチ「プルミアなら優勝総なめできるな。」
プル「まー、まかせといてよ。」
エディ「4冠達成した生徒は、まだいないみたいよ。団体戦もありますしね。」
プル「やりがいあるー。」
ラディ「おぉ、さすが姉さんだ。」
ガナチ「でも、この前の魔導大会、ウチのクラスが勝ったんだよな。」
ゴスッ!
ガナチ「グオオオ!!!!」
プル「来年やるのよっ!」
ガナートが殴られた頭を抱えてもがく。
………。
エディ「纏りないのはアレですが・・・基本は個人ですから、それは覚えておいて。」
シフ「はぃ・・・」
エディ「もち、特殊な魔法の特訓とかありよ。ラディアス君なんかは、特に有効でしょう?」
ラディ「ええ、まぁ・・・」
エディ「他の人も自分の属性に特化した勉強ができますしね。」
シフ「なるほど~。」
エディ「とりあえず、説明はこんな所かしらね。」
18:05取り付けに行くんだってばっ!!----------------
部屋で少し休んだラディアスが一階に降りてくる。
そのときちょうど廊下でプルミアと目が合う。
ラディ「・・・。」
即、目を逸らし、通り過ぎようとするラディアスの肩を叩く。
プル「ラディ、行くわよ。」
ラディ「いや、いい。」
ラディアスの腕を掴んで引っ張るプルミア。
プル「出かけるのよ。」
ラディ「な、な、な・・・いや、いいって!」
プル「出かけるって言ってるのよ!」
ラディ「いいって、いいって!」
プル「ラズトパ取り付けに行くんだから、来なさいってばっ!!」
ラディ「え、遠慮するよ・・・」
プル「いいのよっ!」
ラディアスの話を全く聞こうとせず、ラディアスを引き摺るプルミア。
ラディ「最近、オレ疲れてるし・・・」
プル「そんなのどうでもいいのよっ!!」
ラディ「な、なんでオレなんだー!?」
プル「あんたの意見はどうでもいいのよっ!!!」
ラディ「それは横暴だって!!」
プル「いいから、取りに行くんだってばっ!!!!」
ドカッ!!
ラディ「うわぁ!!」
ラディアスの腰を掴み、玄関に投げ飛ばすプルミア。
プル「フィリアー、ちょっと出掛けてくるからねー。」
………。
フィル「・・・うーん。」
台所からフィリアの声が微かに聞こえる。
プル「ラディも出掛けるからねー。」
フィル「・・・うーん。」
………。
ラディ「いたた・・・はぁぁ・・・なんで・・・・」
18:15属性石は加工してから取り付けるっ!----------------
辺りが徐々に薄暗くなってきた頃。
ラディアスとプルミアが商店街へ向けて歩き出す。
プル「ほら、早く行くわよ。」
ラディ「はぁ・・・んで、どこに行くのさ・・・?」
プル「はああ? 言ったでしょ? ラズトパ付けに行くのよ。」
ラディ「ラズトパって・・・姉さんの属性石だっけ?」
プル「そうよ。」
ラディ「また?」
プル「そうよ。」
ラディ「この前、買ったばかりじゃないの?」
プル「はぁ? だから、この前に買ったのを取りに行くのよ。」
ラディ「? この前、買ったのは?」
プル「はああ?」
ラディ「まだ持ってきてないの?」
プル「そりゃそうよ。加工してもらうんだから。」
ラディ「へぇ。」
プル「それで完成。」
ラディ「なるほど。」
プル「なんでそんなことも知らないわけ?」
ラディ「え!? いや、知らないわけじゃないって。やったことないからさ。」
プル「! ま、まぁ、そういやそうね。」
ラディ「あぁ。母さんから貰って、そのままだからね・・・」
プル「じゃぁ、覚えておきなさいよ。」
ラディ「そうだね。」
プル「そんなんじゃ、先が思いやられるわ・・・」
ラディ「なんか親みたいなこと言うなぁ・・・」
プル「私は保護者みたいなもんでしょうが。」
ラディ「それはないって。むしろオレが保護・・・」
ごっ!!
プルミアがラディアスの脚に蹴りを入れる。
プル「ほら、もっとテキパキ歩くわよ。」
ラディ「いててて・・・」
19:20プルミアのフェザー増設----------------
宝石屋の端にある待合室で、フェザーの加工を待っているラディアス。
カチャ。
プル「終わったわよ。」
プルミアが待合室に入ってくる。
ラディ「はぁ・・・」
長い間、椅子で座っていたラディアスが伸びをする。
ラディ「ううぅー、長かった・・・」
プル「そりゃそうよ、フェザーに埋め込んでもらうんだから。」
ラディ「できたんだ?」
プル「そ。・・・じゃ、行くわよ。」
さっさと店を出るプルミアにラディアスが続いて出る。
ラディ「見せてよ。」
プル「何を?」
ラディ「フェザーだよ、増設したやつ。」
何か思い出した素振りをするプルミア。
プル「あ、あ~・・・これよ、これ。」
ラディアスの前にフェザーを出す。
ラディ「なんでそんな・・・わざとらしいのさ・・・?」
プル「じゃ、見なくていいわよ。」
ラディ「あ、今の発言は、なかったことに・・・」
プル「しょうがないわねー・・・はい、これ。」
プルミアがラディアスにフェザーを渡す。
ラディ「へえぇ・・・」
フェザーの中心には、一際輝く宝石がある。
ラディ「今回入れたのがこれ?」
プル「ん、そう、今回買ったやつを中心にしたのよ。」
ラディ「一番大きいもんね。」
プル「それでここにあったやつをここに・・・あたっ!」
ラディアスとプルミアの足が縺れ合う。
ラディ「おわっと・・・」
プル「ば、ばかっ!」
ラディ「ゴ、ゴメン・・・」
プル「気をつけなさいよっ!! 全く・・・」
プルミアが半分脱げた靴を履きなおす。
トントントン。
プル「・・・と。」
………。
プル「まぁ、これでかなり戦力アップね。」
ラディ「これ以上、上がらなくてもいいと思うけど・・・」
プル「なんか引っかかる言い方ね。」
ラディ「い、いや・・・別に・・・なんでもないって。」
20:15リアナの災難----------------
静まり返った夜、台所のテーブルでウトウトしながら夕食を待つラディアス。
ドカドカドカ、ドガッシャ~ンッ!!!!
リアナ「ぐうぉわあーっ!!!!」
ラディ「・・・!?」
びっくりして起き上がったラディアスが、無言で台所から階段のほうへ行く。
階段の下でリアナが床に転がり、もがき苦しんでいる。
リアナ「あ、あううううー!! 痛いですぅー!!」
ラディ「今の声・・・リアナか? とても女の子の声とは思えなかったぞ。」
リアナ「痛いですー痛い痛い、い~た~い~・・・あううぅ・・・」
バタバタバタ・・・
ラディ「はあぁ・・・しょうがないなぁ・・・」
リアナ「あうあうあうぅ~・・・」
寝っころがって、もがき苦しむリアナを抱きかかえるラディアス。
ラディ「よいしょっと!」
リアナ「あぅ、あううぅ・・・」
ラディ「階段から落ちたのか?」
リアナ「あううぅぅ・・・そうです~・・・痛い~・・・」
フィル「どうしたの?」
フィリアが台所の入り口から顔を出す。
リアナ「あうう~あうう~・・・」
ラディ「階段から落ちたんだって。」
フィル「ふーん。」
リアナ「あうう~あうぅ・・・」
ラディ「ホントしょーがないなぁ。」
リアナ「あぅぅ~ぁぅぅ~・・・」
リアナを抱えたまま二階に上がるラディアス。
それにフィリアもついていく。
20:25転げ落ちた後----------------
リアナを部屋に連れていくと、ラディアスはベッドの上にリアナを降ろす。
すると、リアナはすぐさま布団に潜り込む。
ラディ「足以外は痛くないのか?」
リアナ「ぅん・・・」
ラディ「全く・・・ドジだなぁ。」
ペシ。
ラディアスが布団の上から叩く。
リアナ「だって~だってぇ・・・ふえぇ・・・」
後をついてきたフィリアが、布団の上からリアナの足を触る。
フィル「リアナ、足出して。」
リアナ「ふえぇ・・・ほぁい・・・」
布団を剥ぎ、足を出すリアナ。
フィル「痛みは数日は残るかもしれないよ。」
リアナ「はいですー・・・」
そう言うと、フィリアがフレインフェザーを唱える。
仄かな光が、リアナの足首を包む。
リアナ「はうー・・・あったかい~・・・」
ほわほわ~・・・
………。
………。
フィル「うん、もういいよ。」
リアナ「ふぇ?」
クイクイ・・・
リアナ「はぅ! あ、痛くないですっ! 治ったですー!! ・・・いたたぁ!」
調子に乗って足を振り回すが、痛みがぶり返す。
フィル「すぐはダメだよ。」
リアナ「あうぅ・・・あたしも回復魔法覚えようですぅ・・・」
フィル「そうだね。」
ラディ「なんか不安がよぎるなぁ・・・」
リアナ「がんばるって作るですー! おー!!」
ラディ「がんばるって作る・・・?」
フィル「うん。」
リアナ「おー!!」
22:10スペースワインドの使い道----------------
ラディアスが縁側で休憩を取っていると、プルミアが後ろから蹴りを入れる。
ごっ!
ラディ「あいたっ!」
プル「どう?」
ラディ「どうじゃないよ! 痛いよ!」
プル「違う違う。魔法のこと、先生に聞いたの? 使い方。」
ラディ「あ・・・忘れてた。」
プル「ダメじゃない・・・」
ラディ「聞くのは忘れてたんだけど、なんとなく分かったよ。」
プル「へえぇ、ラディにしては上出来ね。」
ラディ「まぁ、見てみてよ。」
そう言って軽快に立ち上がるラディアス。
プル「はいはい。」
ラディ「例えば、こんな感じ。」
サササ・・・サ・・・
ラディアスが少し慣れた感じで素早く魔法を刻む。
ラディ「そこの塀・・・見ててっ!」
プル「ん?」
ラディ「・・・のりゃっ!!」
ラディアスが両腕を頭の上から一気に地面まで振り下ろす。
ぐぐ・・・ぐにいいぃぃ・・・
塀の一部の空間が歪み、塀が押し下がる。
プル「!」
ラディ「・・・っ!」
ラディアスが一瞬、気を緩めると、すぐ戻ってしまう。
プル「失敗?」
ラディ「ちょっと、魔法力が回復しきってなかった・・・」
プル「へえぇ~、まぁ、塀が歪むのは分かったわ。」
ラディ「分かった? なら良かった。」
プル「で?」
ラディ「え?」
プル「塀を歪ませてどうすんのよ?」
ラディ「・・・用はさ、塀を低く歪めれば、塀を登らないで通れるってことだよ。」
プル「! 何それ? そんなこと可能なわけ?」
ラディ「うん。さっきやってみた。」
プル「へ、へえぇ・・・」
………。
ラディ「ギャグ?」
プル「違うわよっ!!」
ごすっ!
ラディ「あいたー!」