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プロローグ

 四月に入って新学期がスタートして、数日がたったあの日。俺は桜が舞い踊る窓の外を、まだ少し冷たい風に吹かれながらいつも通りの何もなさすぎる生活を送っていた。

 『今日転入生がうちのクラスにくるらしいぜ!』

クラスがその一言でざわついた。

『だれ?どんな子?女子?』『いやいや、ここはイケメンに期待したいな』『いやそこはカリスマモデルみたいな女子だろ!』

それぞれが言いたいことを言い合っている。ずいぶん楽しそうに話しているようだが、俺にとっては滑稽な喜劇にしか見えない。なにがそんなに楽しいのか。何にそんなに期待しているのか。イケメン?モデル?世の中そんなに甘くないぞ。どうせその辺にいるような一般人だ。まあ気に病むことはない。逆に仲良くなれるとおもうぞ、ふつうだし。

ブツブツと心のなかで呟く。どうせだれにも聞こえやしないんだし。

「椿、どんなやつか知ってるか?」

友人(?)が話しかけてきた。めんどくせえな。

「ごめん。俺人に興味ないからわかんねえや。てかココうるせえからトイレ行ってくるわ。」

わざとらしくイスの音をたてながら。クラス全員の冷たい視線が矢のように刺さる。

(慣れてるよ~だ。このくらい)


そう、この俺柏原椿≪かしわばらつばき≫はこの振る舞いでクラス全員から嫌われている。


 入学当初は整った顔立ち、真黒の艶めいた髪、クールな出で立ち、とか学年で噂になった。自分的には少し長めでうっとおしい感じの前髪や、クセではねはねな髪の毛にいらついていた。(顔立ちは気にしてはいない)話しかけられた瞬間にがっつり冷たい言葉を発したがために今に至るわけだ。すべての原因は俺にあるが気にしない気にしない。

 思い出話に浸っているうちにクラスの担任が教室へはいってきた。俺はトイレから戻りまたいつものように海の見える、一番端の廊下側の席についた。

「お前ら、転入生を紹介する。お~い、入っていいぞ」

ゴクリ・・・。 教室に沈黙が広がる。

「はじめまして、神矢春≪かみやはる≫と申します。よろしくお願いします。」

教卓の横に立った少年は二コリとほほ笑むとペコリと会釈した。

黒髪を後ろ首辺りにちょこんと結んでいる。清潔感あふれるさわやか少年。またもやクラスがざわつく。

(瞳が赤い?すげえな。)

俺にはそう見えた。どうせみんなわかってるだろうから心のうちにしまっておく言葉リストのなかに入れた。

 その少年の席は俺の席の隣。軽快な足取りでその少年は俺の隣まで来た。

(本当に深い赤色だな。こいつの瞳。)

なぜか俺は彼をガン見してしまったらしい。そりゃあ不審に思われますわな。

「僕の顔に何かついてます??」と聞かれてしまった。恥ずかしいなあ、おい。ちょっと不満だが、俺は誠実にその質問に答えてやろう。

「いや、きれいな赤色の瞳だなと思って。すまんな。」

我ながら上出来だ。人をほめることもできている。

「有難う。君だね僕の相棒」

「えっ・・」     

その瞬間教室に突風が吹き荒れる。まるで俺たちの声をかき消すように。


これが俺たちが出会った、なんともノーマルなまえがきである。・・・・・・。

初小説連載です。ここまで見てくださった方ありがとうございます。

次回、少し話しが動きます。

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