表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

エアコン

「あんまり時間がないじゃけ」

黒澤が花をタクシーの後部座席に押し入れた。

タクシーが、ラブホテルの前に止まると、黒澤が「キャッシュで」と言った。

タクシーの運転手は、黙って領収書を黒澤に渡した。


ホテルの入り口には、「回転木馬」と書いてある。

黒澤が、「こっち」と言うので、花は、黒澤の後をついて階段を上った。

廊下の足元にある電気が、赤い絨毯を映し出している。

花が、黒澤の後ろから、「カギはどう・・・」と言いかけると、黒澤が振り返って、親指を口にたてた。

エレベーターの横の部屋を、黒澤がマスターキーで開けドアを開けた。


外はまだ薄明るいが、黒澤がカーテンを閉めた。


「今日は、キスを教える」

黒澤がそう言って、ベッドの上をたたいた。

花が黙っていると、黒澤が「早く」と言うので、仕方なく花は黒澤の横に座った。

「やっぱり素直じゃないけ」

黒澤は、花を押し倒し、唇に自分の唇を重ねた。

それからいきなり花の着ているブルーのブラウスのボタンを外すと、花の乳房をあらわにした。

「きれいじゃけ」

言葉だけなのに、花の膣の中が濡れて来る。

「暑いじゃけ」

花の言葉に、黒澤は立ち上がってエアコンのリモコンを探した。

「ないじゃけ」と、黒澤は部屋の中を見回した。

花が立ち上がろうとすると、黒澤が花を再び押し倒し、花のブラウスとパンタロン、下着も全部脱がし、「裸の方が感じるじゃけ」と言った。


「もう少しゆっくりできると思ったじゃが、かんにん」

黒澤はそう言うと、上半身裸になった。

花は、黒澤の上半身の裸を初めてみた。

痩せた肩に、その腹には、刺青があった。

「彫りの深さはどのくらいじゃけ?」

花は思わず心配になって言った。

昔、真白の男が彫り物で死んだのである。

黒澤はそれには答えず、花のわれめを指で開き舌でなめった。

レモンのような匂いがした。


と、突然電話が鳴った。

それは、部屋とフロントをつなぐ電話が、机の上にあった。

電話は数回なったあとプツッと切れた。

「ふる勃起じゃけ、せっかくくわえてもらおうと思ったのに」

黒澤は、心底苛立ったように、「ふざけんな!」と、怒鳴った。

花がベッドの上で起き上がると、今度は、黒澤の携帯が鳴り、すぐ切れた。

黒澤は携帯を見ると、花にも渡した。

(至急帰るべし)

誰だろうと、花が首をかしげると、「楠木じゃけ」と、黒澤が言った。


「こんなところにあった」

花は、ひとり言のようにつぶやいた。

すると、黒澤がベッドの下に足を入れ、それを蹴飛ばした。

エアコンのリモコンは、壁の角にぶつかり音をたてた。


「タイムリミット」

外に出ると、楠木が車の前で、タバコをくゆらせていた。

車に乗ると、「花ちゃん、また会えた」と皆伐が言った。

黒澤が、前のシートを足で蹴った。

「おうっ!黒澤さん、車、壊れるあるね」

楠木が言うと、「いいから!」と、黒澤はまだ苛立ちが止まらないようだった。

日は完全に落ちていた。

この時間からが、京都の始まりである。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ