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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

純粋な罪

作者: 吹瑶紫靉
掲載日:2026/02/27

彼女と初めて会ったのは、ある曇り空の学校の帰り道。あともう少しで家だというところで、彼女に声をかけられた。


「すみませーん、ここから某スーパ…ーまで、どうやって行けばいいか分かりますか?」


見た感じ、彼女は携帯電話を持っているようだった。一瞬自分で調べろよと思ったものの、教えるくらいなら手間ではないので、スーパーの行き方を説明した。


「そうだったんですね!!ありがとうございます!」


彼女はそういうと続けた。


「実は、両親からお使いを頼まれてて、それで道に迷っちゃって……。本当に助かりました!」


何故か分からない。そういった彼女の表情と、()()()()自分の親の表情を重ねてしまっ|た。


「あの、よかったらメール交換しませんか?」


気づいたらそんなことを言っていた。何を言っているんだろう。私は。


「へ?いいんですか?ぜひ!!」


やけに受け入れが早い彼女は、そそくさと携帯電話を開くと、メールの画面を開いた。


「はい。これでOKですね!」


あっという間に、連絡先を交換し終わると、彼女は「では!」と、スーパーの方へ歩いていった。

彼女とは、その日以来、それこそ直接会うことはなかったものの、メールで会話をしていた。そんなこんなで、彼女とはタメ口で話すようになっていた。


その日は、家に帰ると、「ただいま」と一言言ったあと、お風呂と歯磨き、宿題などを済ませ、()()()()()が帰ってきたあと、()()()()()()をするとすぐに布団に眠りについた。


◇○▽


《おかあさん?おとーさん?どこー?》


そう言いながら、リビングを歩いていると、母と父を見つけた。


《あ、玲榎。れーか、あな、たは大、じょーぶだから、ね?叔父さん、たちが、面倒見て、くれるから……》

《そう、だよ。玲榎。だ、から、あんしん、してね……》


やけに区切りか多い喋り方に違和感があった。両親はそういうと、口から血を出して、倒れた。あまりの衝撃に近寄って、両親を揺さぶった。


《おかあさん?おとーさん?!どーしたの?早く目を開けて》


でも、両親は目を開けない。それどころか、とても冷たくなってきていた。特に、父はすごい速さで冷えていった。

そんな時、ガシャンと音が鳴った。リビングの、ドアが空いた音だ。そこに、入ってきたのは、叔父さんたちだった。私は叔父さんたちに事情を説明しようと、口を開けた、が


《あら?玲榎ー。起きたのね》

《おー、玲榎ただいま。今日から、俺たちが、お前の親だからな》


理解が、出来なかった。


《……ねえ、叔父さん!おかあさんたち動かなくなっちゃった。しかも、冷えてて、どーしたらいいの?》

《ああ。やっと効いたか。君の両親はね、遅延性の毒を飲んだんだよ》

《うふふ。やっと死んだ。これで、あれの資産は私たちのね!》


遅延性の毒、毒の意味くらい私でもわかる。叔父さんたちが、私の両親を殺した……? なんで。おかあさんたちの、しさん?目当てなの?その、しさん?っていうのが、そんなに大切なの?私の両親の命より。そんなことを考えて、気持ち悪さを覚えかけていた時、優しい声が聞こえた。


《……う、れいね、あなたは、い、きて》

優しい、母の声だった。その時の表情は、悲痛なもので、切なげで、何処か安堵と温もりに満ちていた。


《ちっ。まだ生きてたのか》


叔父さんは、腹立たしそうに母に近寄ると、思いっきり、母を蹴り上げた。


《ぐっ、かはっ!》


母の苦しそうな声が漏れる。でも、叔父さんはそんなことお構い無しに、母を殴って蹴って、いつの間にか叔父さんの奥さんまで参加していた。そこときも、母は苦しんでいた。でも、私を見るとふわりと微笑んでるように見えた。母は、恨んでいるかな?助けなかった、私の事。しばらくして、叔父さんが口を開いた。


《嗚呼、やっと死んだか。手間かけさせやがって!》


し、んだ?おかあさんが?なんで、まだ生きれたのに。やっぱり、叔父さんたちは私のおかあさんも、おとーさんも殺したんだ。そうわかった途端、あの瞬間の母の言葉、声、表情までもが、フラッシュバックする。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い憎い憎い憎い憎い。気づけば、私は床に嘔吐していた。


《なにこいつ、汚ったないんだけど!》


叔父さんの奥さんはそういうと、私のことを殴ったり蹴ったりした。嘔吐物を無理やし口の中に入れられたりも。わたしは、その途中で意識が切れた。

それからは、地獄だった。叔父さんたちは、なにか気に食わないことがあると、すぐに私に暴力するようになった。 時には、変なおじさんを連れてして、私の体をベタベタ触らせた。叔父さんたちは、お金を貰っていて、嬉しそうだった。その顔が、あの日の顔に似ていて、母と父の言葉が、最期がフラッシュバックする。ああ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。親不孝者の娘で、後を追うこともできなくてごめんなさい。あのとき、何もしなくてごめんなさい。私も一緒に死ねたら良かった。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……


◇○▽


朝の日を感じて、はっと目をします。なんだか嫌な夢を見ていた気分だ。冷や汗がたいりょうにながれている。


「考えても、仕方……ない、か」


私はそう思うことにし、いつも通りの日課を済ませてから、学校へ向かった。


▦▒▦ ▒▦▒


いつも通り、学校が終わり、帰路に着く。朝は晴天だったのに、帰りは雨なんて、ついないなあと思う。天気予報にもなかったから、傘もない。


帰ったら、あの子にメールでだべろーっと。そんなことを考えていたら、ふとあの人たちのことが思い浮かんだ。ずぶ濡れになって帰るのだ。あの人たちがいればまた……。


「まあ、でも、日中はいつも居ないしね!」


そう自分に言い聞かせ、嫌な考えを払う。

冷たい雨が頬をつたる。鳴り止まない雨はまるで誰かの心を表してるみたいで吐き気がする。


「……ただいま」


雨でじんわりと湿った空気が嫌気を増加させる。返事がないのはいつも通り。よかったと思った。今日もいなかった。


たまにいる時があるから、ちょっと怖いんだよな。まあでも、これなら先にお風呂に入ってれば、あの人たちが帰ってくるまでには何とかなっているだろう。


私は、靴を脱いで、カバンを置くと、すぐにお風呂場に向かおうとした……が


()()()()


と、聞こえてしまった。いつもは、絶対に言ってこない。今日は、ギャンブルで勝ったのかな?どこかで聞いた、ほんのりと優しくて、暖かくて、柔らかい声が聞こえた。その声を求めてリビングへ走る。


ドアを開けると同時に私は酷く後悔した。血に濡れた床には、見るも無惨に惨殺された()()()の死体があった。


台所付近には、私と同じくらいの少女がいた。あの時の彼女だった。彼女はゆっくりと口を開けた。


「どう?大っ嫌いな親が死んだ姿。最高じゃない?あっもしかして自分でやりたかったの?ごめんね」


ああ。なんでだろう。目の前で実の親が死んだというのに、悲しさや恨みよりも安心さや心地良さが上回ってくる。でもいい娘のフリしないと。


「ふざけないで!私の()()()()()()()()()()()を返してよ!」

「ねえ。本当にそう思ってるの?自分の父親とか母親の名前、わかる?」


彼女の問いに言葉が詰まった。でも、


「……ははは!わかるよ?安藤愛と安藤康二。ほらね?」


私は、どこがおかしいのか笑っていた。そして、()()()()()()()()の名前を言った。


「ああ、聞き方が悪かったね。あなたの、義両親の名前、かな?わかる?実の両親より、いる時間長いし、分かるよね」

「……っるさい!あんなやつ、親じゃな、い……?」


なんか、せっかくいい子のフリしたのに台無しだ。口を荒くしてなおも抵抗しようとする自分がもどかしい。だが、そんな私とは対照的に彼女はゆっくりと落ち着いた声音で言う。


「あなたの事も、わかるよ。わたしも……()()()()()()()()

「え?」


自然と言葉が出た。彼女が、私と、同じ?


「ははっ。そりゃあ驚くよね?」


彼女な自嘲するような笑みを浮かべた。そして、淡々と告げる。


「私も、両親から丁度良い奴隷のように扱われてたんだよ。君と違うのは、ちゃんと存在していることかな?君は、義両親がストレス溜まった時だけ、少し存在して、好き放題されてたもんね。ほら、自分に素直になって?本当は、自分の実の両親を、地位目当てで殺した、叔父さんたちの夫婦が憎かったよね?だから、死んでくれて嬉しいでしょ?私だって、自分の親を殺した時、最っ高の気分だったんだから!」


話終わったあとの彼女は、語り始めとは反対に、酷く興奮していて、早口だった。


本当は、まだまだ抵抗したい。でも、薄く頷くことしか出来なかった。全部全部見破られてたんだ。最初から。初めて会った時から、いや、()()()()()()()()()()()()()()()()


彼女と私は一緒だった。だから、彼女が差し出した血に濡れた手を迷わず握った。


彼女がどれ程の罪を犯しても、どれだけ自分の手が穢れようとも、わたしは、彼女と生きることを決めた。


これは間違いじゃない。私が私になるための第一歩なのだから。

だいぶ短いですが、暇つぶし程度に読んでいただけると。読んでくれてありがとうございます!ぜひ、感想などお願いします!

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