奔流
――反応が、流れ込む。
視覚。
聴覚。
感情ログ。
実況構造体の意識野に、母星側からのコメントが雪崩れ込んだ。
《え、今のなに?》
《中性子星……消えた?》
《演出じゃないよね?》
《バグ?》
《やば、鳥肌立った》
《待って、巻き戻して》
《こんなの初めて見た》
《神じゃん》
《誰? あれ誰?》
《怖……》
《すご……》
《もう一回見せて》
《コメント止まらん》
《神坂って誰?》
《推し変するわ》
反応の奔流。
評価、驚愕、恐怖、歓喜。
――濃い。
異様なほどに。
実況構造体たちは、ほんの一瞬、意識をそちらへ割いた。
(……何この情報量)
(笑いに近い感覚)
(最高じゃん)
(これ、保存案件でしょ)
満足。
観測者としての快楽。
その瞬間。
目の前に迫る“現実”への注意が、途切れた。
◇◇
「今だ!」
黒羽の声。
神坂の中性子星無力化によって崩れた均衡。
実況構造体たちが“同時に”晒した隙。
偶然ではない。
必然だった。
三方向から、術式が重なる。
亜光速の魔力弾。
ベクトル干渉による運動エネルギー攻撃。
雨のように降り注ぐ。逃げ場はなかった。
実況構造体――
メル、リット、ライ。
三体は、ほぼ同時に撃破された。
断末魔はない。
悲鳴もない。
ただ、
通信ノイズが、ぷつりと途切れただけだった。
◇◇
戦場に残ったのは、
沈黙と、わずかな余熱。
法術師たちは、息を整える。
神坂は、視線を母星へ戻した。
「……次だ」




