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拮抗の崩壊

同時刻。


神坂が単独で中性子星弾頭への対処に当たっている間、

他の法術師たちは別の地獄に直面していた。


中性子星弾頭弾を撃ち逃げした実況構造体三体。

――メル、リット、ライ。


「……こんメル~っ☆

あなたの心に直接接続♪ 好奇心担当、メルで~す♡」


「状況冷却、情報蒸留。感情は凍結。

機能担当、リット。……裏声モードにする必要ある?」


「らいらいらいっ!

殺意満タン突撃型! 推しメンのライがぶち抜いてあげるよぉ☆」


三体は、明確に役割分担されていた。


メル:座標干渉。

地上からの攻撃を、近距離へ転移。


リット:偵察とEMLによる制圧射撃。

陣形の隙を見逃さない。


ライ:突撃軌道担当。

高速・近接戦闘。


法術師たちが得意とするベクトル干渉やカウンター魔法に即応し、

ライは早期に質量攻撃を捨て、レーザー発振へ切り替えた。


そこへ――

スフェライオス母星から発射された反物質弾頭ミサイルを、

メルが近距離に転移させる。


混乱する法術師陣形。

そこを、リットのEMLが正確に撃ち抜いた。


蒸発。

即死。


この規模の攻撃を受け、

法術師側の死傷者は急増していく。


焦った黒羽は、三体まとめて<空間開闢>に巻き込む案を捨て、

各個撃破へと戦術を切り替えた。


だが、

人程度のサイズで大気圏離脱を成し遂げた実況構造体の機動力は異常だった。

明確な死角が存在しない。


翻弄され続ける法術師たち。


しかし――

完全に無力ではない。


黒羽は開闢した空間内であれば、超光速の攻撃──認識されるより早く着弾する攻撃ができる。

しかし彼の支配する空間でなくとも、攻撃手段はある。

超光速は無理でも光速以下、亜光速での攻撃は成立する。


さらに、組織的に実況構造体と対峙する法術師たちに魔力量に物を言わせた散弾的術式――

面制圧による削り戦術が採用され始める。


実況構造体側にも、確実に消耗が蓄積していた。


そんな中。


神坂が、中性子星弾頭を無力化する。


その瞬間、

戦場の均衡が崩れた。


明確な隙、加えて――

実況構造体は、習性とも言える挙動を見せる。


神坂による中性子星無力化。

それに対する民間人の反応。


歓声。

驚愕。

恐怖。

コメント。


それらに、意識を割いた。


ミリ秒単位。

だが――致命的な隙。


それは、自身の性質、アイドルをモチーフとするパーソナリティによって始まった戦闘が、

同じく自身の性質によって終わる始まりだった。

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