対処、予測演算の専門家
惑星に迫るスフェライオスの攻撃。
反物質弾頭兵器と、精神誘導ナノマシン弾頭兵器の飽和攻撃。
空間の泡立ちに第3艦隊の突入。
まずはミサイルの迎撃をと判断した惑星上空の法術師たちは、
星のような輝きすら見えないそれに対し長距離迎撃を行おうとする。
星のように小さく、瞬き、揺らめく反射光。
目標を迎撃できるイメージがつかめない。
その瞬きにつられるように自信すら揺らぐほど希薄な存在感。
それに手をかざし、半ば天任せに迎撃しようとする中、
「誤差修正。左に0.0005、上に0.0014。
合図で発射しろ。5,4,3……」
突然通信が割り込んだ。
明瞭な形式。自信にあふれた指示。
現在SACは飽和攻撃の追跡に手一杯だ。
ならば誰が?
「──俺だ」
プロトアーカの観測・演算と、神坂の連絡によるものだった。
「神坂さん! と……?」
「現在交戦中の勢力、スフェライオスの創造者、らしい」
「敵の首領を信用したのですか……?」
「……ああ。“信用”だ。“信頼”じゃない。
疑い続けるのが正解だ」
プロトアーカは、むしろその不信感に安堵したように呟く。
「……それでも、助かっているよ」
そのまま即座に惑星上空の法術師に神坂が合流。
部隊編成に取り掛かる。
「前衛と後衛を交代。
スフェライオス艦隊への攻撃を惑星防衛法術師たちに。
空間の修復を俺とプロトアーカで……いや、空間修復の手が足りん。
黒羽も来い!」
周囲で沸騰する空間。
景色が、星空が歪んで弾ける。
一秒後にすぐ隣で空間が炸裂するかもしれない。
状況の悪化を防ぐため、飛行術式のみで黒羽が合流してくる。
「来たか!」
「状況は把握した!空間修復だな?」
「説明は省く!手あたり次第、虱潰しに防ぎきるぞ!」
空間の修復に手いっぱいな三人にかかる声。
「6秒後、C大陸深度24kmで1.3*10^28[m^7]の空間歪曲。
データリンク。座標送信」
未来を予知する声。
予知する「ような」ではない。BMIによって強化された思考を精度の高い予測に転用。
演算による預言。そんなことができるのは法術師のなかでもごく一部。
弾かれたように動き出す二人。
神坂は予告された特大の空間歪曲に。黒羽は周囲の露払い。
逡巡すらせずに動き出したその行動には、互いへの、また声の主への確固たる信頼が滲んでいる。
「予測演算の専門家だ!頼れるぞ!」
──「遅れた!
1-1所属法術師たちは管制下に入れ!」
自信、自身の演算への信頼を強くにじませた宣言は空間中に響くように法術師たちに認知された。




