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横槍

◇◇スフェライオス視点


──さて、この空間にいるのは神坂とプロトアーカの二者だけではない。


スフェライオス第3艦隊。

彼らはプロトアーカの登場という事象と、神坂の復活に対し。

──それを実況していた。


「やぁ。第3艦隊旗艦、ノニトゥスだよ~。聞こえるかな?

いやぁ今日はいいカードだね~。

今さっきリスポーンしたばっかりのバグ個体(神坂)と、

超レアイベント、“我らの神を騙る用済みの神”(プロトアーカ)がにらみ合ってるね~。」


気だるげな雰囲気だったノニトゥスは、歪んだ笑みを浮かべる。


「おっと、“用済み”の攻撃だ~!

さあて、バグ個体くんは、あれ耐えられるかなぁ……?」


まばゆく輝き、周囲数AUの視界がホワイトアウト。

しかし、宇宙戦艦として無数の高性能センサーにより、

プロトアーカと神坂の舞台はスフェライオス母星に明らかにされている。


「──ねぇ、第3艦隊のみんな。

ここ、横槍さすと面白くない?」


《賛成!》

《奴らの困り顔、早く見たーい》

《状況もっとぐちゃぐちゃになーれ》


「何で横槍刺そうか?

投票開始~」


《核?》

《無理だろ、防がれてたの見てないのか?》

《じゃあ、反物質?第1艦隊の意趣返ししちゃお》

《効かんだろ》

《有機生物研究所です。再三の対惑星攻撃

──反物質弾頭とあなた方本体の突入の二方面攻撃を提案します》

《まずは護衛対象を攻めてみるってこと?》

《あいつらの注目も向くかもね、賛成!》

《いいね》


「了解~、相変わらず他人使いが荒い」


その表情は、自爆を決意したとはいいがたい軽薄な笑みに彩られていた。


◇◇神坂視点


空間歪曲、直後に暴力的な光と熱の奔流。

きっちり偏差射撃すら混ぜてくる、降着円盤を構成する粒子の砲撃。


空間転移による回避は封印。

辛くも回避しているところに。


──スフェライオス第3艦隊から熱源、多数確認。

“降着円盤砲”よりエネルギーが低い。


わざわざ低エネルギーの攻撃を混ぜてくる意味が分からない。

プロトアーカの指示なのか……?

警戒しつつ、プロトアーカの弾幕を防ぐ。


「……ち。興が乗ってきたというのに。

──失敗作どもが、被造物どもが邪魔をするな……!」


違う。

──横槍か。


プロトアーカの声。察するに彼からしても不本意な状況であるらしい。

生成される“降着円盤砲”が止む。

続いて既存の降着円盤砲、光の筋が捻じ曲がってスフェライオス第3艦隊に降り注ぐ。


なんだ……?そんなにまずいものなのか。

プロトアーカが、明らかに“神坂ではなくミサイル”を優先していた。

その時点で、ただ事ではない。


「SAC!弾頭分析は!?」

『──分析中……っ、よくご無事で。(……そんなのは後だ!)

失礼しました。……不明!しかし強い磁場を確認』


動揺するなじみ深いオペレーターとTIFAの怒号。

僅かな動揺は、すぐ職務的な緊張に塗りつぶされる。


TIFAの言う通り再会を喜ぶのは後。

感情の処理は後回し。

今優先すべきは、この未知の弾頭だ。


『運動エネルギーが桁外れです、惑星に落着すれば大被害が!』


開きっぱなしのSACとの回線から絶望感を含んだ叫びが響く。

……いや、絶望感といえば直接目視している俺の方が大きい。


「何を呆けている、着弾を許せば星が抉れるぞ」


星が抉れる規模、強烈な磁場によるトラップ。

まさか中身は、


「──反物質弾頭……?」


◇◇


「惑星表層の文明圏を!都市を対消滅で吹き飛ばす気か!

SAC!被害規模の算出を!

いや、まずはばら撒かれるエネルギー総量の概算を!」


「……そうとも限らん。」


SACと連携をとる神坂に非情とも取れる声が突き刺さる。


「奴らは、スフェライオスたちは自身の好奇心の赴くままに残酷な戦法もいとわない。

──都市部への攻撃で済めばまだいい」

「都市部攻撃、民間人巻き添えのどこがまだいいと?」


「地殻への衝撃、惑星の磁気への干渉……長期的に苦しめる戦法すら使ってくるぞ」

「……」

十分想定できる。十分想定できた。

奴らの悪辣さは既に知っているじゃないか。


「加えて核弾頭と違って迎撃が起爆のトリガーになる。

……分かるか?」

「惑星上空にも迎撃のための志願兵がいる。

そいつらが蒸発するのを待ち構えてもいる、と?」


『被害規模想定でました!

反物質 1g(約43kt)で


蒸発(火球)半径:約 0.4 km

爆風(5psi:建物壊滅級):約 3.5 km

爆風(1psi:窓・外装破壊級):約 9 km


弾頭質量が10倍になるごとに被害規模は2倍に膨らみます』


◇◇

civilgazer


《うわ、反物質きた》

《第1艦隊リスペクト草》

《核よりきれいに消えるのがいいよね》

《でもその分、悲鳴が短い》

《楽しめないじゃん》

《混ぜればいいんじゃない?》

《それ》

《ノニトゥス、やっぱ頭悪いな》

《“演出”分かってない》


《迎撃したら起爆するとか、罠すぎる》

《上空迎撃班どうなる?》

《あー、あの法術師たちか》

《さっき核迎撃してた連中ね》

《あいつら、判断速かったぞ》

《蒸発RTAか、察して回避するか》

《どっちでも美味しい》

《楽しみ〜(笑)》


《都市消えるかな》

《いや磁場狙いじゃね?》

《恒星風通すやつ》

《惑星“長生き”コース入った》

《あーそれ一番嫌なやつ》

《文明だけ死ぬやつ》

《抵抗が長引くから配信向き》

《必死に迎撃してくれたら尚良し》


《“用済みの神”がミサイル止めに行ったぞ》

《え》

《マジ?》

《神、そこ気にする?》

《慈愛ってやつ?》

《それとも実験失敗が嫌なだけ?》

《あ、ノニトゥス撃たれてる》

《草》

《まあ、やられてもやられなくてもどっちでもいいか》

《所詮、被造物だし》


《バグ個体じゃなくて弾頭優先?》

《……ん?》

《おかしくない?》

《試金石って言ってたよね》

《耐えられるか見る試験じゃなかった?》

《なんで“星”の方を守る?》

《俺らと対立するってコト?》


《あ、これガチ案件だ》

《ただの侵攻回じゃない》

《今日、神回じゃなくて“転換点”では?》

《文明同士じゃなくて》

《価値観の分岐点っぽい》


《まあいいや》

《どうせ死ぬでしょ》

《死ななかったら、それはそれで》

《続きはアーカイブで》

《終わったら起こして》


――視聴者数:急増

――コメント流速:規定値超過

プロトアーカの二人称の被りは誤謬ではなく口調です

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