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無名の英雄

焦りを隠さずに指揮を続けるその法術師の前に一人の法術師が飛んでくる。

「……一本引き受ける。近づかないでくれ」

「は?何をする気だ?」

なにやら覚悟を決めた眼をしている。


その上空で複数の爆発。それを突っ切ってくる2本の光。

なんだ、3発も迎撃できたのか。と呟く彼は身を翻して。


飛行術式、推力全開。

「──おい!戻れ!」

その声を振り切って、彼は加速した。


ミサイルの進路に身を滑り込ませる。


螺旋軌道に入るミサイル。


「それはさっき見たんだよ……!」


《短距離転移》。

その後飛行術式でベロシティを合わせる。核ミサイル弾頭、

──核爆発の爆心地に取りつく。


「逃がすかよ……遠慮なく爆ぜろ」


みつけた、プルトニウムの塊。

ベクトル干渉。

放射性物質を手動で爆縮させて、核爆発のスイッチを押した。


視界を埋め尽くす熱線、放射線、光。

……そして「電離ガス」。


「ベクトル干渉!素粒子オーダー!

──こっちだ。来い……!」

宙域に咲くはずだった球状の光の花は、

押しつぶされ、一つの筋となる。


その奔流を指向させる先は先ほど作られた「恒星風の槍」。


──その電離ガスは、恒星風の槍と衝突し、法術師の身を粉にした電離ガスの筋に導かれるように、

惑星から逸れた。


◇◇神坂視点。


死因と対策を想定しよう。

前の俺の行動ログを閲覧。


──未定義座標から転移してきた宇宙艦隊と交戦。

その旗艦を《空間開闢》の応用、空間切断で攻撃。

続いて追撃を選択。


ウラン235を魔力から対生成、臨界量を確保。

《魔力の弾》に封入して敵艦隊旗艦に発射。


弾着観測前に意識が途絶。

ここで死亡したとみられる。


思考ログを閲覧。


──敵艦隊は核弾頭兵器を主体に使ってきている。


意趣返しだ。核でとどめを刺す。

いや違う。むしろ“合理的”だ。


無機生命への大出力攻撃は、熱量と衝撃で演算コアを破壊するのが一番確実。

ならば核は最適解だ。


《魔力の弾》にこめて、発射する。


ここで終了。


◇◇


特に衝撃も熱も感じていない。

え?核弾頭兵器を暴発でもさせたか?


まさかのスランプ?


さて、真面目に考えると怪しいのは第2艦隊が開きっぱなしにしていたワームホール。

そこから何かが飛んできたと考えてみよう。

ああ、交戦中だった第1艦隊も第2艦隊も怪しいか。


何が飛んできたんだろうな。


──法術師、特に上位空間管理者は自動防御領域を常に周囲に展開している。

例えば俺は、周囲の窒素を魔力というベクトル干渉媒体によって球状に固定する《高密度結界》、

運動エネルギーを監視し、脅威の飛翔体の侵入に対してそれを逸らすことで防御する《力学結界》。


この二つだ。


これらを遠距離から、衝撃も熱もなく、搔い潜ってきた。

特に異変があったわけでもない。

すなわち空間干渉でもない。


候補は絞れるかな。

いや、絞れないな。


運動エネルギー兵器と熱エネルギー兵器は除外。

チェレンコフ光とかも特に何も感じていないから放射線も除外。


※チェレンコフ光:放射線を浴びると眼球内の水分が反応して青く視界が染まる。


すなわち、なんらかの原子(運動エネルギー)が飛んできたわけでもなく、

放射線(素粒子)も、光(素粒子)も違う。

当然電気エネルギー(電子=素粒子)も違う。


なんだ?白洲みたくストレンジレットか?

自爆テロが過ぎる。ありえん。


※ストレンジレット:エネルギー準位が低い物質。

もし宇宙に発生すればその余剰エネルギーで周囲の物質のクォークをストレンジクォークに置換。

連鎖反応で宇宙全体が破滅する。


(この宇宙の物理では説明できない干渉だ。

ならば“外側”の何かか……?)


……異界物質?

俺のレイヤー2物質制御(※)みたいな?


そうなるとなんでもありだな。

せめて効果を推定する。


俺の認識より早く、クローンへのバックアップに追いやった。

つまり、


----------------------------------

急所以外の損傷(治癒可能)

失血、内臓損傷(治癒可能)

脳損傷(第1種致命傷)

脳が完全に消滅すると、自動治癒術式で一から脳を再構築する必要がある。それは果たして元の自身と同一か?(第2種致命傷)

魔力消滅など、自動治癒術式の妨害を受けると、その時点でその場での復活は絶望的となる。

自己のバックアップから復活したとしても意識の連続性が絶たれた状態。(第3種致命傷)

並行世界の自己のバックアップをすべて完全に妨害、破壊された状態では上位空間管理者ですら復活は絶望的(第4種致命傷)

----------------------------------


このうち、脳の完全消滅、ないしその上で継続的な攻撃を受けていた……。

精神攻撃?脳への攻撃?脳だけを選択的に侵襲する?


脳への攻撃と決め打ちするとなるとニューラルネットワークの冗長化が防御手段として思い浮かぶ。

ああ、異界物質そのものの排除は不可能だと推定する。


この三次元空間とは違う法則で動く物質だったら、

魔法としては物質のベクトルを制御する手法しか知らない俺たちは干渉できない。


まあいいや。

──脳を作り変えようか。

レイヤー2物質制御(※)


なんでしょうね……?

情報未公開です。要は彼も奥の手を隠している。

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