灼熱の槍
──惑星を焼き滅ぼそうと、撃ってきたミサイル、
核弾頭だと思われたそれは、ただのカメラだった。
その憤怒を嘲るように。
「敵艦隊、第3群ミサイルを発射!」
「その数15!先ほどのミサイルより初速が遅い!」
「ミサイル群拡散!3グループに分岐」
「座標追跡、データリンク!」
「FCSがミサイル群を自動識別。
以降A、B、Cと呼称します」
SAC中央のモニターに現在の座標をあらわす輝点が表示される。
その周囲には識別名称。
A:惑星を直接狙う
B:迂回、第二波として時間差を設けて惑星を狙う。
C:惑星と恒星の中点に向かう
「ABはともかく、Cは一体?」
「座標ミスじゃない。必ず何か企んでやがる」
「──Cはひとまず無視。
ABを確実に迎撃しろ」
◇◇
その瞬間、C群のミサイルが拡散。
直後に爆発。
爆炎は円を描いて、
惑星から見ると一時的に恒星が拡大したように見えた。
それは、放射能や熱だけでなく、
高温プラズマと電離ガスをばらまく。
それらが急膨張することで環状電流が一時的に流れる。
すなわち、局所磁場ができる。
──その磁場のレールに導かれ、恒星風が曲がり、収束。
高密度となった恒星風の塊は、先に発射されたミサイルとともに惑星を襲う。
それは、当然SACでも観測される。
◇◇
「C群のミサイルが炸裂、電磁妨害!」
「磁気レンズ……! 恒星風を“押し固めて”いる!」
恒星から吹き出す荷電粒子流が、C群爆心の磁場に導かれ、
一方向へと圧倒的な密度で収束していく。
「恒星風ビーム、到達予想出ました!
A・B群ミサイルと同時に惑星に到達!」
次の瞬間、恒星風の輝く尾が一体化し、
一本の“灼熱の槍”となって惑星へ突き進んだ。
「惑星上空の法術師群に共有!急げ!」
SACのオペレーターが忙しなく通信機器を操作し始める。
◇◇
「先の反省を生かして近接信管を仕込め」
「SACからの発射指示がない。
各自発射しろ。
……どうせ当たらんが」
再度、迎撃の弾幕が昇り始める。
直後にSACから通信。
「致命的な恒星風の塊が接近している。
……やつら、核ミサイルで恒星風を収束させやがった」
それは惑星上空の法術師群にとって絶望の知らせだった。
「到達まで3分。先のミサイル群のおよそ20秒後だ……」
「手分けしろと!?
核ミサイルの迎撃と、恒星風の槍を!」
リーダー格の法術師がSACとの通信回線にがなり立てる。
その背後では今もミサイルを迎撃せんと迎撃術式の雨が昇っている。
しかし、まだ距離のあるミサイルに有効打を叩き込めていない。
「敵ミサイル、拡散!」
「やはりか、……数が増えても、迎撃しきる義務があるのは同じだ!」




