表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/41

6-4

昨日の撮影会が無事に終わり、数日が経つ。

そのころにはもうドラマが放送されていた。

メインヒロインということもあって、姉は食事会に誘われていた。

「日陰ちゃんも来る?」

姉に誘われる。

「う、うん」

なんとなく、そういう煌びやかなパーティーには憧れる。一度でいいから行ってみたいと思ってた。

「ドレスコードがあるみたい。

日陰ちゃん、持ってる?」

「い、いや・・・」

ドレスなんて普通は持ってるわけない。

大人ならば、将来使うかもと持ってる人も居るかもしれないが、僕は学生だ。

必要性を今まで感じてこなかった。

でも、これからは必要になるかもしれない。

「じゃ、私の貸してあげる」

「合うの?」

姉は168cmで僕は153cm。

身長差が10cm以上も離れてるのに合うのか不安だった。

「大丈夫、昔のお古だから。

あ、でも嫌なら無理に着なくても。

今のワンピース姿でも可愛いと思うし」

「い、いや、着る!」

ドレスかぁ、少し憧れる。

柄にもなくテンションが上がる。

「じゃ、着せてあげるね」

「お願いします・・・」

姉に着させてもらう。

「うん、いいね。似合ってる」

「うへへ・・・そうかな。

でも少し恥ずかしかも」

僕が着させてもらったのはバックレスドレスというものだ。一言で表すならば背中がら空きドレスとも言える。素肌を晒すのがセクシーという訳だ。

「それじゃ、私も着替えるから」

「分かった」

しばらく待つ。

そうして姉が着替えて出てくる。

「お待たせ」

「おぉ~」

姉が来てるのは僕との対比とも言えるものだった。バックレスドレスが背中ならば、姉が着てるのはフロントレスドレスとでも言おうか。胸の谷間を強調するようなセクシーなデザイン。

「似合ってる?」

「う、うん、凄くエッチだと思う」

「ありがとう」

姉は微笑んでいた。

僕らは正装をして、夜のパーティーに向かう。学生の身で随分と身の丈に合わないことをしてるなと思もうが、呼ばれてるのだから文句を言われる筋合いはないはずだ。驚いたのは迎えが来てるということだ。

「高橋・・・日向様ですね?」

執事らしき若いイケメンの男性が話しかけてくる。

「えっと、はい」

姉は返事する。

「そちらはお連れの日陰様で?」

執事は続いて僕に話しかけてくる。

「そう・・・です」

僕はそう返す。

「どうぞ、こちらにお乗りください」

そう言ってドアを開けてくる。

なんとリムジンだ。

家の前に停められていた。

「お、お姉ちゃん」

僕は経験の無いことで怖がる。

あまりにも高級すぎて売られるのではと不安になる。昨今、テレビ業界の女性問題を多く聞く。僕もその被害者になるのではと勝手に想像してしまう。

「大丈夫よ、何かあったら日陰ちゃんだけでも逃がすから」

姉はそう言って僕を安心させようとしてくる。

「あ、ありがとう」

「それでは、出発します。

この中のものは全て無料です。

ここにあるものならば、自由に食べても、飲んでもらっても構いません。もしも退屈ならば動画でも見てください」

執事はそう言って車を発進させた。

車の中はサイバーパンクのような雰囲気を感じた。青や赤色などをベースに薄暗いライトで照らしていた。窓ガラスが見当たらず、外が見えないのは少し不気味だったが。

「色々あるなぁ」

姉は物色する。

「い、いきなり」

「いいのよ、OKは貰ったんだし」

「そうだけど」

僕はまだ緊張していた。

別に人に会ってるわけじゃないのだが、

このギラギラした雰囲気が何だか無性に怖かったのだ。

「凄い、ハーゲンダ〇ツが沢山ある。

バニラだけじゃなくて、日陰ちゃんの好きな苺もあるよ」

「え」

それはちょっと嬉しい。

反応してしまう。

「ピザもある、えー、迷っちゃうな」

「そ、そうだね」

「ドリンクも豊富ね。

これはシャンパン?」

「学生なのに早いよ」

「それもそうだね、じゃ、こっちの苺ミルクにしよう」

「僕の好みを把握してる・・・」

せっかくなのでこの空間を楽しむことにした。姉との会話のネタに尽きたら、映画も視聴できるようで、車の中にあるモニターでネットフリ〇クスを楽しむ。韓国、アメリカなどの海外ドラマは勿論の事、日本のアニメなども自由に視聴できた。色々取り揃えていた。そのお陰か、あっという間にドライブの時間は過ぎて行った。

「お客様、目的地に到着しました」

執事らしき男が話しかけてくる。

「は~い、ありがとう」

姉はそう返す。

「ありがとうございます」

「今、開けますのでお待ちください」

執事はバンと扉を開けて、

外に出る。

「今、開けますのでだって。

何だか貴族になった気分」

姉はハシャイでいた。

まぁ、その気持ちも分からなくないけども。

「そ、そうだね」

これは何だか悪くない気分だ。

「どうぞ」

執事の男が僕らのドアを開ける。

「ありがとうございます」

姉は執事の男に挨拶する。

「あ・・・あ・・・ありがとう」

僕も伝える。

「帰りに、お迎えします。

それではパーティーを楽しんで」

執事は笑みを向けてくる。

その笑顔はとても素敵だった。

そして、車は去っていった。

「ここかぁ」

姉は見上げる。

そこは高級ホテルだと分かった。

「で、デカい」

僕は驚く。

恐らく東京スカイツリーほどあるのではないだろうか?こんな所に泊まる人が居るんだなと感心する。

「さっそく、入ろうか」

姉に連れられて、僕はホテルに入る。

「日向様と日陰様で?」

フロントに入ると、ホテルマンに尋ねられる。

「そうです、そうです」

姉は意気揚々と返事する。

「お待ちしておりました、それではエレベーターへ向かいましょう」

ホテルマンは僕らを誘う。

「分かりました」

姉は素直に頷く。

「えぇっと、何処に」

エレベーターに僕らは乗る。

何処に行くのか分からず、不安に思い何階かを尋ねる。

「お客様は160階層です」

「ひゃ、ひゃくろくじゅう・・・」

生きていて聞いたことない数字で僕は驚く。

「最上階なんですか?」

姉はホテルマンに尋ねる。

「いいえ、210階となってます」

「に・・・!?」

あー、もう訳わからん。

僕は考えることを放棄し始めた。

エレベーターには現在、今ここら辺と書いてある文字盤があるのだが、あまり見たことない文字盤だった。恐らく全ては書ききれないのだろう。10個単位で書いてあった。10階、20階、30階という感じだ。そして今僕らは160階に到着した。

「お待たせしました、お客様。

どうぞ、こちらがパーティー会場になります」

ホテルマンは開くボタンを押し続ける。

「ありがとうございます」

姉はぺこりと礼を伝えてエレベーターから降りる。

「あ、ありがとう」

僕も礼を伝える。

いきなりパーティー会場かと思ったが最初は廊下だった。けれど、奥には分厚い扉があって、恐らくここを通ればパーティー会場なのだろうと思えた。僕らは扉の前まで歩く。

「何だか緊張してきたな」

「僕もだよ」

「楽しいパーティーだと良いね」

「う、うん」

僕らは扉の前に立つ。

すると男性に話しかけられる。

「すみませんが、お嬢様方」

分厚い扉の前には警備員が立っていた。

屈強な男性で、そんな彼に話しかけられる。

「えぇっと、何ですか?」

姉は聞き返す。

「見た目は問題なし・・・あとは招待状だけですね。よろしければ拝見させてもらっても?」

「はい」

姉は2枚の招待券を渡す。

「確かに、本物ですね。

それでは、パーティーを楽しんで」

警備員に扉を開けられる。

「行こう、日陰ちゃん」

「うん」

僕らはパーティー会場に入るのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ