表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/41

6-1

それは温かい気温だった。

湿度もそれほど高くなく、心地よい温度。僕は食事も済ませており、腹は満たされてる。そんな状況なのだ。眠くなっても可笑しくない、とても心地よい気分だ、この感覚に身を任せて眠ってしまおう。そんな風に思って、僕は目を閉じるのだった。

「おい、寝てるんじゃねぇ」

龍堂寺先生が起こってるような気がするが、きっと夢でも見てるのだろう。

「zzz」

僕は次第に意識を失っていく。

「先生の必殺チョークをくらえ!」

先生が僕に向かってチョークを投げ飛ばす。けれど、まどろんでる僕にはそのことには気づくことは出来ない。

「ふん」

しかし、明美さんがそれを阻止してくれた。

「おい、何で止める」

龍堂寺先生は不満そうだった。

「卑怯なのは嫌いなんです」

明美さんは言い放つ。

「どういうことだ」

先生は聞き返す。

「何か悪いことをして叱られるのはいいんです、チョークでも、三角定規でも好きなの投げてください。でも、それは起きてる間の話です、起きていれば、それは来るのが分かってるわけですから、罰を受けるかどうか決めるのは本人の問題です。けれど、寝てる間に襲うのは卑怯だと思うんですよね、俺はそう思ってます」

「あのなぁ、明美。先生はな、そういう話をしてるんじゃなくてだな。そもそも授業中に寝るなってことだよ」

「起こしてからチョークは投げてください」

「お前なぁ」

龍堂寺先生は呆れていた。

「はっ」

ここでようやく僕は目を覚ます。

「ほぉ・・・良い夢見れたかよ」

「やばっ」

先生がどしどしと僕に近づいて来る。

「日陰が起きたんだから、邪魔はしないよな明美」

龍堂寺先生は明美さんの方を見る。

「どうぞ」

明美さんは好きにしてくれとばかりに僕の方へ先生を寄越す。

「あ、あの」

僕は困惑していた。

眠っていたので状況が良く分からない。

いや、大体は分かってる。

先生が怒ってるのだから、それが全てだろう。

「何か言い訳はあるか、日陰」

先生は手にチョークを持ってる。

間違えない、言葉を間違えればあれが飛んでくる。何か、何かいいアイディアは無いだろうか。僕は悩んだ末に答えを出す。

「一瞬だけ、死んでました」

僕が閃いたのはそんな答えだった。

クラスの中で笑いが起きる。

「はぁ・・・もういい」

この状況で僕を殴ると悪者になると悟ったのだろう。先生は帰っていった。

「知恵比べで勝ったな、日陰」

明美さんは隣でにこっと笑う。

「ち、知恵比べ!?」

僕は知恵比べをしたつもりはなかったので驚く。

「あぁ、殴られなかっただろ」

「まぁ」

「中々いい頭の回転力だ」

「えっと、ありがとう?」

僕は一応、褒められたようだ。

ただ、うとうとしていただけなので何だか不思議な感じだ。まぁ、でも褒められたのだからそれでいいか。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ