サヨナラ
思ったより早く終わります。いや、長編は、大変!
家へと帰る。家族は少し心配していた····
次の日。夜、夢を見る。朔のことを夢に見たい。けれど、どうしよう。朔にあってはいけないのかなあ。
朔にもう一度だけ会いたい。どうしても。すると、わたしはきれいな、どこまでも薄緑色の芝生のある庭に居る。そこに、朔がいる。
「朔くん!」
そう話しかける。朔は、少しさみしそうに笑って、挨拶をする。
「こんにちは、みよさん。僕は日本を離れることになりました。少しの間、アメリカに行ってきます。」
「アメリカ?」
「ええ、あの土地は自由が流行るとか·····そこで少し修行してこようと思っています」
「そうなの?」
「ええ、最後だから言うけれど、あなたとまた恋愛してみたかった。それが心残りです」
「······わたしは」
「いいんです、それじゃあ」
そう言うと朔は居なくなろうとする。
「キスしてよ、最後に···」
「········」
「いえ、それは·····」
わたしは、目を瞑る。朔が困っている様子が分かった。
朔は優しく、わたしの唇に唇を重ねた。思わず、照れてしまう。
「また、必ず、会うから」
わたしはそこで目を覚ます。あなたなら、そう言うと思った。なぜだかは分からないけれど·····
あれから七年が過ぎた。わたしは、高校を卒業した後、すぐに東京の大学に受かり、その後そこを卒業して、OLになった。毎日、会社へと通う日々。けれどそれにも慣れた。
ある日、知り合いに、昔の友達を紹介するよ、と言われ、喫茶店でその誰かを待っていた。
時間が流れる。ふと昔のことを思い出した。そう言えば高校の頃、朔と言う子に恋してたなあと思い出したのだ。あの子とは、それ以来会えなかった。それでよかったのだろうか····
喫茶店に知り合いが入ってくる。誰か背の高い、サングラスをした男性を連れている。まさかとは思った。だって会えるわけない。もう七年も音信不通なんだ。
その彼は、少し輝いて見えた。
「久しぶり、みよさん」
そう言った。
朔とは、またやり直そうと思っている。いいんだ。それでいい。
彼とわたしとが出会い、それで世界はまた一周する。かつて輝いていた物があった。きっとそれらは、また輝くことを知っている。
これからのわたし達のことは、わたし達が決める。何があってもこの幸せを······守り抜こうと思う。だからこれでサヨナラだ。
最後にここまで付き合ってくれたあなたに、ありがとうと言いたい。また話す機会もあると思う。それでは。