悠久の詩人
はあ、またライブ配信しよう····
(僕と君は会ってはいけなかった)
どういう意味なんだろう?なぜ朔は、電話を?
(もう、会えない)
どうして?考えてもこんがらがるばかりだ。
ある日、学校で理恵にその話をした。
「そうねえ·····朔くん。何かしてはいけないことをしたのかなあ?電話つながるの?」
「あっ」
そう言えばそうだ。電話つながればもっと何か話をしてくれるのかも。
こうしてはいられない。けれども·····やっぱり怖い。わたしは臆病だ。現実は冷たい。そんな現実を見たくない。理想と現実のギャップがわたしを苦しめている。はーあ。誰かに相談できれば·····
家に帰る。夕飯は、海老フライだった。そうして部屋で思い悩む。うん。やっぱり電話をしてみよう。
電話を掛ける。出ない。おかけになった電話は·····の例の冷たいコールが鳴る。
どうしたものか。そうすると、電話がなった。慌てて出る。
「ごめん。電話しないで。」
「でも会いたいよ」
「僕は、今、閉じ込められているんだ。それが罰だから」
「罰?」
「じゃあね」
そこで電話は切れた。朔は何をしたんだろう?罰と言っていた。何の罰なんだろう?
とても寝れない。けれど、寝ないと明日もある。そうだよ、寝てる間に朔に話しかければ······寝よう。
その日の夢は、曖昧だった。朔に話しかけようとする。けれどいない。代わりに黒服を着た男の人がいて私に話しかけてくる。
『彼はやってはいけないことをした』
『何を?』
『それは、説明できない。いつかはあなたとも会えると思う』
『朔は悪くなんかない』
『申し訳ない』
『今すぐ返して』
『それは出来ない。閉じ込められている』
夜中に目を覚ます。どうしたらいいのだろう·····
また寝る。今度は、街に出てみる。
「朔が捕まっていて·····何とか解放したいの」
「そう。わたしでよければ相談に乗るよ」
「何とか、出来ない?」
「そうだね。君には、何ができるの?」
「えっと·····説得?」
「いや、少しでいいから、利益を取らせれば人間言う事を聞く時もあるよ」
「お金?」
「そうだね」
「でもわたしそんなにお金は·····」
「あるところにはあるよ」
「そう····」
「わたしは、とある詩人を知っている。誠実な人で、お金もあるし、相談に乗ってくれると思う」
「その人に·····紹介してもらえますか?」
「もちろん。」
その後は、わたしは、その人と話をした。藤の花がきれいに咲いている。そこで、その人と別れた。
明くる日、わたしは一日を過ごして、また寝ていた。その日の夜······
「今晩は、学生さん、名前はなんていうの?」「堀みよ、です」
「そう、僕のことは式と呼んでくれればいいよ」
「はい、式さん」
「単刀直入に言おう。君を助けることは出来ない」
「なぜですか?」
「その朔くんを閉じ込めている組織は危なすぎる。僕も、命がけでいかねければならない。なぜなら、その組織は政府の下部組織だからだ。」
「でも諦めるなんて出来ません。」
「死んだわけではない。いつかは会えると思うよ」
「だったらわたしが式さんを殺します。」
「·····そうか、なら本気で来なさい」
「式さんは卑怯です!女の子に戦ったり出来ません。」
「では君はどうするんだい?」
「将来どんな手を使ってでも式さんを殺します。」
「そうか······そんなにも本気か·····」
「朔くんを助けてください!お願いします!」
「命がけになるんだがね·······できることならしょう。お金ならある。それを使って君が交渉しなさい」
「·····恩に着ます」
「その政府の下部組織はファーコスと言うんのだけれど、世界の管理をしている組織なんだ。朔くんは、世界の大事なものを損なったと言っていた·····」
「世界の大事なもの·····」
「それが何かまでは言わなかったが···」
「わたしが、直接ファーコスと話をしてみます。」
「くれぐれも気をつけるんだよ」
「はい」
その夜はそこで会話は途切れた·····
わたしは起きる。朝日が射している。何とかなるのか·····朔は悪くない。そのはずなんだ。
その日は日曜日だ。わたしは、朝食を食べると、朝にシャワーを浴びて、外へ出た。外は晴れだ。きれいな青空が広がっている。
式は、言っていた。朔は政府の下部組織ファーコスに捕まっていると。何がファーコスだ。ばかな名前·······
そう言えば豆知識でベートーヴェンは、雑巾でベトベトから、来ているらしいと聞いたことがある。
モーツァルトは、『もう沢山だ』から来てるとか·····
はーあ。一日は退屈だなあ。
「堀みよさんですね」
「はい、そうですが·······」
「ちょっと来てもらいます。朔くんのことで話があります」
あと少しです。久々の長編。