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雨だれ  作者: 小池竜太
3/7

雨は、出会いと。

 考えていられない。行こう。行ってから考えよう。



 外は雨が降っている。しとしとと降っている。


玄関で靴を履き、傘を持って出かける。お母さんが何か言ってくる。



「みよ、どこ行くの?これから晩ごはんよ」

わたしは何も言わない。言ったら運命に逆らう気がした。玄関を開ける。



 空は曇っていて、不安そうな顔をしていた····





傘を差しながら走って、駅へと向かう。駅から高校の最寄りまで行き、そうして店へと向かう。



 これが、運命なのだろうか?運命と呼べるのなら、ひどい運命でいてほしくない。彼と知り合いになり、付き合って、デートをし、最初に夜を迎えて·······まさか結婚なんて、ううん、彼ならいいんだ。




 色々考えても仕方がない。とりあえず店に着き、中を見渡した。端っこの紫のソファに彼は座っている。



 気のせいか、自分が笑っているような気がした····







「どうしていきなり?」

わたしが言う。

「我慢できなかった」

「でも、どうして番号を?」

「友達から紹介してもらったんだ」

「······わたしのこと、どう思ってるの?」

「仲良くしたいと思ってるよ」

「そう。何か飲む?」

「とりあえずカフェラテを」

「わたしはブレンドコーヒー。」

 夜は更ける。雨は相変わらずしとしとと降っている。どうしてだろう。まともに顔も見れない。少女だから、と思われるのは癪だ。もう大人だとわたしは、勝手に思っている。




「いつまで居るの?」

「さあ、君がいなくなるまで」

「そう。わたしのことはみよ、と呼んで」

「僕の名前は、小坂朔(こさかさく)

「······そう。わたしね、食べるのが好きなの。ハンバーグとかハンバーガーとか。男の子も好き」

「そう。僕は、女の子が好き。」

「ふーん。わたしね、君のこと···」


そこで目が覚めた。いえ、何でもない、こっちの話。



また寝る。


「僕は、小説好きで·····ジュブナイルとか」「ふーん。わたしもジュブナイル好きだよ」

「そう。僕は、昔、はやみねかおるを読んでて·····」


時は過ぎる。夜は更ける。客が来た。



カランと音がする。


女の子と男の子だ。女の子は、きれいな顔をしている。男の子は、帽子を被っている。



二人は、私たちからほど近いところに腰掛ける。


「それでね·····」

「待って!」

「········」


朔は、二人を警戒しているようだ。

「出よう」

「うん。」


女の子は、大体男の子に従うものだ。もっと話したいけれど、その店を出ることにした。



出るとき、店のヴェレイと言う看板が目に映る。



「ごめんね。あの2人が気になって」

「うん。いいの。あの、」

「うん?」

言えない。ライン交換しようって言えない。ええい、勇気を出せ!わたし!



「交換しない?」

そう言ってスマホを出した。


いいよ、と言い、わたし達はラインを交換した。やった!王子様とライン交換した!やる!わたしって。





夜寝る。家では母親が怒っていた。理恵と会っていたことにしてごまかした。





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