表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/27

第3話:男爵の男が俺の初めてを奪いに...

朝の日差しをくらい、俺はうわっと思いながらも漁港に来ていた。

なぜ漁港にいるんだ?と思うだろう。

すこし前まで、毎日野宿のサバイバル旅をしていたのだが、ずっと野宿、ずっと野生動物の肉だとちょっと飽きてくると俺がポツリと言うと、アリシアが街の宿に泊まろうと言ってきたのだ。

お金がかかるのではないかと思い、遠慮すると、アリシアが持っていたリュックサックの中から、無限と言ってもいいほどのお金がなだれ出てきた。

これ以上あると戦闘の邪魔ということで、結局泊まることにした。で、泊まったところがここだった。


「ふわああ...」


小さい口から出てくる可愛らしい声が、俺のことを覚醒までもってきた。

(すぐ近くから可愛い子の声がするのなれねえ...そんな目覚まし時計あったらほしいと前世で思ってたわ...)

そして、そんな中年のおっさんのような思考をしていると、漁港らへんから誰かの声が聞こえた。


「今日も助かるよ。アリシアちゃん」

「ほんと、いつもやらせちゃっていて大丈夫なの?」


アリシアの手にあるのは沢山の四角い箱のようなもの。それをどうやら船の中に持っていってあげようとしていたようだ。

2人のちょっとだけ老けてるとも思える夫婦と、アリシアが何やら話していた。

アリシア.....彼女は今の俺の旅仲間で、本当にいい子だ。

アリシアと過ごしていてわかったのだが、アリシアは本当に優しい。しかも元気があって、街に行くまでで出会っていく人々を全員笑顔にしてきた。


「大丈夫ですよ〜。こうやって人の役に立っていれば、筋肉のトレーニングになりますし。あ、絶対に筋肉ムキムキでこいつ男かよって言われるほどトレーニングするのはごめんですけどね。」


こうやって、人のためにすることを自分がしたいからする。そうすることで、相手が気を遣わせてしまわないようにする。そんな小さな優しさが彼女の良いところだ。

そして、彼女たちは話をしながら、港の方へと物を持って歩いていった。



「ごめんねリオ〜。ちょっと私用で出かけちゃってて...」


私用っていうか人助けだけどね...


「いや全然いいよ。荷物運びお疲れ様。紅茶とちょっとしたお菓子を買ってきておいたから一緒に食べようか」


「うん!ありが...えぇ?なんでそれを...」


「ちょっと港で見ちゃってね。すごくあの人達も喜んでいたね」


アリシアは頬を真っ赤にしながら、髪を縛るリボンをいじっている。

しかも、彼女は赤色の目を閉じたり開けたりして下にうつむく。

そういう照れて困っている仕草...可愛いよなぁ...


俺は宿に備え付けられていたティーカップを取り、紅茶を注いでいく。

机の真ん中には皿がおいてあり、そこにはクッキー3種類の美味しそうなクッキーもある。

凄い高級感溢れるってわけではないけれど、お茶会みたいになった。

...女子とお茶会!!!前世ではまともに話したことなかったなぁ。


「ありがとう、リオ......はぁ、凄い美味しい。こんなに美味しい紅茶は初めてかも」


「ダージリンを使っているんだ。さすが人気の紅茶だよね」


「ううん、違うよ。いつも作る紅茶よりもリオが作ってくれた紅茶のほうが美味しいんだ」


「ありがとう。紅茶を誰かに作るなんてしたことがなかったから」


思わず顔がにやける。顔がキモくなってないかなと思ってしまったが、彼女も笑ってくれた。

まあ、にやけを抑えるなんてこの子の前では到底不可能なんだけどね。




そんなこんや話していたら午前もあと少しになってしまっていた。


「ご飯食べにいかない?ちょっとお腹が空いたよね」


「わかる!お腹空いた〜」


お腹がなりそう...ていうかさっき小さい音でなってしまっていたので、今すぐにでも食べに行きたいと思った。


「じゃあ近くに美味しいお店があるから、食べに行かない?」


「うん、案内お願いします!」


それで宿の入口から出ると...外が騒がしかった。

なんだろうと思って見ると、どうやら貴族が来ているみたいだ。


「レアード男爵家だね。あまりいい印象を私は持っていないわ」


「そうなんだ。男爵家とか貴族とか全然わからないや」


「男爵とか子爵とかたくさんいるから覚えるのは結構大変だよね。今度このあたりの図書館で教えてあげるね」


「ありがとうございます〜。アリシア様ぁ〜」


こんな場所で深々と頭を下げないでというふうに、アリシアは周りを見て頭を上げようと促す。大勢の人がこちらを見ていたからだ。

そんなコントのようなことをしていると...


「Hi,そこの可愛いレディ達!」


こちらに声をかける男性がいた。

さっきの男爵の人だった。俺達だけを見ている。


「わあ!ナンパなんて初めて!」


アリシアの方を向くと、警戒心たっぷりでその男爵家を見つめていた。


「私達は今ちょっと用事があって、すみませんが別の機会で」


アリシアが俺の左手を取ってその場から離れようとする。すっごい手が柔らかくて...ちょっと興奮してしまった。

そしたら次は右手を男爵の男性に取られて引いてくる。


「ちょっと、だめだよレディ達、もうテラスの予約は取っているんだ。一緒にご食事をして...」


アリシアは俺に掴かんでいた男性の手を引っ剥がす。


「あなたと食べるテラスの食事よりもリオと食べる食事のほうが断然に美味しいわ」


「チッ、生意気な小娘め。お前にそんな選択肢はないんだ。もういい!もう一人の娘!こっちにこい!」


「あなたみたいな奴と食事したらどんなものが入っているかわからないわ!媚薬とか入っているかもしれない!」


え、え、これどういう状況?

俺を取り合いしているってこと?これだったらアリシアの方に行くけど...

す〜〜っとアリシアの側に寄る。悪い、俺は男が好きだという趣味はないんだ。


「リオ...」


「この野郎...護衛達、こいつらを傷つけないくらいで捕まえろ」


「はっ、承知しました」


護衛の男性たちが3人寄ってくる。え、てか護衛の一人の顔がデュフフの顔なんだけど!!!ひいぃ!アリシアの初めてを奪われるぅ〜〜〜。

クソほどキモいことを考えながらも手から魔法を発動させようとしてしまう。


「リオっ!それはだめ!」


「お前!そんな魔法を街中で」


これは、前世で異世界に転生したら絶対にしてみたいと思っていた魔法だ。

好きだったキャラクターが使う火属性の魔法それはどれもレトロっぽく、現代っぽく、どれも格好の良い魔法だった。

その中でも、俺が一番お気に入りだった魔法.......


「フレイムバインド!!」


地面から魔法陣が作くられ、周りからは3つの炎の鎖が作られていく。

それはうねりながら男爵の男性に向かって放たれる。炎の鎖は地面をじゅっと焦がしながらやつの方に突き進み....


ジャキン.......


白服の金髪の男に...

全て炎の鎖が切られてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ