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第25話:あなたがいなくなった世界

俺は、よろよろと立ち上がった後...座りこけて戦闘に参加できない。


「私は娘を殺されていて、呑気に彼女の後ろで見守る者にはなりたくない」


俺は、その言葉を聞いて...どう思ったのだろう。体はもう動かない...体を動かそうとも思えないくらい身体中と心が疲弊していた。


「それで敵を討つと?お前が...俺をか?」


アーゴは口でニヤリと笑う。


「お前が俺と戦って何になる。ただ無駄に命を落とすだけだとわからないのか?」


「さっきも言っただろう。私には娘を殺したものを見逃す選択はないと」


伯爵様は持っていた剣をアーゴへ向け、威圧する。


「ならいい。俺もお前をうざったらしく思ってきた頃だからな...だから!殺し...」


アーゴが急に後ろを振り向く。なぜ今後ろを振り向いたのか...俺がアーゴの見る方をよく見ると...後から男が一人足早に駆けてきていた。


「アーゴ!!二等騎士団だ!」


「二等騎士団?!」


アーゴが今まで見たことのない顔をする。彼の顔には冷や汗がにじみ出ており、今すぐにでも逃げなければという感情が手に取るようにわかった。


「もしも二等騎士団の上級騎士が何人も来れば逃亡ルートが狂う!早く移動しよう!」


「ちっ!クソが!」


アーゴは靴のつま先を思いっきり地面にぶつけた。地面のレンガが割れるのと同時にレンガの下にあった砂が舞い上がる。

アーゴは「また来てやる!覚悟しておけ!」と言って体の向きを変える。


「お前は絶対に逃さな...」


アーゴは異常な速度でその場から離れていく。伯爵様も追うが、アーゴの距離は徐々に広がっていって攻撃圏内に入らない。


*


「はは!シェラクス!逃げるぞ!」


「アーゴ...お前自体を大きくしすぎだろ...どうしてくれるんだよ...」


「大丈夫だ。俺達に勝てるのはごく少数だ。いくら二等騎士団が攻めてきてもそいつらだけならば俺達でも勝てる」


「それもそうだな....っアーゴ!」


「何だよ...」


俺は、そのときに気づいた。気を周りに出すという行為をしていなかったことに...俺はとっさに体を横へずらし、緊急回避もどきをする。

その物体は俺の頬を切り裂きながら真っ直ぐ進む。進んだ方向へ鮮血が飛び散る。


「アーゴ!大丈夫か!」


今のは魔法だ!傷が焼けるような感覚...火属性の魔法だ!

二等騎士団は魔法を使えるものはいない。騎士なのだから...だったらできる存在は唯一人。


「あのガキ!!!!!今度あったらぶち殺してやる!」


俺は振り返らずにそのまま進む。怒りが収まらないが、後ろからは騎士団...逃走ルートはもうここのみ。

俺は舌打ちをして、俺達はまっすぐとその場から離れた。


*


「くっ!何でだよ!」


自分が現在最も高威力で使える大魔法...『緋槍』

攻撃をするために温存していた全魔力を全て放出して...俺はこの大魔法を放った。

なのに、俺は大魔法をコントロールできずに...外した。


「もっと、俺がこの魔法をもっと早い段階に使えていれば...もっと早く会得して練習していれば!」


「リオ!」


俺は一つの声に意識を持っていかれる。ヴァレンティノ伯爵様だ。


「リオはアリシアを守ろうとした。それだけでも凄いことだ。私はこの場にいることだってできなかった」


「違う!それはあなたがこの場にいなかったからであって...」


「違くない。私がいたとしても未来は変わっていない。私はリオよりも弱い。私も殺されていたかもしれないんだ」


俺はその言葉に何一つ反対などできない。この人の言っていることは全てあっているし、その声に圧倒されて何も言い返せない。


「リオは、自分なりにアリシアを助けてくれたのだろう...」


「でも...俺は.......」


ヴァレンティノ伯爵様は俺の頭を優しく撫でる。

「リオ。そんなに自分を自分自身で責めないでくれ」


それでもだ...俺は...アリシアを助けることができなかった...

人生を何十年歩んできたと思っている...不意の自体が起こるかもしれないことをなぜ警戒しなかった...

俺は...ひたすらに悔しい。


「...リオ」


「うっ...な...なに.....」


俺の目からは涙がこぼれていた。肉体は子供だから涙道が開いているのだろうか.....


「リオ...大丈夫...大丈夫だ。」


「う...う...」


俺の涙は俺の意思に関係なく溢れ出していた。それを、ヴァレンティノ伯爵様は背中をトンと叩いてくれた。

なんだか...泣くことも時にはいいものなのだと...俺はその時実感した。

アリシアのいなくなっても...それを知らないかのように星空は瞬き続けていた。

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