第23話:零距離戦
辺りが静寂に包まれる。
そこにはリオと屍へとなったアリシアがいた。
「アリシア。俺も好きだよ」
リオはアリシアを地面から浮かさずに、優しく体で包み込んだ。
彼女の目からは静かに水がこぼれ落ちた。
それは地面に落ちて、土にシミを作る。
「.....」
リオは、アリシアから体を離し、小さい手でアリシアの頭を撫でる。
「アリシア。もしも、俺がそこに行ったらさ」
「また一緒にご飯を食べたり、話をしたりしような」
彼女はそう言うと、重たい体をあげる。
肌が露出している部分は打撲、かすり傷と様々な傷がついている。
そして、アリシアの腰部分にあった美しいダイヤモンド色の剣を持ち、アリシアに別れの挨拶か、それとも会いに行くの挨拶なのか。
なにか特別な意味を持つような長い瞬きをする。彼女は目を開け、浮き飛ばされた方向に足を進める。
なぜ、彼女はもといた戦場へ戻るのか....理解することができなかった。
*
「アーゴ。もうそろそろ基地へ戻ったほうがいいだろう。近くにいた住民に気づかれ始めた。騎士団に通報されたら面倒だ。」
シェラクスがアーゴ...へ向かって帰還の提案する。
すると、アーゴはにやりと笑い、「全員殺してしまえばいい。そうすれば通報なんてできないからな」
「お前は何でもかんでも人を殺そうとするよな...流石に何でもかんでも殺していると有力な人材までも殺したりしてしまうぞ」
「俺に勝てないやつは有力でもなんでもねえよ!」
アーゴは拳を虚空に突き出す。すると、拳から空気弾のようなものが発射される。
空気弾は彼らをこっそり覗いていた中年の男へ向かう。
「し」
その瞬間、結界が男の前に張られる。張られた結界に空気弾が当たり、結界は大きくひび割れる。だがそれだけで、空気弾はそれ以外の意味を持たなかった。
「アーゴ。男が結界を張ったわけではないんだよな。あれは明らかに魔術の結界だ。自身がそこへいなくても作れる」
「知らねえよ。ただ...誰が作ったのかが知りたいな」
シェラクスは風の魔術を使う。その微弱な風は彼から四方八方へ広がっていく。
「いたぞアーゴ。あそこに強大な魔力が...」
「避けろ!シェラクス!!」
シェラクスは地面に突き刺していた剣を瞬時に抜き、横回避をする。
その瞬間、上から炎属性の魔術が魔法陣によって構築されていることをシェラクスは気づいた。
「ダークボール!」
魔法陣によって生まれたファイアボールを、浮遊する書物から魔術を放ち、追撃する。
その魔術と魔術はぶつかり合って、ドンッという音とともに相殺し合う。
「またお前か!」
「ブレイズ・キャノン」
アーゴが発射を起こしている正体に気づくと、アーゴはその者へ接近する。
「ガキが!」
アーゴがその者に向かった正体は...リオだった。
リオが放った魔法はかなりの威力で、先程まで放っていた火属性の魔法と桁が違っていた。
「破砕!」
アーゴは拳へ気をためて、一気に放つ。
その拳の一撃は、リオの放った魔法を言葉通り破壊して爆発する。爆発によって、グレー色の煙が辺りを包み込むが、轟音とともに爆風を抜け、リオへ向かって素早い飛び蹴りをする。その蹴りは、風を纏い、気を纏い、硬度を上げる。
「雷鳴!」
リオはアーゴの蹴りに全く怯まずに、剣を腰に構えて、雷速の一撃を放ち…気と雷の激突が起こり、それは風神と雷神を連想させるようなものだった。




