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第19話:洗脳された子どもたち

「おお、凄いね」


スキル飛散、効果としては単純で、触れた相手を破裂させてしまう恐ろしい能力だ。

もしもCランクの冒険者がそのスキルを持っていれば、1つか2つ下までのランクを一瞬で破裂させられる。

魔法ではなく、スキル...つまり魔力が減っていくようなことではないので、無限に使える。


「この能力はな、こんな感じで物体を木っ端微塵にできる。いくらお前が強くてもな」


「その能力は危ないよ!流石にリオ!逃げよう!」


いくら強くても?そんなはずがない....


「逃がすか!ロック!」


男は小さな石塊を手から放つ。無詠唱...それはすごい!私はすぐさまにその塊に目を向ける。その頃には眼の前まで来ていた。

だが、それは私には届かない。アリシアが剣を縦に振るい、石塊を真っ二つに斬る。

石塊は左右に弾け、そのへんに転がる。


「ちっくそ!剣なんて持っていやがって」


「喰らえ!」


アリシアのもとにあの3人ではない第三者が剣を振るう。おそらくはコイツラの味方...

アリシアの目には、その姿を捉えられていない。背後から...死角からの攻撃。

この攻撃は本当に殺しにかかっている。さすがに....殺るか。

私はアリシアに迫る者を排除しようと、魔法を放つ...はずだったのだが...



ひざまづけ!」


甲高い声が脳内に響く。洗脳魔法に近い...特殊な魔法......

私はその魔法の洗脳を破壊しようとする。だが、あまりの魔力の硬度によってそれは無意味となる。


カランッ...


アリシアを狙っていた男は剣を落とし、ガクッと地面に膝をつく。

それとともに、3人組、アリシアが膝をつく。


「何だこれは.....」


「クソ...硬え...」


男たちは魔力に干渉し、魔法を解こうとするが、「ぐっ」っという声をあげて跳ね返される。

跪く瞬間、私は魔力上昇の魔法を無詠唱で行う。そして、魔法を無理矢理こじ開け、膨大な魔力のある先を見る。


「シセル...」


白い髪にエメラルドグリーンの目、そして中性的な顔立ち...7大ヒロインのシセルだった。


「あら、私の魔法を壊す者が生徒にいたのね。」


彼女は私達を見下す。

その眼はきれいな緑なのだが、どこか暗く感じさせるような眼をしていた。


「たまたまだよ....それよりもアリシアは拘束しないであげてほしい。私達は被害者だから」


「そう...ですか」


その瞬間、アリシアはばっと立ち上がり、「足がプルプルしてたよ...」っと言って、足を軽く叩く。

ずっと膝立ちだったからな...


「白髪!俺は子爵家の三男なんだぞ!こんなことしたらどうなるのかわかってんのか!」


「俺だって男爵家の次男だ!俺を怒らせたらどうなるのか...知りてえんだよな」


飛散のスキルを使っていた男と、アリシアを斬ろうとしていた男が、私達に向かって脅すかのように言う。私はめんどくさくなってきたので帰ろうかな?って思った。別に害はもうないし....


「人間というものは実に愚かな種族だ」


シセルが冷たく言い放つ。その声は先程の声より低い。


「感情というものに支配されて、理性を失う。権力、力が強ければそれを武器にして交渉する。実に、実に愚かだ」


彼女はそれだけ言い、くるっと帰路に戻る。回って歩を進めた時、男たちの動きはもとに戻る。


「覚えとけよ!!てめえ!」


「私は、君たちには興味がない。今は分かっていてもきっと忘れるわ」


彼女はこちらを向かず、そう言い放った。やがて、人混みに紛れた頃に、メガネをつけた白衣の教師が俺達のもとにやってくる。


「君たち!何をしている。」


「ああ!?俺達になんてことを言ってる!俺達は貴族だ!丁重に扱えよ!」


「貴族?...ああ、君たちのことかな?君たちが喧嘩をしているって聞いて、駆けつけてきだんだけど...」


来るのがちょっと遅かったな〜。と思いながら、俺は事件の詳細について話す。


「つまりは、君たちは次席クラスに落ちた子たちってことだよね」


「俺の実技の点数は普通科の中で一番だ。なのに次席クラスどころか第二希望の普通科でも上位に入れてない!」


「君の場合は確か...筆記テストが凄い低かったよ。4教科で300点中たったの15点台。平均点170点なのに、よく今年の学園に受かったよ」


教師はメガネを少し上げながら、真実を暴露した。

15点?いくらこの学園の試験が難しいと言っても20点は低すぎる。こいつが全く受験勉強をしてこなかったことが目に見える。


「.....」


男は...なんにも言い返してこなくなった。


うん、乙。

私は自分のバックを整理して、帰る準備をするのだった。

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