第11話:特殊魔法
パリパリという雷の音と的の破裂音が終えると、辺りはしいんと静まり返り、静寂に包まれる。
「う、嘘だろおい」
一人の生徒が静寂を破壊する。その生徒はアリシアの魔法を見て、驚きを隠せないでいる。
「単位数、きゅ...98点...」
「無詠唱で98点って戦闘魔法の中でもトップクラスの威力じゃねえかよ」
「しかも普通Bランクとかの冒険者が出すような魔法だぜ。とんでもねえぜ」
アリシアが出した魔法は雷魔法ライトニング。ライトニングは魔法の中でも戦闘時に非常に長けている魔法で、適切な想像力と基礎の土台があるか、魔力がたくさんあるかというたくさんの条件によって繰り出される魔法だ。
魔法は全てで10段階あり、基礎魔法、応用魔法、戦闘魔法と続いていく。
その中の戦闘魔法という魔法だ。下から3段階目だとしても相当の難易度だ。
「リオ〜できたよ〜。気持ちいい〜!」
俺は奥にいるアリシアに小さく手を振った。
アリシアはこれでもれっきとした剣士なので、本当に凄い。魔法剣士というやつだな。
「失われし輝きを 再び与えたまえ リザレクト」
「シセル、単位数59」
俺の方ではシセルが詠唱省略して回復魔法を行っていた。
シセルの使った魔法も戦闘魔法で、先程まで壊れていた人口人形をみるみると直していた。
あいつもあいつで凄い。まだ入学していないのに平年の卒業生並の力を持っている。本当に...今年の試験はやばいんだな...
「リオさん。少し時間が押しているので周りを見て早く行動してください」
「あ」
俺の前はいつの間にか終わっており、自分の番に回っていた。
「すみません。気づかなくて」
「結構です。早急に行ってください」
人が謝っているのになにもないとは何だ!と思いながらも少し前へ出て、土台へ立つ。
「シークレット...マナ・ウェポンⅡ...」
こっそり隠蔽魔法をつけながら魔力量上昇のバフをかけて、俺は的へ向かって両手を向ける。
打つのは特殊魔法...4段階目と呼ばれる超高等技術だ。
まずは、魔力の密度を集めて集めて...ほいきた。魔力の集合体...
俺の両手には超濃密度な魔力の塊が生まれていた。その魔力は、少しづつ溢れ出していて、少し部屋中を温めていた。
うし、これでいいかな??よしきた、はっしゃあ...
「あの!早く打ってください!時間がないってわかってますよね!そうやってためているふりをして長引かそうとしてもそうはいきませんよ!単位数0にしま...」
「うっさいな〜おばはん!ごらあ〜打ってるじゃん!」
俺はかちんと来たはずみに、的に向かって撃つ魔法の密度が薄れ、不完全な特殊魔法へ変わってしまう。
その瞬間、手のひらからは大きな球状の白色の火炎弾を撃つ。
その白い球が発射されるときに、強い熱風が走り、一気に館内が熱と火属性の魔力に満ちる。
「へ....」
審査官のおばはんがそう言葉が漏れた瞬間に魔法が的を貫通し、館内の壁へと激突する。
激突したときに、ゴオオッという熱風の走る音と、激突する音がして、壁に付与されている障壁がひび割れ始める。
「へ...」
俺が素っ頓狂な声を上げると、そこら中にいた審査官達が一斉に俺達の目の前に障壁をつける。
あ...これ強すぎたやつだわ.......
そう気づいたときにはもう遅しで、白炎はさっきまであった壁を炎で吹き飛ばしていく。
そして、静まり返ったときに、審査員の一人が俺に声をかけてくる。
「あの、リオさんであってますか」
「...はい...」
「あの...的が壊れてしまったのですが、測定結果が単位数134点になりまして...」
うん、ちょっと強すぎたんだ...
いくらバフをつけたとしてもあれはやりすぎだったんだ...と俺は理解した。
そんな事を考えていると、別の施設からは悲鳴が聞こえてくる。
「何なんですか!今年は!単位数50以上がばんばん出てて!!しかも単位数100超えが3人ですよ!」
「しかも建物を壊した人もいるみたいだし...一体今年はなんですか....」
学園の廊下ではバタバタと走り回る職員たちがあっちこっちに向かっているのが見えた。
「凄いよ!リオ!134なんて私にはできないよ!」
「あ、アリシア、ありがと....」
俺はこの学園の職員に申し訳ながらも、後片付けをしてもらい、次の試験へと進む。
ほんっとうにすみませんでした。
そして、俺達は壊れた壁を見ながらすーっと出口へ向かっていった。




