第9話:最強格の力
「ついたついた!」
「なんだかんだ遠かったな...」
俺は額についている汗をタオルで拭き取り、軽いため息をつく。
それを見たアリシアはニヤニヤしながら、「体力ないんだね」と言ってくすくすと笑う。
「違うよ。アリシアが強すぎるんだよ。ここまで馬車とかで一時間もかかったのにピンピンしてるし」
「睡眠って強いんだよ〜。寝ているだけでもうついちゃうし!」
睡眠...寝てたらつくのはわかるけど毎回起こしてるの俺だけどね...
さっきなんて寝過ごしたら王都の端っこに行っちゃう馬車に乗ってて、全然起きなかったし...
ほんと、怖かった...
「リオ。ここまで一緒に来てくれてありがとう」
「ん?どうしたの?」
「私はリオに会えたことも、リオと楽しく生活するのも嬉しかった。だから、学園でも一緒なのが本当に嬉しいの」
アリシアは俺のことを見つめて、いつもよりも1段と笑顔なアリシアを見せてくる。
可愛すぎる。こんなの反則だろ........
アリシアの後ろを見ると、どうやら俺達を見ている生徒がいる。
「きゃー。可愛いわね〜。百合よ百合!!」
「写真取っておこうぜ。」
「あの子達すげえ美少女じゃね?」
俺は、恥ずかしくなり、下を向きながら、アリシアに「いいよいいよ。俺も嬉しいから」っと言う。
これで話が終わる...ダッシュで逃げ出したい...そう思っていると、アリシアは俺に飛びついてきた。
「あ、アリシア?!」
「ありがとう!リオ大好き!」
アリシアは俺に飛びついて、ギューッと俺を抱きしめていく。
幸せ〜〜。だが........
「キャ〜。可愛いいいい〜」
「抱きついてる!いいな〜俺も抱きつかれて〜。」
「アリシアっていう子なんか天使みたいで可愛いな」
「だけど俺は、リオって子も小悪魔っぽくて好きだぜ」
恥ずっ。ん、なんか急に熱くなってきたな...なんだ??
すると、アリシアが抱きしめながら顔が真っ赤になって涙目になっていた。
あ、ようやく気づいたんだ...
そして、お互いダッシュで人目のないところに逃げた。
「王立学園の入試試験のチケットはこちらです。5列になってお並びください」
そんなアナウンスが聞こえる中、俺達は早めに行ったおかげで列にあまり並ばないでゲットすることが出来た。
王立学園のチケットも数が限られているので、たまにチケットがなくて入試試験をできない人も出るらしい。
「早めにこれてよかったね」
「そうだね!これで入試試験に出れる!」
そんな事を話していると、見たことがある顔が見える。
「...あれは、シセル...か」
7大ヒロインのシセル。堕天使と人間に生まれた者で、白を基準としたスタイリッシュな服装をしていてる。顔が中性的でどちらかわからない見た目をしているが、性格はちゃんとした女性だし、身体も...少し膨らんでいて、ちゃんとした女の子だ。
だが、ヒロインの中では上位の戦力があり、特別ルートでは天使の中でも上位の戦力のものが手に入れられる天使階級の上級第二位の印を手に入れた程の実力だ。
「あの子、凄い綺麗な子だね。毎日お化粧でもしているのかな?」
「違うよ。イケメンや美女の多い天使と人間のハーフだから遺伝子的にこういう子になるんだよ。確かに綺麗だけどね」
「...リオは、ああいう子が好み?」
アリシアはちょっと悲しそうに俺を見つめる。
「う〜ん。別に私そもそも女の子だよ?」
「.........たしかに...」
俺の体をアリシアがまじまじと見つめる。主に顔と胸の部分だ。
自慢ではないが、俺の体は結構色っぽい。胸もDカップもあるし.....
そして、他にも見える顔はたくさんあり...
「あそこには、リナ王女殿下、エラノ公女殿下。それにあそこにはゼータ侯女殿下もいる」
どれも、最強格クラスの実力を持つ人物たちで、どれも成長することでSランクの上位クラスの魔物を倒せるレベルになる。
「今回の入試試験は大丈夫なのかな...私じゃちょっと不安かも...」
「大丈夫だ。私達の実力はこれでも上位だから。ね?」
アリシアを励ます。だが、不安が無いと言ったら全然ある。
この年は大人たちから奇跡の年と呼ばれる一方、生徒からすると絶望の年とも呼ばれる。
理由は...全体の平均値の戦力が通常がEランク上位程度なのに対し、この年だけDランク程度へと上がっている。
それくらいこの年だけ強者が多いんだ。
「...でも、勝てないと私達は、だめだ。だから、いつもの力を最大限活かして、戦っていけばいい。ね」
「...そうだね。うん。頑張っていこう!」
俺達は、絶望をするために来たんじゃない。ここに入るためにわざわざ足を運びに来たんだ。そして、俺達は試験会場へ行く。
俺達にまず来るのは筆記試験...絶対に...落とさない。
...俺達は会場を向かい、志望生徒8700人と1000人をかけて戦うのであった。




