ニセモノ?
明美さんは顔パスで入場口を通り2階の特別席
に海斗くんと並んで座りました。
行司「に~し~、ブックマン~。ブ~クマ~ン。
ひが~し、ナスロ~ン。ナ~ス~ロ~ン」
海斗「あっ!ナスロンくんだ。がんばれー、ナス
ローン」
行司「はっけよーい、のこった、のこった。勝負
ありー」
海斗「あー、残念。でも、よくがんばったよ」
明美「海斗くん。さっきの実演販売を見て思った
んだけど、あなたには人を引き付ける力が
あるわ」
海斗「えーっ、そうかなあ?」
明美「あなたさえ良ければ芸能界に戻るべきよ。
秋丘社長も首を長くして待っているわ」
海斗「あっ、そうか。明美ちゃんは秋丘芸能事務
所からの出向という形で、妖精相撲の会長
になってるんだったね」
明美「ええ、そうよ。いずれ、前会長の鬼沼さん
が出所すれば、私は芸能事務所に戻るわ。
あなたのマネージャーをやってもいいわ」
海斗「そうかあ。でも、僕は今の仕事に満足して
るんだ」
明美「そうなんだ。あっ、それからオマタの方は
どうなってるの?」
海斗「うん。トマ美ちゃんの妹のトマ里って子に
治療してもらってるよ。あと53日で百日
になる予定さ」
明美「それにしても、二度も海斗くんに術をかけ
るなんて、あのオウジって何者なの?」
海斗「うん。歴史上のウマヤドノオウジっていう
人は別名を聖徳太子といって、もっと立派
な人だと思うんだ」
明美「あれは絶対ニセモノよね」