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初対面
十二月七日の晩、海斗くんは思わずこんなひと
りごとを言ってしまいました。
「あーあ。こんな五か月も一人で居て、別に寂し
くないのなら、もうボピくんがいなくても全然
平気だよ。このまま、前田さんの所でずっと預
かってもらおうかな」
そのひとりごとがとんでもないことを引き起こ
してしまうことを海斗くんは知らずにいました
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その夜、海斗くんの夢の中に、大昔の貴族のよ
うな恰好をした人が現れました。
貴族「海斗よ。お前は何と冷酷な人間なのじゃ。
ボピくんを前田さんに押し付けて、自分
は世話をしないとは許せんぞよ」
海斗「あなたはいったい誰ですか」
貴族「私はウマヤドノオウジという者だ。お釈迦
様の弟子で仏道を広めている」
海斗「あっ!あなたですね。去年、ボクのオマタ
をスッカラカンにした人は」
実は、海斗くんがこの王子様に会うのはこれが
初めてなのです。
海斗「あなたのせいでボクは本当に大変な苦労を
したんですよ」