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白髪
翌朝9時ごろ家を出た二人は午後2時ごろ前田
さんの家に着きました。前にも一度来ているので
海斗くんがここに来るのは二度目です。大きな松
の木が庭にありました。
海斗くんは右手でボピくんと手をつなぎ、左手
で玄関の呼び鈴を押しました。
海斗「前田さん、こんにちわー」
すると、白髪のやさしそうなおじいさんが顔を
出しました。
前田「いやあ、二人ともよく来たね」
ボピ「ババチュポ、ウモモプポ」
海斗「このたびは無理を言ってすみません」
前田「いや、わしはずっとボピくんと暮らしたい
と思っていたんじゃ。でも、妻が反対して
できんかったんじゃ」
海斗「今、奥様は?」
前田「うん。先月から老人ホームに入っておる。
だから、ボピくんを引き取れるようになっ
たんじゃ」
ボピ「アウッ、アウッ、ア、ア、ア、オギャー」
前田「どうやら、今、ウンチをしたようじゃ」
海斗「えっ?そうなんですか?」
前田「ははは。さっそく、世話ができるというも
んじゃ。ははははは」
海斗くんは、ここなら大丈夫と思いました。