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どっちが大事
二月八日の午後二時過ぎ。海斗くんは明美さん
の運転するピンクの車の助手席に座っています。
二人はこれからドラマの撮影現場に行くのです。
運転しながら明美さんが海斗くんに尋ねました。
明美「ねえ、結婚の準備、どうしようか?」
海斗「うん。なるべく早く進めたいと思っていた
んだけど、ボピくんのことがショックで急
いで準備する気になれないんだ」
明美「そうよね。海斗くんにとっては大事な親友
だったんだからね」
海斗「ボピくんの四十九日があけて、最初の大安
に入籍して、その翌日に発表ってことでど
うかな?」
明美「わかったわ。そのつもりで準備するわね」
そう言いながらも、明美さんはちょっぴり不満
でした。なんだか、海斗くんの心の中では、自分
よりもボピくんの方が大きいように思えたからで
した。