Loving
アイル視点
意識が浮上する。どうやら眠っていたらしい。今はループのどこで何回目なのか、一瞬理解できずに混乱する。
監視カメラを確認すれば、キーナとクメリアがプラネタリウムを修復している最中だった。よかった、まだその時ではない。状況を理解すると安堵して、ようやく胸を撫で下ろした。
あれからというもの、何の変化もなく順調に事が進んでいる。イゾルカと意味の無いお茶会もしたし、全員がキーナとクメリアを探し回ったのも確認した。今はその時決まった俺へのサプライズのために、プラネタリウムの修復やら新作のお菓子の開発やらをしているところだ。
サプライズを計画してくれているところ申し訳ないが、監視カメラで確認している上ループで幾度となく同じ内容を見せられているため、全くもってサプライズにはなっていないのだ。けれど皆はそんなこと知る由もないし、繰り返しているとはいえ俺のために何かをしようとしてくれる事は純粋に嬉しかった。その喜びを、あんな形でしか返せない事が悔やまれる。
自分がした事を、後悔しない訳がなかった。幾度となくやめようとも思ったし、違う方法がないかも模索した。けれど結局、そのどれもが無駄だった。どう頑張っても何をしても、最後には必ずあの場所へとたどり着くし、彼らの記憶を消去してやり直すのが一番手間取らず、安全だった。
九十九パーセントの幸せに比べたら、一パーセントの苦しみなんて大したことない。それが、俺たちを作った「あいつ」の口癖。最初はそんな訳ないと思っていたが、今考えれば奴は正しかったのかもしれないと思えた。
俺はただ、奴に任された使命を果たしているだけ。所詮は管理者。奴が作った、ただのプロセスの一つに過ぎない。だから自分のしていることに後悔はあれど、迷いも躊躇いも必要ない。そんなものを持ったら皆に危険が及ぶ。全ては皆のため。皆の生活を、幸せを守るため。誰にどれだけ怪しまれようが疎まれようが構わない。それで皆を守れるのなら、いくらでも悪者になろう。それだけの覚悟が俺にはある。それだけ俺は、皆を愛している。
了




