One more step
キーナ視点
いつもの朝、いつもの朝食。のはず、なのだが。
(なんか、みんな怒ってる……?)
ものすごく空気が重たい。みんながみんなという訳では無いのだが、オノロンやカルナスからは怒れるオーラというか、重苦しいものを感じた。そんな空気を知ってか知らずか、クメリアが口を開く。
「ねぇ、オノロンとカルナス。喧嘩でもしたの?」
しかしその一言が逆に場を凍りつかせてしまったようだ。気付かないふりをしていたみんなの顔が一瞬強ばったのを感じた。
「あれ?僕何か余計なこと言った?」
当のクメリアは何も気づいていないらしい。クメリアらしいと言えばクメリアらしいのだけれど、この場ではちょっとまずいかもしれない。
「……いえ、喧嘩なんてしていませんよ。何故ですか?」
オノロンは落ち着いた口調でそう返す。口調こそ落ち着いているけれど、いつもより上げた口角がなんだか不自然だ。
「んー、なんか怒ってるのかなって。そんな感じがしたんだけど……。みんなは感じなかった?」
みんな気づいていてあえてそっとしておいたのに。クメリアは天然でこれをやってしまうから恐ろしい。この呼び掛けに、皆口を開かざるを得なくなる。
「……僕は特に感じなかったかな。」
エヴァンスの言葉に続けてウリムが小さく「……私も。」と呟く。いつの間にか、カチャカチャとした食器の音は聞こえなくなっていた。
「そっかぁ……。キーナは?」
張り詰めた空気の中、クメリアだけはいつも通りのテンションだ。こんな空気の中じゃ一言一句発することさえ恐ろしいと思うのに、今度は私に話を振ってきた。
「わ、私も何も感じなかったよ……!」
お願いクメリア。この答えで満足して、この地獄のような空気を終わらせて。
「じゃあ僕がおかしいのかなぁ……。イゾルカとアイルは?何か知ってたりする?」
そんな願いも虚しく、私が必死で絞り出した一言は、一意見として消化された。
「んーにゃ、俺は何にも知らないよー。何か気に触るようなことしちゃってたらごめんって感じだけど。」
アイルの何気なく放たれた覇気のない言葉に、一瞬オノロンの眉が動いた。普段だったらそこまで気にすることでもないだろうに、今は明らかな敵意をアイルに向けているのがこちらにも伝わってくる。
「え、ちょっとちょっと!何二人とも、喧嘩したの!?」
その様子を見ていたイゾルカも同じことを思ったらしい。思わず立ち上がって声を上げている。傍から見れば、この二人の間に何かがあったことは明白であり、今まさに喧嘩状態であることが伺える。私達が感じていた息苦しさは、この二人から感じるものだったのだ。
「喧嘩なんかしてないよ。そうだよな?オノロン。」
そう言いながら、いつもの薄ら笑いでオノロンの方を見るアイル。口ではそう言い顔には笑みを浮かべているが、その瞳に温度はなかった。そこには怒りもあるが、どちらかと言えば悲しみや苦しみが混じっているような瞳だった。
「……ええ。していませんよ。ご心配をかけてすいません。」
一拍遅れてオノロンが口を開く。オノロンもアイル同様笑ってはいるが、相変わらず敵意は剥き出しなのがこちらにも伝わってきた。まるで一方通行な怒り。
(まぁアイルの普段の素行を考えれば、オノロンが怒ることもあるだろうけど……。)
この居心地の悪さに多少の覚えはあったが、ここまで明らかに敵意を出すオノロンの姿なんて覚えている限りではなかったはずだ。オノロンは、何をそんなにアイルに腹を立てているのだろうか。
「喧嘩してないならまぁ……いいけど。どーせ、またアイルが余計なこと言ったんでしょ?悪いと思うならさっさと謝りなよね!」
そう言ってイゾルカは食器を持って立ち上がった。それに続いてウリムやエヴァンスも席を立つ。
「キーナ、僕達も行こう!」
クメリアは何一つ気にしていない様子で、私が席を立つのを待っている。周りを見ればいつの間にかオノロンとカルナスもいなくなっており、水を飲みながら遠くを眺めていたアイルだけが残されていた。
(ちゃんと仲直り出来るといいんだけど……。)
地獄のような空気の朝食は、こうしてお開きとなった。
クメリア視点
なんだか険悪な空気の中朝食を食べ終えて、空になった食器を片付けようとキッチンへと向かっている。隣を歩くキーナは顔が真っ青で、見ているだけでとても心配になる。朝食時の空気の悪さを察して、さっさと爆発させて元通りにしようと思ったのだが、どうやら失敗したらしい。キーナに余計な心労を与えてしまったと反省する。
「キーナ、大丈夫?顔色悪いけど……。」
キーナの助けを求めるような視線にも気づいていた。でもそれを言えばきっと彼女は怒るだろう。口を利いてくれなくなったりでもしたら大変だ。あくまでも何も知らないふりをして話しかける。
「え、あ……大丈夫。心配かけてごめんね。」
へらと笑った顔にはあまり元気がない。人一倍ストレスに弱い彼女の事だ。きっと今頃胃痛を感じているに違いない。
「キーナが謝ることじゃないよ!アイルもオノロンも何があったか知らないけど、早く仲直りして欲しいよね。」
「そ、そうだね……。」
まぁ彼女のテンションがこんな感じなのはいつもの事だ。きっとそのうち顔色も元に戻るだろう。
そうこうしていればキッチンに到着した。先に着いていたイゾルカがみんなの分の皿を洗い、ウリムとエヴァンスが洗い終えた皿を拭いて棚に閉まっている所だった。
「お、二人も持ってきてくれたんだ!ありがと!そこに置いておいて。」
イゾルカは僕達に気づくとそう声を掛けてきた。僕達は言われた通りに食器を置いた。そんな様子を見計らってか、エヴァンスが皿を片手に話し始める。
「そういえば、今日もやるんでしょ?扉探し。」
僕達は星を見た事がなかった。星という存在は知っているのに、その実物を見たことは無い。そもそも、僕達はこの研究所にずっと暮らしてはいるがここから外に出たことがなかった。その状況に疑問を抱き、どうせ暇なのだからと外への扉を探すことになったのだ。
もの探しの天才であるキーナを主導に地道に探し続けているが、なかなか見つからない。それだけしっかり隠されているなんて、外には一体何があるのだろう。
「うん!やるつもりだよ。みんなもやるでしょ?」
扉探しをするのはいつも僕ら子供達だ。案の定イゾルカやウリム、エヴァンスも首を縦に振っている。
「まだやってんのか?扉探し。暇だから俺らも混ぜろよ。」
後ろから声が聞こえ驚いて振り返れば、キッチンの入口にオノロンとカルナスが立っていた。
「珍しいね二人とも!一緒に扉探ししてくれるの?」
「あぁ。どうせ暇だしな。」
「私達もご一緒して大丈夫ですか?」
「もっちろん!いいよね?みんな!」
そう声をかければ皆首を縦に振る。これで僕達のパーティに頼もしい助っ人が加わった。
一瞬アイルのことが脳裏に浮かんだが、今朝の事もあるし普段から部屋に引きこもって寝ているから、考えるだけ無駄だと思った。そんなことを考えていれば食器もアイル以外のものは全て洗い終わったようで、皆がこちらへとやってくる。
「じゃ、早速出発しよっか!とりあえずお昼ご飯前には一旦終わりにするけどね!」
イゾルカの号令と共に、ぼくたちはぞろぞろとキッチンを後にした。
「結局、見つからなかったね。」
昼食のピザトーストを食べながら、エヴァンスがそう呟く。
あれから散々探し回ったが、今回も外への扉は見つからなかった。研究所と言うくらいなんだから、外への扉があってもいいはずなのに。
「変な構造だよね〜ほんと。」
イゾルカはそう言いながら、トーストの最後の一口を頬張った。
「ごめんみんな……。無駄な時間使わせちゃって……。」
キーナは扉が見つからないことが自分の責任だと感じているようで、朝よりも顔色が悪い。
「キーナのせいじゃないって!それに、まだ諦めたわけじゃないから、ね!」
イゾルカがすかさずキーナのフォローに入る。それすらもプレッシャーに感じるのか、どんどん背中が丸まっていった。
「まぁ扉はこの後引き続き探すとして……。アイルは?あいつなんでいねぇんだよ。」
そんな様子を見ながら、カルナスが口を挟む。そう言われてみれば、珍しくラウンジにはアイルの姿がなかった。
「あー……。あいつの部屋にお昼だよーって声掛けに行ったんだけど、返事なくてさ。寝てるんだか何だか知らないけど、返事ないならいいやって思って!」
実にイゾルカらしい判断だ。研究のペアだからこそなのだろうが、容赦がない。
「でも珍しいね。いつもイゾルカがお昼に呼びに行けば出てくるのに。」
エヴァンスも食べ終えたようで、会話に参加してくる。彼の言う通り。アイルはお昼の呼び掛けにはだいたい応じていたはずだ。
「ま、虫の居所でも悪いんでしょどーせ。」
そのうちお腹空いてひょっこり出てくるでしょ、と言って、イゾルカは早くも席を立った。それにつられるようにウリムとエヴァンスも立ち上がって後をついていく。キーナの食べ残しを喰らいながら僕も席を立てば、まだ机に座ったままのオノロンが見えた。
「オノロン、大丈夫?元気ないみたいだけど。」
どことなく、いつものオノロンより覇気がないように感じた。まるで何かに怯えているような、祈り縋っているような、そんな感じ。
「……ええ、大丈夫ですよ。そろそろ片付けて、探し物の続きをしないといけませんね。」
そう言って立ち上がり、スタスタと先に歩いていってしまった。残ったカルナスの方をちらと見れば、机の上には空になった皿一枚とお茶の入ったカップが置かれていた。
「あれ、珍しいねカルナス。今日お酒じゃないんだ。」
お昼だろうとなんだろうとお酒を飲んではオノロンに怒られていたのに、今日は珍しく紅茶を飲んでいたのだ。どういう風の吹き回しなのだろうかと首を傾げる。
「あ?あー……。まぁな。ちょっと気分転換っつーか。別になんでもいいだろ。」
さっさと動かねぇとみんな待たせちまうぞ、とだけ言って、カルナスも先へ行ってしまった。隣でまだ少し青い顔をしているキーナの手からようやく空になった皿を貰って、二人でキッチンへと向かった。
皿を片付け終えた、午後の探索時間。相変わらず、扉が見つかる様子は無い。
そもそも、キーナは失くしたものや見つからないものを見つけ出すのが得意なのであって、扉を探し出すのは専門外なのではないかと思った。本人も「多分違うと思うんだけど……。」と言いつつ、なんだかんだ頼られてしまった手前断れない。存在しているかどうかもわからない扉を、使用用途の違う力で探し続けるのはだいぶ無理があると思った。
各々が好き勝手色んな話をしながら、地下の廊下を歩いている。次はシミュレーションルームに向かおうかとしている所で、キーナが歩みを止めた。
「キーナ?どうしたの?」
話しかけてもいつものように返事を返さない。一体どうしたのだろうと様子を伺っていれば、皆も異変に気づき足を止めた。その間にもキーナは何も無い壁の方を見つめ続けている。
「キーナ、どうしたの?そこ壁だよ?」
「探しすぎて頭おかしくなったんじゃねえの?」
「二人とも、お静かに。キーナが集中しているようなので。」
イゾルカ達も不思議がって声を上げる中、キーナは壁に手を這わせ始めた。不思議そうな顔をしながら指先で壁をなぞり、掌で何かに触れるようにそっと手を置いた。その時だった。
「……見つけた。」
「え?見つけた?見つけたって何を?」
奇怪な行動を終えると突然見つけたと呟いた。皆状況が呑み込めず混乱する。
「あ、えっと……。と、扉。見つけた、かも。」
「えぇ!?扉って、まさか外への扉ってこと!?」
イゾルカの声が廊下に響く。
専門外だと思っていたが、まさか扉を見つけてしまうなんて。キーナの探索能力は恐るべきものだと思った。
「あ、いや……多分そうなのかなってだけで……!ここ、ここになにかあるから……!」
そう言って、一見何の変哲もない壁を指指す。「ちょっといい?」と、ウリムがその壁へ触れた。
「百十……いや百二十……?百二十と、百……。」
どうやら指先の感覚だけで、壁に埋め込まれているらしいもののサイズを予測しているようだ。予測した数値を元に、手元にあった紙に大体の大きさを書き込んでいる。それを後ろから見ていたカルナスが一言。
「……カードリーダー。」
と言い放った。
「カードリーダー?」
「あぁ。その形状とサイズ感なら間違いねぇ。カードリーダーだ。ほら、俺達の部屋とか研究室の入口に付いてんだろ?」
言われてみれば確かにそうだ。その形状はカードリーダーと一致する。でも数値と大まかな見た目だけでカードリーダーを言い当てられるのはカルナスくらいだろう。
「カードリーダー……ってことは、ここにカード当てたら開くってこと!?」
そう言いながらウキウキで自身のカードを当てるイゾルカ。オノロンの「ちょっと待ってくださいイゾルカ!」という制止の声よりも早く、カードリーダーに触れた。しかし、何か音が鳴る様子もなければ、壁が変化する様子もない。
「……私のカードじゃ開かないみたい。皆も試してよ!」
そう言いながら、一人一人をカードリーダーの前へと促した。
「……僕もダメみたい。」
「……私も。」
エヴァンスとウリムは不発。その後も、
「ダメですね。」
「俺のもダメだな。」
オノロン、カルナス共に不発。そして、最後は僕達の番になった。
キーナが、恐る恐る自身のカードをリーダーにあてがった。音は鳴らず、変化もない。不発だ。その様子を横目に、もし自分のカードで開いてしまったらと思うと胸が高鳴った。恐る恐る近づける。
結果から言えば、僕達全員が不発だった。この場にいないアイルを除いて。
「あーあ、残念。誰のカードでも鳴らないから、僕ので開くんじゃないかってドキドキしちゃったよ。」
「まぁそういうこともあるよ!ドンマイドンマイ!」
イゾルカに励まされつつ、次の手を考える。
せっかくここにカードリーダーが埋まっていることを特定したのだ。この機会を逃すわけにはいかない。
次に白羽の矢が立ったのは、今この場にいないアイルのカードだった。僕達のカードを全て試してもダメなら、まだ試していないアイルのカードを使うしかない。
「もしそれでも開かなかったら……どうするの……?」
キーナは少し不安そうにそう尋ねる。
「もしかすると僕らのカードじゃなくて、ここを開ける専用のカードキーがあるのかもしれないしね。」
エヴァンスが呟く。確かにそれも一理ある。もしそうだった場合、今度はそのカードキーを探さなければいけない。
「だ、大丈夫……!捜し物なら、得意だから……!それに、カードキーなら物だから、扉よりは見つけやすいはず……!」
まだあるとも確定していない新たなカードキーの存在に、珍しくキーナが興奮気味にそう返した。
ああでもないこうでもないと口々に話し合っていれば、イゾルカが
「よし!とりあえず、私アイル呼んでくるね!」
と勢いよく立ち上がり、階段を駆け上がって行った。
とりあえずこの場にいないアイルを連れてきて、カードリーダーに触れさせるのが最優先事項だろう。イゾルカの判断は正しい。
傍らで、オノロンとカルナスが声を潜めて話をしていた。
「カルナス……本当に大丈夫なんでしょうか。」
「大丈夫だって。俺たちのカードで開かねぇんなら、あいつのだって開きはしねぇよ。」
「でも、もし開いてしまったら……?アイルのカードですよ、何が起きてもおかしくありません……!」
「それはそうかもしれねぇけど、起きてねぇことでいちいち騒ぐな!……そん時はそん時だ、いいな?」
「わ、わかりました……。」
一体、オノロンは何をそんなに怖がっているんだろう。扉についてもアイルについても、オノロンはなんだかずっと怖がってばかりに見えた。扉が開くかもしれないなんて、聞いただけでワクワクが止まらないのに。アイルだって喧嘩をしているかもしれないけれど、極悪人ってわけじゃない。何をそこまで神経質になることがあるのだろうか。
そんなことを考えていれば、上から二人分、足音が聞こえてくる。イゾルカがアイルを連れてきたのだ。その足音が近づく度に、僕の鼓動が早くなるのを感じた。
きっと、楽しいことが起こるに違いない。僕は、そう信じていた。
イゾルカ視点
みんなの元を離れ、階段を一段ずつ上へ、上へと上っていく。先程まで聞こえていたざわざわとした声も、一歩歩みを進める事に薄れ、やがて聞こえなくなった。階段を上がりきり静かな渡り廊下を渡って、私達の居住スペース、もといラウンジへと到着する。そのままアイルの部屋の前まで向かい、きっちりノックを三回してみせた。
「アイル〜、いる?」
「いるよ。何?」
いつもよりも幾分か早い返事に少し驚きつつ、要件を話す。
「今、外への扉を見つけたの!そこにカードリーダーがあるんだけど、誰のカードでも開かなくて……。」
「へぇ。そりゃ面白いじゃん。」
「でしょ!んで、まだ試してないのアイルだけだから、カード持って来てよ!」
そう言えば中から「ちょっと待ってて。カード……あれ?どこだっけ?」なんて相変わらず間の抜けた声が聞こえてくる。そのまま少し待っていればドアが開き「よ、おまたせ。」と言ってアイルが出てきた。
「もー遅い!ほら、さっさと行くよ!!」
「そう怒んなって。じゃ、早速案内してくれよ。」
人を待たせておいてこの態度だ。そりゃオノロンが機嫌を悪くするのも仕方がないと思った。言いたいことはまだまだあったが、みんなを待たせるのも忍びない。とりあえず地下へと足を向けた。
「それでね、キーナが突然壁を触り始めて、『……あった!』って言うんだよ!」
「へー。流石もの探しの天才だな。」
「そうでしょ!んでウリムが触ってサイズを目算で出して、それを聞いてたカルナスがカードリーダーだって言ったの!」
「すごいじゃん。みんな大活躍じゃんね。」
「そうなんだよ〜!ほんと、アイルもいれば良かったのに。勿体ない。」
「本当だな。その場で特に何も出来ずに、展開の早さに目を丸くするイゾルカが見れなくて残念だ。」
「は!?ちょっとどういうこと!?」
そんなくだらないことを織り交ぜながら、今までにあったことを簡単に話す。階段を一段、また一段と降りる度に、鼓動が高鳴るのを感じた。ようやく最後の一段を降りきったところで、みんなに声をかける。
「みんなー!アイル連れてきたよ!」
そう言うと、皆が一斉にこちらを向いた。その様子がなんだかおかしい。皆の視線の先は私ではなく、私の後ろ──アイルに注がれている。皆アイルのことを目を見開いて凝視し、硬直している。この時の皆の瞳には、一体何が映っていたのだろう。
「イゾルカ、後ろっ!!!」
オノロンが焦りと恐怖を交えた瞳でこちらを捉えた。彼から発された声は、最早絶叫に近かったように感じる。
「……え?」
後ろを振り返ろうとした。刹那。
右腕の違和感。皆の見開かれた瞳。染まっていく視界。青、蒼、碧。
これは、何?
✕✕✕✕ 記録終了
了




