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第1話 「先に言ってよ!そういうことは!」

「ねえ、あなたうちで働かない?」


そう、彼女のこの一言で僕の人生は変わってしまったのだ。


(返事はNoだNo!!絶対ノー!!)


そんな彼の叫びとは裏腹に記憶の中の自分はYESの返事をする。


(おいっ!そんな簡単に返事をするな!即答できるような質問じゃないだろ!お前の今後を!将来を左右することなんだぞ!もっと真剣に考えろ!)


と今更どうにもならないけれど、しかし過去の自分にどうしても言いたかった本音をぶちまける。ああ、もしも過去に戻れるとしたら、あるいは過去の自分に助言ができるのだとしたら、絶対にこの場面(シーン)ではNoを選択するべきだと伝えるのに。YESを選択した場合の最悪ともいえる未来を細部まで語ってやるのに。まあ、過去の選択があって今がある、あの場面(シーン)でYESを選択したから今の自分があるわけだから、一概に全てが悪かったとは言いきれないけれど。でもNoを選択するべきだったような気がするわけですよ。まあ、Noを選択していたらどうなっていたかは分からないけれど。




そんなことを考えながら過去の回想に浸っていると、バサバサッという音と共に突如頭に衝撃が走り、一瞬のうちに現実へと意識が引き戻される。どうやら、書類仕事をしているうちにうたた寝をしてしまっていたらしい。先程までは無かった机の両脇に積まれた書類や資料の山を見ながら、先程の衝撃はこれが崩れたものだったのかと考える。



「おー、起きたか そんじゃ、どんどん片付けてくれ?

溜まってるぞー」


銀の長髪をもつ長身の青年、おそらく書類の山を生成したであろう彼の左目は長い前髪に完全に覆われていて、感情を読むことはできない。しかし彼の緑色の右目と口元からニンマリとしたイタズラっ子のような表情がみて取れた。


「おまえが積んだんだろ はあ、こうなる前に起こしてくれても良かったんだけど?」


(わっち)は起こそうとしたさね!でもコイツが寝かせとけって言うから」


と、僕の文句を聞いたであろう、桃色のツインテールの小柄な少女が慌てて口を出す。


「いやいや この後の事を考えたらちょっとでも寝といた方がいいだろ?式の途中で睡魔に襲われたらどうするよ?」


「仕事が溜まっても?」


「仕事が溜まっても。それにそろそろアイツらが帰って来る頃だろ?そうなったら眠いとか言ってられないんじゃない?」


そうなのだ。実はあと数時間後には、僕が学園長を務める魔法学校の入学式が執り行われる予定となっている。ちなみに僕は学園長に立候補などしていない。成り行きというかなんというか…まあ、そんな感じである。

それにしても、そんな大事なイベントの前に普通に仕事をしていてもいいのだろうか。普通はもっとこう、式次第を確認したりするものなのでは…と毎年思うのだが、いかんせん仕事が終わらないので、今年も時間ギリギリまで山積みの書類と戦うことになりそうである。


「ちなみに 隊長共はもうスタンバってるから」


と先程と同様のニマニマした表情を浮かべながら、青年は楽しそうに言う。


「先に言ってよ!そういうことは!」


まさか学園の(トップ)が1番最後とか、ありえない。

ましてや居眠りなどしている場合ではない。慌てて身なりを整えて部屋を出ていこうとすると、ドアの外から軽快な足音が聞こえてくる。

ああ、アイツらが帰ってきたのか。


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