第9話 王都防衛戦⑤
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「それでは準備が整うまで本日の模擬戦闘について簡単に解説をさせていただきます。なお、本日の模擬戦闘の解説は私、シュウ・レイスがさせていただきます。よろしくお願いいたします。」
「それではまずあちらをご覧ください。」
僕が観客席の上を指すと、天井から直方体のモニターが現れ、真っ白な空間が映し出された。
「本日はこちらのモニターで観戦していただきます。本日は模擬戦闘ですので、シミュレータを使用した仮想空間での戦闘となります。シミュレータというのは、簡単に説明すると、実際の風景や景色、天候などを投影する機械のことです。シミュレータを使用するには専用のシミュレーションルームを使わなくてはなりません。」
そう言いながら観客を見渡すと、僕の説明で理解してくれたのか目を輝かせている者、何となくは理解していそうな者、理解が追いついておらずフリーズしている者と様々だ。まあ、説明を聞くより実際に見た方が分かりやすいだろう。
「この学園の地下にもシミュレーションルームがありますので、皆さんも授業で使う機会があるかもしれません。本日はそんなシミュレーションルームでシミュレータを使用した仮想空間での戦闘となります。」
ここまで話し終わるとモニターに写し出されていた真っ白な空間が、王都の景色に切り替わった。ルカがシミュレータを操作して風景設定を切り替えたのだろう。
「本日は王都での戦闘を想定して、王都全域の風景を投影しております。実際の王都では戦闘は行われておりませんのでご安心ください。」
まあ、王都の外ではそれなりに戦闘が起こっているんだけど。もし彼らの防衛に穴があった場合は現在王都内で戦闘が起きている可能性もある。でもそんな連絡は来てないから多分大丈夫だろう。
「本日はシミュレータ操作をルカ、戦闘指揮をカイルに担当していただき、2名を除いた5名に戦闘を行っていただきます。」
『全員配置に着いた。準備完了だ。』
今日の人員配置の説明が丁度終わった頃、カイルから連絡が入った。時間的にもそろそろだ。
『了解。』
『カゲツこっちは準備OKだ。そっちはどう?』
『こっちもいつでもいけるで』
『了解。それじゃカウント10でよろしく』
『了解』
『カイル、カウント10で来るよ。準備よろしく』
『了解』
仲間内での短い会話を終えるとそれぞれに緊張感が高まる。何しろこれは本当の戦闘なのだから。戦闘訓練ならば、致命傷となる傷を負っても現実に反映されることはない。しかし、今日の戦闘に限ってはこの空間で受けた傷は現実のものとなる。緊張するのも無理はない。
「それでは準備が整いましたので、これより模擬戦闘を行います。敵の投影まで5、4…」
僕の言葉で会場に緊張が走る。もっともこちらの緊張は彼らとは違い、楽しみ、わくわく感といった高揚感のあるものばかりに見える。
「3!」
「2!」
「1!」
『転送魔法陣、起動!』
「戦闘開始!」




