未知との遭遇
薬草が取れるという森までやってきた。薬草なんてなくても神の奇跡を使えばどんなケガだってすぐ直るのに。下界の人たちはそんな事も知らないのか。
「この草が エイル草です。 この薬草は汎用性が高く 更にわりとどこにでも生えています。 最良の医者と呼ばれるぐらい市民にとってなじみの深いものです。 さあ 早く集めてください。」とヴァルが説明すし、催促する。
「よく知っているなそんなこと 俺は戦い以外のことはよく知らないからな。 ヴァルがいてくれて本当に助かるよ。 ありがとう。」と素直に口にする。
「な 何もそんなに感謝しなくても」
「いや 本当に助かっている。 ヴァルさえよければこのまま俺と一緒に冒険してほしいくらいだ。」
「そ そこまで言うならやぶさかではないですけど。」
「本当か 助かるよ。ヴァルは本当に良い奴だな。 将来いいお嫁さんになるに違いない。」
「うう ケイル様は真っ直ぐすぎます。 これは穢れを知らない人特有のモノなんですか。」とヴァルは一人首をかしげている。
「よし この辺はあらかた採取したな。 おい ヴァル これで十分か?」
「な いつの間に さすが騎士ですね。 はい 十分足りると思われます。 それでは帰還しましょうか。」とヴァルが言ったのと同時に草むらから何かが飛び出してきた。
「あ あれは ワイルドボア!? 森の深いところに生息しているのに どうしてこんなに街に近いところに。」とヴァルが驚いている。
「あいつはそんなに強い奴なのか?」と抜剣しながら聞く。
「ランクはシルバーです。 分かりやすく言うと中堅冒険者が相手にするようなモンスターです。」
「了解した。 俺に任せろ。」とモンスターに切りかかる。なんて固い毛皮だ。俺の剣が通らない。
「ワイルドボアは首が毛皮が薄く弱点です! そこを狙ってください!!」と助言が飛んでくるが
「そんなこと言ったって こいつ守りが硬くて 首なんて狙えないぞ いや 待てよ ヴァル!! 敵の気を一瞬だけ引き付けてくれ!!」
「わかりました。 これでも食らいなさい。」と瓶を投げ、それがモンスターの顔に当たる。モンスターは怒り狂ってヴァルのほうを向いた。その隙を逃すはずもなく、魔法を放つ。
「敵を切り刻め 光よ敵を切り裂け!!」と俺が放った魔法は見事 モンスターの首に吸い込まれ、首を切り落とした。
「よーし 危なかったが何とかなったな。 早くこいつを埋葬して帰ろう。」とヴァルに言う。
「何言ってるんですか。 このモンスターは素材として売るんですよ。 じゃないと薬草採取だけの報酬で今日は過ごさなければならないですよ。」
「え 本当? 生き物は埋葬して天に送るのが普通じゃないのか。 さすが下界だな。」とヴァルを見るともうすでにモンスターの解体作業を始めていた。一応聖職者だよね彼女。下界に慣れすぎじゃない?
「ほら ケイル様も手伝ってください。 早くしないと日が暮れますよ。」
「ああ 分かった。しかし 俺 生き物の解体なんかしたことないぞ。」これが下界か。大人になっても発見があることはうれしいことだな。