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単純明快な理由

「あああああ」


「お前それ辛くないのか?」


「無限の地獄に比べればなんのその」


火で物理的な殴打を防ごうって訳か。あの水は転生者のオーバーテクノロジーで作られた新しい化学物質かなんかだろう。能力で作られた物の可能性も捨てきれない。得体がしれない故、触れるのは得策ではない。


だが戦闘における未知とは最高だ。


ここで引けば俺が闘いを求める意味は無くなる。


だから!燃えるとか!関係ないね!


マイケルは助走をつけ殴る。


ドオン!


カロッ


「もう効かないぜ」


「!?」


シロの腹部に俺の腕が埋まっている。明らかに俺は腕を貫通させたはずだ。


コイツもしかして死ぬ事で回復しているのか?


先程の妙に速かった立ち直り。あれは自然治癒による回復なんかじゃなく、一度、死亡によって引き起こされた現象!


つまり今、燃焼され常に酸素不足のコイツは今も尚、死んでいる状態なのか!!!


死んでいるゆえに無敵!


俺がシロに勝つために今しなければならないのは火の消化による蘇生!!!


マイケルの考えは概ね合っている。しかしシロの身体は酸素不足(一酸化炭素中毒)で死んでいる訳では無く、重度の火傷による臓器不全で死亡を繰り返している。炎による酸素不足は口の中にある酸素魔石(さんそませき)によって解消されているので問題は無い。


マイケルの手が焼ける。そんなこたぁどうだっていい。


俺は不死身との死闘を全力で楽しみたい。


川!この付近に川があったはずだ。そこに誘導させよう。


ここまで用意をしてあるんだから俺を逃がすつもりは無いだろう。ここは一旦攻撃を入れつつ川の近くまで退避しよう。


カロリ


「逃げるな!」


シロはマイケル目掛け殴る。


「うおっ!」


マイケルは防御をする。


先程のシロとは動きが違う。死なないから闘争本能のリミッターが外されてるのか!なんなら疲労もリセットによって回復している!強い!防御に徹するのが正解!



エズキツ=シロ、やはり面白い!!!!!




カロッ


「浅瀬に来て何する気なんだ?火傷でも治すのか?」


「熱いだろ!?頭冷やせよ!エズキツ!!!」


ブゥん!


脚で水のカーテンが作られる。


それらの水はシロにかかった。消火しそうに見えたが火の勢いは増すばかりだ。


「な!?火がさらに激しくなった!?」


水をかけると余計に延焼するのかよ!この燃える水はァ!?


カロッ


「ガソリンはこういう性質を持ってるのだよマイケル」


?さっきから何かの音がする。アイツ戦闘中に飴でも舐めているのか?


カロリ、カロリ、コトコトコトコト


なんの音だ?聞いた事がある。魔族学校の魔科(魔法科学授業)の実験で聞いた事があるような。



酸素魔石か?



コイツ酸素不足で死んでいた訳では無いのか!!!つまり逆説的に考えれば酸素魔石さえ取り除けばコイツは生き返る!


マイケルは即座に石を投げつけ、シロの口元を半壊させた。


酸素魔石は口からこぼれ、シロの身体をまとっていた火によって燃焼された。


「タネをみやふられたか」


今度こそシロは酸素不足により死んだ。残された焼死体からは復活しない。


「死んだわけじゃないよな?どこかに移動したのだろう」




念のため自分の身体を切除しといてよかったな。


シロは切除した腕と共に置いておいたスペアの服を着ながら、次の戦闘に備え準備を始めた。


「今月の出費、すごいことになりそうだな。スペアの服、酸素魔石、ガソリン」


「うーん。考えないようにしよう」




マイケルはシロを探すために森を歩いている。


「あれは腕?」


あそこに置いてある腕は恐らくブラフ。近づけば木の上、又は背後からの急襲が予想されるだろう。


石を数個手に持ち上に投げ、背後を向き反撃をする。


しかし、背後にも頭上にもいない。


木の影に隠れていたシロが現れる。そして拳がマイケルのみぞおちに入る。


ブラフを重ねやっとマトモに入った攻撃。ここから次に繋げなくては。


しかしマイケルの顔は全く変わらない。


「残念」


拳は硬い筋肉によって止められていた。筋力強化これがマイケルの能力。


「俺、さっき何を上に投げたっけ?」


シロは上を向き確認をする。先程投げた石が落下によって落ちてきている。


「っ!」


その場から逃げようとするシロを屈強な腕で引き留める。


「おい、どこに逃げようってんだ?」


「あ゛」


ブラフの腕は近すぎる。復活しても意味が無い。


勢いを増す拳がスローに見える。これは流石に無理だ。



終わった。



突如、上空から可愛らしい声がする。


「ちょーい!ちょいちょい!」


「君たちなーにやってんの!!!」


黒い羽をパタパタとしている男兼女がやってきた。


「リト、俺は死闘を楽しんでたんだ」


拳を寸止めしているマイケルはドヤ顔で話す。


「嫌々!なんで戦ってるの!有事なんだよ!」


「?」


シロは何が起きているのかさっぱり理解できていない。


「あーもう!筋肉が絡むとこうなる!ややこしい!」


「神導者に嵌められたの!」


「シンドウシャ?」


「そう!だからシロは地獄に落とされたの!」


「は?え?なんで?だって」


「やむを得ない状況があったんだよ。だから僕が君の血を吸って復活させたの!」


「あ」


リンゴと男が謎に持っていた服。要素が繋がる。


「分かった!?」


「嫌、急に言われてもその」


シロは困惑する。


「じゃ、じゃあなんでコイツは俺を殺しに来たの?」


シロとリトはニコニコしてるマイケルに目を向ける。


「闘いたかったから!」

こいつ~!!!

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