マリーゴールドの妖精
羽無し妖精クロロは、妖精王になりました。
妖精王の勉強をしながら妖精界を浄化する日々です。
今日は仲良くなった人間3兄弟のひな、あき、きよと遊んでいます。
いつものようにかけっこしていると、遠くから声が聞こえます。
「妖精王、助けてください」
「大変なんです」
ひなが振り向いて妖精王に教えます。
「オレンジ色の妖精さんが、困っているみたい」
「ん?オレンジ色の妖精?誰だろう」
クロロが振り返ると、そこにオレンジ色の羽をした小さな小さな妖精がいました。
「妖精王とお見受けします。
このたび、マリーゴールド妖精になりましたマリーと申します。
どうぞ助けてください」
「どうしたの?」
「土魔法で土を元気にしようとしたんですが、うまくいかないんです。このままだとマリーゴールドの花たちが枯れてしまいます」
「それは困ったね」クロロが悲しそうです。
「枯れちゃうとか、それは大変だ」あきも言います。
土を元気にして花たちを助けなくてはと
妖精王クロロと3兄弟は、マリーと一緒に
マリーゴールドの花がさく場所に移動します。
枯れかけているマリーゴールドの花を見て
「お花が消えちゃうの?」きよは悲しそうです。
「土魔法で元気になるんだよね?」あきがクロロを見上げます。
「土魔法って何?」ひながクロロに聞きます。
「土に住む妖精たちに協力を頼む魔法のことだよ」
それを聞いたマリーがハッとして
「協力が必要と知らず、頼んでいませんでした・・」
「どういうこと?」
「土に栄養を!と、この魔法の杖をふっただけです」
しょんぼりするマリーです。
「なるほど言葉が足りていないのかも」
「土の中の妖精さんたちが呪文に気づいていない可能性があるね」ひなが言います。
「呪文が間違っているとうまくいかないんだね」きよが呟きます。
「妖精王、正しい呪文を教えてください」マリーが聞きます。
うんと頷きながらクロロが、マリーに教えます。
マリーは頷きながら「では、やってみます」と
魔法の杖を出し、土に向かって
教えてもらった呪文を唱えます。
「土妖精さん、土妖精さん、この土に栄養を与え給え」
すると魔法の杖の先にある土が光ります。
カサカサだった土がみるみるうちにしっとり元気な黒い土に変身します。
「わぁ〜土が輝いているよ」
「マリーゴールドの花が元気になった」
「新しい芽が出てきた」
花も輝き出し緑の葉っぱもツヤツヤになっていきます。
「これで良いかな?」土の中から茶色い小さな妖精が顔を出します。
「協力ありがとう。助かったよ」クロロが言います。
「どうもありがとうございます。助かりました」
マリーが妖精王と土妖精、そして3兄弟に笑顔で頭を下げています。
オレンジ色に輝くマリーゴールドの花たちも、風に揺られて笑っているみたいです。
妖精王と3兄弟も「良かったね!」と、笑顔満開です。
土妖精もにっこり笑顔で手を振りながら、
「わしはもう一眠りするよ」と土に戻りました。
「良かったら、マリーも一緒に遊ぼうよ」クロロが言います。
「はい、遊びましょう」
「遊ぼう!」
「わ〜い」
「お〜」
みんなの笑い声が響く妖精界では、オレンジ色のマリーゴールドの花が満開です。