01-10-11 趙十 戦国四君 平原君
長平の敗戦ののち、大ピンチに陥る趙。ここで立ち上がったのが平原君。孝成王の叔父にあたる。数千人の食客を養い、その中には屁理屈を得意とする諸子百家「名家」の「公孫龍」もいた。
平原君、楚よりの助力を得るため同行者を募ったところ、「毛遂」が名乗りを上げる。これまで食客の中でも目立たなかった存在であったため、他の食客はやや馬鹿にした風であった。平原君ですら「異才は麻袋に入っていても錐が袋を貫くように飛び出してくるものだが、あなたが目立ったことはないように思える」という始末。すると毛遂、「なんなら麻袋から飛び出してみせますぞ」とまで豪語する。
楚の孝烈王の元に出向いた平原君。交渉は難航する。すると毛遂が飛び出し、孝烈王の目の前に。突然の無礼に孝烈王は激怒するのだが、「いまなら私でも王を殺せます、楚の大軍すら役に立ちませぬぞ」と言い切った上、「楚とて白起に三度の苦杯を飲まされておりましょう。この同盟は趙のためではなく、楚のためのものなのです」と説く。
もっともだ、と納得した孝烈王、同盟の誓いを、毛遂を立会人とし、平原君との間に結ぶ。誓いの儀式が執り行われたのち、毛遂は他の食客らに向けて「お前たちはそこいらに転がっている石ころか!」と叱咤した。
そして、趙・魏・楚の連合軍は見事に秦軍の撃退を果たしたわけだ。
蒙求:
趙勝謝躄 楚莊絕纓
平原君は賓客を尊んでいたのだが、その中にびっこを引く者がいた。平原君の側妾のひとりが彼を見て笑う。びっこの男は平原君に「あなたは賓客を尊び側妾を卑しむと聞いた。ならばあの女の首を落とせ」という。平原君、笑いながら適当に返事をする。するとしばらくして平原君のもとから賓客がひとり、またひとりと立ち去った。「あなたが賓客を卑しみ側妾を尊ぶのがわかったからだ」と例のびっこの男が指摘。そこで平原君、側妾の首を落とし、びっこの男に謝罪した。すると再び賓客が平原君のもとに集まるようになった。
楚の荘王が酒宴を開いたとき、ふと明かりが消えたという。このとき闇に乗じ、ひとりの士大夫が荘王の側妾のひとりをかどわかそうとするも、側妾は抵抗、男の冠の紐を引きちぎった。そして荘王に「明かりを早くともし、冠の紐が切れた男を捜し出してください。そいつが私に狼藉を働いたのです」と訴え出る。しかし荘王は言う。「酒の席でたがが外れてしまったのは私の責でもある。ならばそれで士大夫に恥をかかせるわけにはゆかぬ」と、みなに冠の紐を引きちぎるよう命じた。後日側妾に紐をちぎられた者は荘王のために奮迅の働きを示したという。
う、うーん、これが美談っぽく語られるのはさすがというしかないですわね……。




