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ブサメンと吸血鬼

 魔王の配下の四天王は個々の能力では魔王を凌ぐと言われているが、リッチなど能力よりは政治的手腕や商才などを買われて四天王入りする者も少なくないらしい。 現に、リッチは昔は強大な魔力の持ち主だったがヨボヨボになった後は俺にやられるぐらいには弱体化していた。 今回のヴァンパイアもリッチに次ぐ四天王古参の一人らしく、力は弱まっているだろう、それに今回はパーティも組んでいるので負ける要素が見当たらない。 そう思いながらヴァンパイアの住む洞窟へと足を踏み入れていた。


「滅茶苦茶暗いな、松明が無かったら何も見えないし足元もコケやらなんやらでめっちゃ滑る、気を付けろよ?」


「もう遅いですよ、何回も転んで身体中ヌメヌメでもう帰りたい……」


「ワイもこんなカビ臭い場所嫌や! はよヴァンパイア倒して帰りたい!」


 バニー衣装のシズは何回も転んでいるので服もタイツもボロボロでモンスターと戦った後みたいになっていて、ラヴやんはと言うと単純に真っ暗な洞窟が退屈で文句を言っている。 こいつ等戦いを何だと思ってるんだ、まともな装備を整えろよ。 ちゃんと装備を整えるように渡した金は何処に行ったんだマジで、そんな事を思っていると洞窟の中には不釣り合いな洋館の入り口が現れる。


「見てください、家ですよ! ここでお風呂をお借りしましょう!」


「面白そうな屋敷やないかい! チーギュウ、早速屋敷を探検や!」


「いや、どうみても敵の家だろ。 もしや、ここがヴァンパイアの住処か? 入るには入るが気を引き締めてかかれよ?」


 気乗りはしなかったが俺は屋敷の玄関にある呼び鈴を鳴らすと、すぐに使いの者らしき化け物のような外見の男が扉を開ける。


「おやぁ、こんなところに人間の皆さんがいらっしゃるとは久々だぁ。 オラはブラウニーのブラちんでございます、我が主は今はお休み中ですので夜まで待ってくだせぇ。 さぁさぁ、中にお入りくださいまし。 我が主には客人は丁重にもてなせと言われていますので、どうぞ遠慮なく。」


 まるで人間の貴族のような計らいに拍子抜けするも、検知魔法では特に罠も無いと判明したので、怪しいブラウニーの誘いに乗って屋敷の中に入る。


「旦那様、お嬢様方、長旅でお疲れでしょうから今からお風呂の準備をしますので良かったらお入りください。」


「こんなにもてなしてもらってなんだが、俺は四天王の一人であるヴァンパイアをたお……」


「チーギュウ様、私もラヴやん様もお風呂入りたいので、その後でゆっくり話しましょう!」


「せやで、洞窟の中はカビ臭いしジメジメしとるわでホンマ疲れたから風呂でも入ってさっぱりしようや?」


 ここまでの道中で疲れたシズとラヴやんに口を塞がれて何も言えなくなった俺は首を縦に振るしかなかった。 風呂が沸くとすぐに浴場に通されるが、実家の風呂より大きな風呂で洞窟を利用した天然の岩風呂でどうやら温泉らしくほんのり濁っている。


「こりゃぁ、中々いい風呂だな! わざわざ洞窟に家を建てた理由はここにあったのか、久しぶりにゆっくり浸かって英気を養うとするかな……」


 俺は身体を流して、湯船に浸かると久しぶりの温泉にゆったりとくつろいで、これまでの事を思い出していた。 思えば王族の遠縁である俺の家、クッテソー家は代々王宮魔術師の家系でそんな家から百年に一人の魔法の逸材とブサイクな顔を持って生まれたわけだが、ある日魔族が王国に攻め入ってきて魔族の圧倒的な力によって王国が滅ぼされようとしていた時に魔族の長である魔王を討伐するために一族の代表として勇者パーティに参加させられたんだよなぁ…… 親父には「お前が一番強いし頼りになるし生きてたらワシの跡取りにしてやるんだけどなぁ、顔がなぁ、嫁さんも貰えそうにないしだったら人類の為に戦ってくれ! 幸い、ワシの才能とイケメンの遺伝子はお前の弟や妹に受け継がれてるから心配いらんぞ!」とか言われたけど妹や弟は元気にしてるだろうか、そうそう今俺の横でシャンプーハットを被ってる金髪ロリ幼女ぐらいの背格好だったなぁ。 ん?こんなところにロリ幼女がいるのは明らかにおかしいだろ、俺は我に返るとロリ幼女の方を見るが幻覚ではなく確かに存在している。


「ちょっと、アヒルさんが流れてしまったから取ってきてよ。 童貞。」


「どどど、童貞ちゃうわ! ていうかなんで男が入ってるのに女児が入ってきてるんだよ、ほらよ!」


「ありがとう童貞、褒美として我が髪の毛を洗う事を許可する。」


「オメーが一人で洗えねぇだけだろ、メスガキが! 洗ってやるから湯船から上がるぞ!」


「別に一人で洗えないわけではない、目に泡が入るから嫌なだけよ。」


 実家の妹も生意気なメスガキだったなぁと思いながら、メスガキを抱えながら湯船から上がると洗い場に座って生意気なメスガキに制裁を加えてやることにした。 まずは特殊な薬品を頭からぶっかけて泡立たせたところを指を使って頭皮や髪に適度な刺激を与えてやる。 必死に目をつぶって耐えているようだが、生ぬるいお湯を頭からぶっかけて髪の毛の汚れを落とした後に白濁した薬液を髪全体に塗った後にお湯でゆすいでツヤツヤにしてやる、ざまぁみろキューティクルが復活して可愛さが増してやがる。


「中々いい手際じゃない、童貞にしてはやるわね。 これからは洗髪専用の下僕として雇ってやってもいいわよ。」


「だから童貞じゃないって言ってるだろ、このメスガキが分からせてやろうか?」


 変なメスガキの介護をしていると誰かが浴場に入ってくる。 やばい、シズとラヴやんだ! こんなところで幼女と混浴しているのがバレたら人生が終わる、そう思った俺は透明化の魔法をかけて様子をうかがい、隙を見て逃げ出す事にした。


「ここが大浴場か、中々ええ風呂やんけ! 本当の姿だったら絶対湿気るけど、この身体なら問題ないやで!」


「あれ、チーギュウ様のお召し物があったはずですが居ませんねぇ? せっかくお背中でもお流ししようと思ったのに残念です……」


 クソぉ! あのまま待っていたら背中を流してもらえたのに…… いや、でもよく考えたら童貞だからいくらタオル越しとはいえ、お風呂で女性に背中を流されたら股間のドラゴンが制御不能になってしまうのではないか? それに先に幼女とお風呂に入っていたのを目撃されたら絶対問い詰められてるから俺は間違っていない、やっぱり俺はクレバーだな!


「ちょっと、さっきから童貞探してるみたいだけどアイツ今透明化で風呂覗いてるわよ?」


「えっ!? いくらタオルを巻いてるとはいえ隠れて見られるなんて残念です…… まぁ、チーギュウ様にならそういうプレイだと思って見られてると思うと興奮しますけどね。」


「ワイのこのタオル姿を盗撮するとか見下げた男やんけ! 男なら風呂場でタオル姿のおなごを前にしたら『そのタオル、外したまま俺の広背筋を磨いてくれないか?』ぐらい言えや! そんなだから未だに童貞なんじゃい!」


「おい! 流石に言い過ぎだぞお前ら! それ以上言われたら俺はいい歳こいて泣くぞ!」


「やっぱおるやんけ! オラッ、罰としてワイの背中を洗わんかいボケェ!」


「いいですね、私もチーギュウ様に背中を洗って欲しいです!」


「童貞、我の背中もお願いするわ。 いいじゃない、変態にはご褒美でしょう?」


「これはご褒美なのか罰なのか分からんがこの際どうでもいいわ、お前らの背中の垢全部こそぎ落としてやるわ! どりゃぁぁぁっ!」


 あらぬ疑いをかけられそうになったが、何とか三人分の背中を洗い終わった後、ぐったりしながら牛乳を飲みながら、主から夕食の誘いがあるのでスーツやドレスを借りてテーブルに案内された。


「ごきげんよう、我がこの屋敷の主。 ヴァンパイアの『エリザベート・チィスゥタルネン』よ、私を倒しにきた勇者とやらはあなた達かしら?」


「いや、俺は勇者ではない。 賢者のチーギュウという者でここのヴァンパイアが魔王の手下の四天王だと聞いて討伐にきた…… ってお前が四天王かよ、メスガキぃ!?」

「そうよ、確かに我は四天王だが人間と争うつもりはない。 その証拠に魔王の人類侵略には手を貸してないし、我としてはこのような侵略行為には遺憾の意を示している。」


「そうか、いやでもお前は吸血鬼なんだから人間の血を吸わないと生きていけないんだろ? それはどうしてるんだ?」


「それは洞窟の外の人間に『幼女に首を噛まれて血を吸われるとかご褒美だよ!』とかいう変態がいるから月一で吸いに行っている。 ちなみに我は省エネなので命の危険が無い程度の血液量で月一でも大丈夫だ。」


「だが、噛まれた奴は吸血鬼とかにならないのか? そんな言い伝えがあるんだが……」


「それは吸血鬼が繁殖の代用として眷属を増やすために人間にエキスを注入して吸血鬼にしているだけよ、食事としての吸血には眷属を増やす効果は無いわ。 まぁ、童貞には分からないでしょうけど。」


「どどど、童貞ちゃうわ! なおさら話が見えないんだがなんで俺たちをもてなしたんだ?」


「我としては抵抗の意志は無いし、そもそも人類侵略より以前から人間と良好な関係を気づいてきたヴァンパイアとしては人類との共存を望んでいるという事を分かって欲しかっただけよ。 それにそもそも四天王としてこの地を頼まれた時の魔王は今の魔王からではなく先代の魔王からなのに何で武力しか取り柄の無い若造に我が従う理由がないわ。 そもそも挨拶もしないで何が『俺が今日から魔王だから雑魚は全員俺に従え! 従わない奴は殺す!』よ、ムカつくから使者の首を刎ねて丁重にお返ししたわ。」


「ヴァンパイア怖いだろ…… まぁ、こちらとしては争う理由がないな。 俺たちは残りの四天王を倒して魔王の討伐しにいくので引き続きここで人類との共存をしてくれ。」


 そう言うと俺と目の前の金髪ドリルツインテゴスロリ幼女は握手を交わし、夕食を楽しんだ後に再び旅に出ることにした。


「いやー、あの嬢ちゃんも魔族とはいえ話の分かる奴でよかったなぁ? チーギュウ?」


「そうだな、魔族全員があんな感じなら争いも無くなると思うけど人間みたいに色んな考えの魔族がいるからこそ討伐しなければならない時もあるんだよな。」


「それにしても温泉は気持ち良かったですね、あの時のチーギュウ様のテクニックが忘れられなくて…… 平和になったらまた行きましょうね?」


「変な事言うなよ! まぁ、そんなに気に入ったならたまにはやってあげてもいいけどな……」


「そんな事言って鼻の下伸びてるわよ、童貞? また皆で温泉というのも悪くはない選択肢ね、この戦いが終わったら秘湯巡りの旅に切り替えたらどうかしら? その方が我としても嬉しいのだけれども?」


「秘湯巡りか、いいな! その時は俺も馬車で旅したいな…… って、何でお前がいるんだよメスガキぃ!」


「あら、我がちょっと生意気なクソガキをシメるために残りの四天王と魔王をこの手でボコボコにする旅に同行してはいけないのかしら? それに我の事はメスガキじゃなくてエリぴょんかご主人様と呼びなさいって言わなかったかしら?」


「絶対に呼ばん! ていうか旅に同行するとか一言も聞いてねぇし! ていうか残りの四天王の場所分かってるんなら教えろよ!」


「まぁまぁ、チーギュウ様! 仲間が増えるのはいい事じゃないですか、これからよろしくお願いしますね、エリぴょん様?」


「せやで、これからはあんじょうよろしくやで。 エリぴょん!」


「あなた達にはエリぴょん呼びは許可してないのだけれども? まぁ、特別に我をエリぴょんと呼ぶことを許可します、それでは我と共に次の四天王の居場所である火山ダンジョンまでついてきなさい!」


 こうして新たにヴァンパイアのエリぴょんが仲間になり、次の四天王がいる火山へと向かう俺たちなのであった。 ていうか、そんなにキレてたんなら一人で討伐にいけばいいのになんで行かなかったんだコイツ? なんか忘れてる気がするけど気にしないで次の四天王もぶっ倒すぞ!


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