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ブサメンと賢者

魔王の城の近くの街では、屈強な冒険者たちが勇者のパーティに参加しようとはせ参じたり、高難易度ダンジョン探索や上級モンスター討伐の為にギルドに集まっていた。 もちろん、俺も仲間を集めてパーティを作らないといけないのだが、その前に勇者パーティの動向を探らなければバッタリ鉢合わせてしまうかもしれない。 もちろん、表立っては襲ってはこないが何かと危険な場所に向かわせて死ぬまでこき使われるのは明白だ。それだけは何としてでも避けなければならないし、新しく習得した魔法を使わないで死ぬのはごめんだ。 俺は勇者に見つからないようにギルドで冒険者登録をするために受付にいたお姉さんに声をかける事にした。


「ア、アノ…… ボウケンシャ登録シタインデスケド……」


「キモッ…… あっ、すみません。 冒険者登録ですね、ではこの水晶にステータスを登録するので手をかざしてください。」


 初見でキモイとは中々ご挨拶だな、女って奴は俺を見る度にキモイかグロいしか言わないからな、この程度慣れてるさ…… 若干腹は立ったが冷静さを保ちながら水晶に手をかざせば、ステータスが表示される。


『名前、チーギュウ・クッテソー。 年齢25才。 職業、賢者。 レベル75。 所持スキル、醜悪な顔面、女性恐怖症、無詠唱魔法、全属性魔法使用可、恋愛フラグ建築士一級、ロマンス得意、ムード◎、etc……』


 外に出しても恥ずかしくないスキルだが、受付のお姉さんが少々訝しんだ目で俺を見た後にこう言った。


「いや、その顔面で恋愛スキル盛ってもモテないと思いますよ。 どんだけモテたいんですか、童貞ですか?」


「どどど、童貞ちゃうわ! ていうかアンタ初対面なのにすげぇ失礼だな! 恋愛スキルはさっき持ったばかりだし、どう考えても全属性魔法が使えるとか無詠唱魔法の方が凄いスキルだろ!」


「いや、自分のスキルを自分で褒めてる時点でダサいし、どんだけスキルを持っててもこんな顔面の男に惚れるなんて無理…… ちょっと待って、総資産のところ10億ゲンナマって書いてあるけどこれもどうせ噓でしょ?」


「いや、俺の実家は貴族だから領地含めたらそれぐらいいくかな……」


「素敵! 抱いて!」


「まずは非礼を詫びろよ! ていうか、お前みたいな金持ってたらすぐに媚びへつらう奴が嫌いだからあんまり出自について話したくないんだよ! これだから女って奴は嫌いなんだよ俺は!」


「御大尽様これまでの非礼をお許しください、どうか命だけはお許しを…… あと、家に寝たきりの母と腹を空かせた弟がいるのでお恵みを……」


「いや、ステータス見たらお前の家、中産階級でそこそこ裕福じゃねーか! 金の為なら恥も外聞も無く媚びへつらいやがって! 金をやるから頭を上げろ!」


 俺は受付嬢に金貨を握らせながら頭を上げさせると、ある違和感に気づいた。 いつもならキモイだとか臭いだとかで俺の出自も能力も関係なく嫌われるのだが、今回はすんなりと権力に屈している。 恐る恐る受付嬢のステータスを確認すると、思わず目を疑った。


『名前、ローズヒップ・ライト。 年齢19才。 職業、受付嬢。 レベル5、所持スキル、掌返し、土下座、靴舐め、媚びへつらい、ご機嫌取り、ゴマすり。 備考、攻略対象。 ヒント、権威と金に弱いのでどちらかを持っていれば攻略は容易。 このキャラクターの好感度はMAXです、攻略が完了したので仲間に出来ます。』


 なるほど、これが禁断の魔法の力か…… ステータスを閉じると俺は冒険者登録とパーティ募集の手続きをしながら受付嬢に質問をする。


「ところで、最近勇者がパーティを募集してなかったか? 例えば賢者とか?」


「ええ、丁度昨日勇者様がいらっしゃいましてパーティの賢者が行方不明だから補充したいとのことでしたのでシズさんを紹介しました。」


「良かったら何処に向かったのかとか、シズさんの情報とか教えてもらえるかな?」

「流石に個人情報は漏洩出来ないです…… でもお金があったら思い出せそうかも……」


「しょうがねぇなぁ、後お前は絶望的にギルドの受付に向いてないから今すぐ辞めろ?」


 俺は受付嬢に金貨を握らせるとシズの情報と勇者の移動先を教えてもらうとギルドを探索していたラブコメノミホンと合流する。


「おぅ、随分時間かかったな? で、シズちゃんの居場所は掴んだんか?」


「色々あってな、居場所は分かったぞ。 どうやらこの街を出て次のダンジョンでレベリングしつつ魔王の手下の討伐に向かったらしい。」


「なるほどなー、で追いかけるんか?」


「当然だ、アイツらも気になるが魔王の手下が厄介だ。 魔王軍一の智将と言われているリッチの居城らしいからあの脳筋パーティが突入すれば罠にかかりまくって全滅だ。」


「勇者のパーティって脳筋なん?」


「あぁ、全員俺より知力が低い。」


「そら、大変やな。 で、今から追いつけるんか?」


「転移魔法を使えば追いつくどころか先回り出来る、問題はどうやってシズちゃんに近づくかだな。」


「そこはワイの管轄外やな、女の口説き方まで教えられる程経験が無いねん。 なにせずっと封印されてたしなぁ……」


「そうか、ところでラブコメノミホンって名前長いから略していいか?」


「ええで、ワイもいっつもラヴやんって呼ばれてたからラヴやんでええで!」


「じゃあこれからはラヴやんって呼ぶよ、ありがとうラヴやん。」


  ラヴやんとの会話を済ませると転移魔法を発動してダンジョンに先回りしておく。 透明化の魔法を俺とラヴやんにかけながらダンジョンを探索して、目ぼしい資源やアイテムをあらかじめ取っておいて兵糧攻めをしながら、勇者のパーティを待つこと数日。ようやく一行が現れたので隠れて様子を伺う事にする。


「ここがかのリッチが住まうとされているダンジョンだ、皆気を引き締めていこう!」


「今回はヒーラーが二人もいるんだからよっぽどヘマしなきゃ大丈夫だろ、なぁシズ!」


「シズさん、私がフォローしますから後ろから回復魔法や補助魔法をかけるのに専念してくだされば大丈夫ですからね?」


「は、はいっ! 皆さんの足を引っ張らないように頑張ります!」


 なんだアレは? 俺よりアタリがキツくないというよりむしろ優しいじゃないか、女だらけのパーティではあれが普通なのか? そう思っているうちにモンスターに見つかり戦闘になる、相手は野生のキマイラにガーゴイルが入り交じった混合部隊だ。 キマイラはちょっと硬くて素早いだけのモンスターだがガーゴイルは弱点である水魔法を当てないと硬い上に空を飛ぶ厄介なモンスターだ。 危なくなるまで手を出さずにいるつもりだがデビュー戦には荷が重いだろう。


「皆、ガーゴイルに気を付けつつキマイラを優先して数を減らすんだ! 誰か水魔法を使える者はいないか?」


「私がガーゴイルに水魔法を使うのでシズさんは援護して危なくなったらアタッカーに回復をお願いします!」


「わりぃ! 結構やられたから回復頼む! シズ、聞いてんのか!?」


「わっ、わっ、回復と攻撃の切り替えが難し…… ひぃっ!」


 分かってはいたが色々と酷いな、特にシズの魔法に関していては実践レベルに達していない魔法学校新卒並みの拙い魔法だ。 このままだと全滅だと思っていたが、流石は歴戦の勇者。 若干危なかったが、見事モンスターを返り討ちにしてしまった。

「おいシズ、オメーさっきの魔法回復量足りなかったぞ? 手ぇ抜いてたろ?」


「シズさん、先ほどは私の援護を頼んだ筈ですが、どうして私がキマイラに攻撃されたのでしょうか?」


「その…… すみません、まだ実戦経験があまり無くて……」


「まぁまぁ、皆生き延びたんだからいいだろう。 レベルアップもしたし、これから慣れていけばいいだろ?」


「ったく、勇者って奴はどうしてこうも甘ちゃんなのかね? 次から気を付けろよ、シズ!」


「今回は不問と致しますが今後このような事が無いように気を付けて欲しいものですね。」


「はい…… 足を引っ張らないように善処します……」


 女同士でもミスがあればこうしてネチネチと嫌味を言う辺り、こいつ等の性格の悪さが伺える。 一つのミスが命取りになるダンジョン探索とはいえ、連携も出来ていない新入りを連れてこんなところでレベリングするなんて自殺行為にも程がある。 戦闘を終えた勇者一行を追いかけると野営の準備をしているのが確認できたが、今まで男の俺に押し付けてきたせいでテントの張り方も火の起こし方も無茶苦茶でとてもじゃないがこの先やっていけるか微妙な雰囲気だ。


「じゃあ見張りは当然一番下っ端のお前だよな、シズ!」


「私は10時間以上寝ないと魔力が回復しないのであまり起こさないでくださいね?」


「何かあったら私を起こしてくれ、駆けつけるからな!」


「いや、勇者は一回寝たら絶対起きないからあんま信用するなよ? じゃーな!」


「はい、皆さんおやすみなさい……」


 結局、シズに見張りを任せたまま勇者たちはテントの中で寝てしまった。 俺も野営を押し付けられまくったので同情を禁じ得ないが、問題はどうやって接触するかだ。 そんな事を考えていると、シズが魔法の練習を始める。


「母なる大地の聖霊よ、我を護りし盾となれ! グランドイージス! 万物の庇護者たる女神よ、我と仲間の傷を癒したまえ、エリアヒール! ふぅ、戦闘中に詠唱するのは難しいなぁ…… 平時では詠唱できるのに……」


 なるほど、筋はいいな。 問題は戦闘慣れしてないから敵に襲われると焦って詠唱を止めてしまうクセさえ直せばすぐに成長できるんじゃないか? なら、俺が教えてやれば魔王討伐のメンバーの補助役ぐらいにはなれるだろう。 問題はどうやって教えるかだが、ラヴやんが俺の袖を引っ張って耳打ちする。


「あのお姉ちゃんの事、助けてあげたいなとか思ってるんやろ? ならこの顔面を隠すマスクを被って教えてあげたらええやん。」


「なるほど、ちょっと行ってくるわ」


 俺はマスクを被ると透明化を解いてシズの前に現れる。


「すみません、もしかして魔法職の方ですか?」


「ひゃあ! はい、そうですがあなたは……」


「私は一応賢者をやっているサンシュノー・チーズというものです。 よろしければ魔法の練習を見せてもらえますか?」


「はい、あのてっきりうるさいから怒られたのかと思いました…… ではチーズさんよろしくお願いします!」


 それからしばらく彼女の魔法の詠唱の仕方や敵に襲われた時の詠唱の続け方などをレクチャーしていると色々と世間話も出来るようになってきた。


「実は私、最近賢者になったばかりで…… それまでは遊び人として冒険者さん達の盛り上げ役としてレベルを上げてきたんですが故郷の母が倒れたと聞いて転職しようと思いまして…… それで頑張って資格とって賢者になったんですが、いきなり勇者様と一緒に旅をする事になったんですが敵も強いし私も未熟だしこれから先やっていけるかどうか……」


「筋はいいからこれから先修行を続けていけば、いい賢者になれると思うよ? 俺も君と同じような待遇の悪いパーティにいたけどある日、仲間に置いていかれてそれからはソロで活動してるよ。」


「お互い大変ですね、あの…… もし良かったらでいいんですけどこのダンジョンの攻略が終わったらチーズさんのパーティに入っていいですか?」


「そりゃあもちろんいいけど、勇者のパーティにせっかく入ったのに大丈夫?」


「いいですよ、私には実力が足りないですし…… それに給料はいいんですけど同じパーティの戦士さんや僧侶さんは当たりがキツイし勇者様は何も解決してくれないので…… それよりはもっと優しく丁寧に教えてくれる人と一緒にいた方がいいかなって……」


「それは辛かったね…… じゃあ早くダンジョン攻略して一緒にパーティ組もうか!」


「はいっ! その時はよろしくお願いします!」


  そんなやりとりもあって、しばらく野営の度に秘密の特訓をしながら回復魔法をかけて圧縮睡眠をしてレベリングをする日々が続いていたのだが、とうとうリッチとの戦闘をする時がきた。


「皆、気を引き締めていくぞ! リッチは強敵だからどんな外見でも決して見くびってはならないぞ!」


「おう! どんな奴でも全力でボコボコにするだけよ!」


「シズさん、最近はやるようになったけど油断しないように気を付けてくださいね?」


「はい、ずっと練習したので皆さんのお役に立てるように頑張ります!」


  もちろん、俺は透明化して戦闘の行方を観戦するつもりだが、シズの成長度合いによっては必要ないだろう。 そうこうしている間にリッチが現れるが、見た目はヨボヨボのミイラのお爺ちゃんといった感じで前情報が無ければ舐めてかかっていただろう。


「おい、ふざけんなよ! めっちゃ弱そうじゃねーか! 雑魚か?」


「これは…… ユニークな見た目ですが何をしてくるか分からないので十分に気を付けるように!」


「私は突貫する! 戦士は私のサポート、僧侶とシズは私と戦士に補助魔法をかけつつ、回復の準備! いいな、行くぞ!」


 勇者と戦士がリッチに向かって突っ込むも地面にあらかじめ仕掛けていた土魔法のトゲが二人を貫く。 勇者は間一髪のところで致命傷を避けたが戦士はまともにくらったのか動かなくなっていた。


「戦士が死んだ! 僧侶は蘇生魔法を! シズは僧侶の援護、私は突っ込む!」


「この馬鹿! なに死んでんのよ、私の仕事増やさないでよ! シズ、蘇生魔法は詠唱が長い上にMPを消費するから私を死ぬ気を守るのよ!」


「は、はいっ! グランドウォール!」


 シズが土魔法で僧侶と戦士を包んで守ると勇者に補助魔法をかけつつ雑魚モンスターと応戦する。 愛弟子の活躍に思わずガッツポーズをしてしまうが、リッチの魔法が徐々に勇者を消耗させて、遂に土魔法のトゲが四肢に刺さって天高く仰向けの状態で固定される。


「ひっひっひっ…… 若いおなごの悲鳴は最高じゃ~ これでいい酒がまた飲めそうじゃわい……」


「そんな、勇者様…… あっ、グランドウォールも破られちゃう…… 誰か、誰か助けて!」


 かなりヤバイ状況になってしまったが、幸い勇者も僧侶も俺を視認できる状況じゃないので助けることは出来る。 だが、今まで散々馬鹿にされてきた俺に助ける義理はあるのか? いや、俺は愛弟子を助けるついでにアイツらを助けるだけだ。 そう自分に言い聞かせると透明化を解除するとリッチの前に現れる。


「おい、干からびた死体。 火葬がまだみたいだから俺が燃やしてやるよ。」


「イキがいい若者がまた来たな…… なんじゃその被り物は!? そ、それはおなごのパンティーじゃないか!?」


「え、俺はパンティーなんか被って…… パンティーだこれ!」


 リッチに言われるまでパンティーを被ってシズの指導をしてたことにようやく気付く。 あの魔導書め、よくも俺に恥をかかせやがったな…… いつか燃やしてやる! それはそうとパンティーを外して改めてリッチと対峙する。


「どうした、パンティーの小僧? ワシを火葬するんじゃなかったのか?」


「パンティーの小僧じゃねぇ! 俺は…… お、お前に名乗る名前なんてない、魔族から人類を守る通りすがりの賢者だ!」


「いや、通りすがりの変態じゃろ! ここまでワシをコケにした人間は貴様が初めてじゃ、ワシの究極魔法で葬ってくれるわ! くらえ、究極魔法グランドゴーレム!」


 リッチが叫ぶと足元に巨大な魔方陣が発動して、地面が揺れると地割れが起こり、地面の裂け目から巨大なゴーレムが現れる。


「どうじゃ、この巨大なゴーレムがお主に倒せるか! 死ねー、パンティー仮面!」


「だからパンティー被ってたのは事故だ! お前が死ね、水魔法ミストサウナー!」


 俺は杖をゴーレムに向けると水魔法でゴーレムの身体を形成する土を泥に変えて機能停止させる。


「しまった、ケチって土を使ったせいで泥になってしもうた! こうなればロックゴーレムを召喚するしか……」


「させるか、炎魔法イフリートフレイム! 風魔法ガルーダハリケーン! 合体魔法フェニックストルネード!」


 炎を纏った風の鷲、伝説の霊鳥フェニックスを召喚するとリッチに突撃させるとなす術もなくリッチは燃やされる。


「ぎぇぇぇー! ぱ、パンティーを被った変態にやられるとは無念じゃー!」


「だからアレは気づいてなかったんだって…… そんなことよりシズは大丈夫か!?」


「はい、ですが先ほどの戦闘で勇者様と戦士様が…… それに僧侶様も蘇生魔法の影響で気絶してしまって……」


「なら俺が回復してやる。 それとリッチを倒したのは君にしておいた方がこのパーティの中でのいざこざが収まるだろ、そういう事にしておいてくれないか?」


「いえ、そんな事誰も信じないと思いますし…… それに私よりチーズ様の方がパーティに…… あっ!」


「君には気づかれてしまったか、それじゃもう会う事はないだろう。 元気でな?」


「待ってください! その…… せめてお礼を……」


「ずっと君の前でキモイ面の上にパンティーを被ってた男だぞ、お礼なんてとても受け取れないよ。 それでもお礼をしたいなら、俺が教えた修行をずっとやってほしい、そうすればきっといい賢者になれるよ。」


 俺はリッチを倒した後、勇者たちに回復魔法をかけ、ダンジョンを出て街に戻る事にした。

やはり街を拠点にして魔王城周辺を攻略した方が効率的だし、転移魔法があればその方が楽だからだ。


「なぁ、シズちゃんホントに勇者んとこに置いていって良かったんか? 大分ギスギスしてたやろ?」


「お前のせいでパンティーの変態だと思われたんだぞ、もう脈なんてないだろ?」


「それはもうなんべんも謝ったやろ? そんな事より新たな出会いや、ステータス確認しときや?」


「分かったよ、一応シズちゃんの好感度も見ておくか…… えっ、好感度MAXなんだけど!?」


「ほんまや、絶対嫌われたと思ったのになんでやろなぁ?」


 そんな事を言いながらギルドで朝食をとっていると受付嬢から呼ばれる。


「チーギュウ様、こないだのパーティメンバー募集の件ですけど見つかりましたよ?」


「本当か? それでどんな人なんだ?」


「レベル25の遊び人の方ですね、女の人だからバニーちゃんですよ? どっかで引っ掛けたんですか~?」


「いや、遊び人に知り合いはいないハズだけど…… せっかくだし会ってみるか。」


「そういわれると思って既に来てもらってます。」


 仕事が早いなと思いながら感心すると受付嬢に呼ばれたバニー衣装の女性に見覚えがあった。 あの長い黒髪の女性はずっと俺がパンティーを被っていたのにきちんと修行に付き合ってくれたシズその人だ。


「すみません、賢者のままじゃ勇者様のパーティから抜けられなくて…… それにこのままでも魔法の修行は出来るのでもしチーギュウ様がよろしければ旅に同行させてもらってもよろしいでしょうか……?」


「もちろんだよ! でも、ひとつだけいいかな? なんでずっとパンティー被ってた奴に修行つけてもらってたの?」


「それはそういう趣味なのかなって…… それに魔法の話をする時に目がキラキラしてたからそんなに悪い人じゃないのかなと思いまして……」


「そうか、なんか昔から魔法の事になると熱中して早口になっちゃうから迷惑だったらいつでも言ってね?」


「いえ、そういう目をしてる時のチーギュウ様が私は…… いえ、迷惑になったら言いますから気にしないでくださいね?」


「良かったやん、これからはワイら三人で仲良う旅しよや! さぁ、次は勇者パーティより先にダンジョン攻略や! 早よ行くで~!」


「あぁ、次はどんな事が待ち受けているか楽しみだな! それに頼もしい仲間も増えたし今までよりはずっと楽だな!」


「足を引っ張らないように頑張りますから、サポートはお任せくださいね?」


  新たな仲間が増えた俺たちのパーティは次の旅の準備をしながらシズの歓迎会としてギルドで飲み会をしたが、記憶が無くなるまで飲んでしまったのであまり覚えてないがシズは次の日もケロッとしていたので遊び人と飲むのは金輪際やめようと思った。 一体どんな酒の飲み方してんだアイツ。


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