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ブサメンと魔導書

  俺の名はチーギュウ、自分で言うのもなんだけどちょっとは名の知れた賢者だ。周りからは大賢者だとか百年に一人の逸材だとか言われているが俺としては周りより少し使える魔法が多いだけなのだが褒められる事自体は悪い気はしない。俺に非凡な才能があったおかげか王都に呼ばれ、勇者とそのパーティと共に魔王を討伐することになったのだが事件はラストダンジョン手前の最難関ダンジョンで起こった。


「分かれ道だな、チーギュウ。 ここからは二手に分かれて探索するが誰かチーギュウに着いていってくれる奴はいるか?」


「私は回復役なので勇者様と離れるわけには行かないですよね、戦士さんが行けばいいんじゃないですか?」


「なんでアタイなんだよ、こんな顔面オークと一緒に行動するなんて死んでもゴメンだね。 大体大賢者様なんだからソロでも大丈夫だろ、なぁ大賢者様?」


「アッ…… ソノ…… ジブンハソロデモダイジョブデス……」


「じゃあ私たちは右の道を進むからチーギュウは左の道を進んでくれ。 なにかあれば通信用の水晶で呼ぶといい、難しいと思うがなるべく早く駆けつけるから持ちこたえてくれ。」


 さっきの会話でも分かる通り俺の容姿は良くない、子供の時から顔面オークや魔法キモオタなどと呼ばれていじめられていたが、そんな評価を覆そうと魔法の勉強に励んで魔王討伐という大役を任されたのだが…… ここでもこんな扱いを受けるとは思わなかった。


 勇者は人格者ぶっているが俺の事が気に入らないのかすぐに別行動を取らせたがるし、回復役の僧侶は勇者に気があるのかべったりとくっ付いている。戦士に至っては明らかに俺の事を馬鹿にしたような発言ばかりで一緒にいると気分が悪くなる、正直こうして別行動を取っていた方が気は楽だ。正直昔から女という生き物は俺を見ると汚物を見るような眼を向けてくるので嫌いだし、実のところパーティメンバーは俺以外全員女だ。


 しばらく進むと魔物の住処らしき部屋にたどり着く。まずいことになってしまった、ここはいわゆるモンスターハウスという大量のモンスターが生息してる地帯だ。向こうは俺に気づいたのか数匹のモンスターがじっと様子を伺っている、暗がりでよく見えないがシルエットからみてゴブリンだろうか? 俺は松明を構えてゴブリンに狙いを定めて呪文を頭の中で唱える、いわゆる無詠唱魔法というもので並みの魔法使いでは低級魔法すら呪文を唱えないとまともに発動しない。こんな事が出来ても結局は顔面オークには人権は無いのだ、世の中は無常過ぎる。


 ゴブリンは突如自分の身体が発火したのに驚いてその場で火を消そうと転げ回るが俺の炎魔法はその程度では消えない。ゴブリンを灯り代わりにすればもっと多くのモンスターがこの部屋の中にいることが分かる。ゴブリンに飼われているキマイラ数匹の騎馬部隊やゴブリンシャーマン二人、この群れの長らしきゴブリンロード、多分長を倒せばこの手の群れは瓦解するだろう。俺は風魔法で火の手を更に燃え上がらせゴブリン達を動揺させると一気にゴブリンロードの元に駆け寄り、土魔法で生成した石の槍で装甲で覆われていない鎧の隙間を貫く。長が絶命したのをゴブリン達が視認すると我先に逃げ出すもモンスターハウスは冒険者かモンスターが全滅するまで破れない結界が貼られる。後は各個撃破して結界が解放されたのを確認すると先に進んで水晶を取り出して勇者に連絡を取ろうとしたが繋がらない。


「くそっ! アイツらここにモンスターハウスがあるのを分かってて俺を一人で行かせやがったっ! クソアマ共が生きて帰ったら復讐してやるからなっ!」


 ダンジョンの中で怒りのあまり水晶を投げて怒鳴る俺だったが、水晶を投げた先の壁にひびが入って向こう側が見えたのに気が付く。


「こんなところに隠し扉があるのか? またモンスターハウスだったら流石にヤバいけど、お宝だったら街に帰ったら高く売れるかな?」


 期待と不安が入り交じった気持ちで持っていた杖で壁のひびを広げていくと経年劣化で脆くなっていたのか簡単に人が通れる位の穴に広がる。中に入るとそこには古びた魔導書が一冊鎮座していただけで他に目ぼしい物は無いようだ。


「これは神聖文字か、大分古い魔導書みたいだけどこんなところに封印されてるんだからよっぽど他人に見られたくない内容らしいな。」


 よく見ると、いきなりページを開くと発動する即死魔法が付与されているらしく解呪して読み進めるとこの魔導書が約千年前に書かれた代物で、この本の魔法を習得すれば容姿に関係なく他人を惚れさせることが出来るらしい。


「ということは、この本の魔法さえ習得出来れば今まで顔面で不当な評価を受けていた俺の正当な評価をアイツらや世界に知らしめることが出来るって事か!」


「せやで、ワイの身体に書かれている神聖文字さえ読み解ければあんさんの顔面がオークだろうが何だろうが好感度上げれば惚れさせられる事が出来るんやで?」


「うわぁ! 本が喋った!」


 俺が本を読んでいると、突如本が喋り始めて思わず手から離してしまう。だが本は地面に落ちずにその場にフワフワと浮いて口のようにパクパクとページを開閉する。


「ただの本やないで、あの大賢者トキメキトキスが纏めた伝説の人心掌握魔法ラヴコメノミホン、その原本やで!」


「あの大賢者トキメキトキスの著書なら時を経て精霊になるのはあり得る事か、しかしなんでこんなところに封印されたんだ?」


「そら、時の権力者に悪い奴がおっての? そいつがワイを読んだ後にここに隠した挙句にワイに即死魔法までかけやがって…… そこに転がってるのが即死魔法に気づかずに読んで死んだ冒険者や、大体百年ぐらい前に上から降ってきてな?」


「うわ、野ざらしの骸骨とか久々に見たぞ…… 百年前といえば丁度冒険者ブームでダンジョン探索が流行ってたもんなぁ……」


「そんなしょーもないもんより、ワイもそろそろ外の空気を吸いたいからあんさんの冒険に着いていってもええか? 特別にワイ直々に魔法を教えてやるからな? あんさんも一々、神聖文字読み解いて解読するのも難儀やろ?」


「古代の禁断の魔法がそんな簡単に教えてもらえていいのか? まぁ、俺は今ぼっちパーティで仲間が必要だから猫の手も借りたいところだが…… 本と喋ってると顔面オークの変質者になってしまうのがな……」


「その辺はワイも人間の姿に変身できるから大丈夫や、むしろずっと本の状態だったから人間の姿で飲み食いしたいしな! ほら、よう見といてや!」


 そう言うと本の姿から褐色の幼女の姿になった魔導書が俺の手を引いてダンジョンの出口へと案内してくれた。なるほど、これなら確かに本と喋るキモオークではなくなるが逆に幼児誘拐犯になってしまうのではないかと別の心配が浮上する。それからは軽く魔法のレクチャーを受けて実践がてら最初の犠牲者、もとい攻略対象を決めることとなる。


「そら、出口やで。 それはそうとワイの魔法はもう習得できたか? まずはステータスを開いて、今攻略できる人間を探してみぃ。 大体の人間は攻略できると思うけど錠前みたいなマークの付いた奴は特殊なイベントやフラグを立てないと攻略できないから注意やな。」


「そうは言っても俺の交友関係にそんな人間がいるかな、ステータス確認っと…… なるほど勇者共は鍵が掛かってるな…… でもこの女の子は知らないぞ、名前はシズ、年齢は20歳で、現在地はこの先の街で、職業は賢者で所属が勇者パーティ!? アイツら俺の後釜を用意してたのか!」


「まぁまぁ、まずはそのシズって子を攻略しようやないか? 大丈夫や、ワイに全て任せたらええねん。 外の世界に解放してくれた命の恩人を騙すような本やないでワイは?」


「あぁ、例え俺を騙してるとしても感謝してるぜ。 お前に教えてもらった魔法で俺は勇者共のパーティに復讐したいからな、その第一歩として俺の後釜であるシズちゃんには悪いが全力で攻略させてもらうぜ。」


 こうして俺は怪しい魔導書ラヴコメノミホンと共に勇者のパーティを瓦解させるために、女性を攻略して自分のモノにする禁断魔法を行使する旅に出るのであった。


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