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いちいち格好いい超能力者


「まったくデブリってやつは迷惑だな。ちょっと予定航路がズレただけでこの惨事だぜ。運航士は本当に神経使うよな」


 確かに平面を運転するのとは訳が違う。


「それでも衝突の確率は低い筈なんですけどね……」


 じ、と改めてクロウを見る。シャトルにいるときは独り言の多い会社員にしか見えなかった。

 今は作業着姿が似合う、災害救助隊員だ。


「貨物船の方は本当謎だな。systemにバグがないとすると人的要因。だが航行要員が全滅だからなぁ」

「……心が痛みます」

 

 一緒にデータを見つめるアイフォが小さな声をおとした。

 その胸元で綺麗な指先がきちんと揃うと品がある。

 そうか、天使か。


「逃げ隠れしてて偶然巻き込まれたって? 災難だったが強運だったな天使さん。俺とエイトがいて、良かったな」

「はい。本当に、感謝します。まだドキドキしてます。それと天使じゃなくてアイフォ=アトューエルです」


 にっこりとしたアイフォに、どこかほっとした。

 そうだ。巻き込まれた彼女に事故原因がわかる筈がない。


「さて、さっさと仕事終わらせてきたから衛星大陸まであと2時間だそうだ。お前ら連絡先交換したのか? 折角なんだから繋がっておけよ」


 ニヤニヤすんな。

 なんとなく言い出せなかったのを言ってくれたのは助かるけど。


「アイフォ、フレンドリンク……いいかな?」


 パーソナルディスプレイを出して、ぽかんと固まっているアイフォに声をかけると、彼女も慌ててパーソナルディスプレイを出した。


「えっと、フレンドリンク……ごめんなさい、初めて登録するので、ちょっと待って下さい」


 まさか身内しか登録がないのか? リモートスクールを使ってたとしても1人や2人フレンドリンクすると思うんだけど、それは偏見か……かな。

 すぐにパーソナルディスプレイに登録先を見つけて無事にリンクができた。名前以外にアクセス許可がないけど。見た目天使だし、なんだかオンライン上のNPCみたいだ。


 そんなことをしてる間にクロウが麦茶のマグボトルを投げてきた。

 

「何にせよ、生き残り同士だ。幸運に乾杯。そして犠牲者に、献杯――――。」


 軽くボトルを掲げる彼に合わせて、受け取ったボトルを掲げる。

 こいつ、格好いい台詞がよくもスラスラ出てくるな。そもそも口数が多いせいか。


 

 到着予定の衛星大陸は本来の目的地だ。シャトルでの到着予定時刻をとっくに過ぎているけれど、着けただけ有難い。災害救助艦専用のゲートに着艦して降りてみると、事故情報を受けた報道と関係者が集まってきていた。

 俺の知り合いはない。初めてここに来たんだからな。

 ゲートの様子を眺めていると、アイフォが躊躇いがちにツンと服を引っ張ってきた。衛星大陸に着いてほっとするどころか、不安でたまらないような顔だ。


「……もしかして迎えがないのか?連絡はしたんだろ」

「ええ、あの……とっても忙しい人だから。エイトは?」

「俺はこっちに知り合いはいないんだ。今日移住してきたばっかりだからね。もし良かったら送ろうか?」


 そうだ。彼女は逃げて、あの貨物船に隠れていたんだ。

 事故があった時間から考えれば結構時間が経っているのに、この様子。

 ……何から逃げていた? まだ追われる可能性があるのか?



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