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人類は2周目に向けて突き進む  作者: 白山 いづみ


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14/25

オートカーが飛んで行った先


「ごめんね。大丈夫? エイト」


 オートカーの運航が安定したところで、アイフォが心配そうに覗き込んでくる。


「……あ、ああ。……Grand-systemに、こんな機能があるなんて……」


「物理事象は空間情報が構成してるわ。周囲の空間情報に少し干渉すれば、物理現象で出来ない事はほとんどない。ただGrand-systemの管理者権限がないと機能しないけれど……」


 ???!! 一瞬理解が追いつかない。なんだか突然ものすごい事を聞いた気がする。


 アイフォは、ふと口を噤んだ。そして、ゆっくり、言葉をおとす。


「あの事故は、私のせいなの」

「……貨物船が〔分解〕した、やつか」

「さっきの銃撃の人達。逃げた先の貨物船が発艦して、光学迷彩でも逃げ場が無くなって……私の持っている管理者権限を、あの人達に取られる訳にはいかなかった」


 事故現場を見せられ、原因解明にむけて遠回しに誘導尋問されても、本当になにも知らないように見せていた彼女が、簡単に口を開いていた。

 かくれんぼ的な可愛いものじゃなかったな。


「私のDNAアカウントは、Admin(システム管理者)。お父さんと一緒に、1年後から本格運用されるsystemの運用補正も担ってるの。ごまかしてて、ごめんね」

「いや……」


 こんなに簡単に話をしてくれる、ということは。


「エイト君。俺の可愛いアイフォと一緒に、世界を助けるつもりはないか?」


 イオウス=グラディウスの、すっげぇ良い笑顔。

 もう、笑うしかない。


「運転手でよければ」

「人類の未来へ、船を導け。若者よ」


 ギュンとオートカーが加速する。後部座席に押し付けられて、アイフォが抗議の声をあげていた。




――――――――――――――――――――

 Android-system open


 地球連邦 3th衛星大陸

 災害救助艦 イージスNo.09 宇宙災害部隊 外作業特殊要員

 クロウ=シュライサー

 29歳 出身:USA自治区 血液型:O型


 超能力現象について

 目撃情報多数あり・記録映像なし・医療関連機関に記録なし

 特色:《牽引》

 ・触れずに物質を引き寄せる

 ・一定の距離まで近づいて集中する必要あり


 同艦乗務員に同じ能力者の情報なし

 報告先『研究所』:地球連邦政府 中央機関 宇宙科学情報研究所

 政府機関からの反応なし

――――――――――――――――――――




「ここまでが、犯罪にならない範囲で確認した情報だ。こうしてみると『研究所』とやらで情報が途絶しているな。ふざけていると思っているのか、わざとなのか」


 そういう白衣の青年は、イオウスとそっくりだ。いや、ひとまわり若い。

 猫耳がその黒髪をふわりと飾り、白衣の下で黒い尻尾がゆらゆらと左右に揺れる。


「本当にこれしか情報無かったの? お兄ちゃんの情報力ならもうちょっと何かありそうなんだけど」

「まじでこれだけだ。それ自体が、不自然だと思うんだが、どうよ」

「そういわれると、わざと情報を遮断してるとしか聞こえないんだけど?」


 黒い猫耳尻尾と、白い翼の天使。

 この兄妹、並んで喋ってると、見た目がやばい。


 アスワド=カープ。アイフォの兄で、イオウス=グラディウスの長子だそうだ。

 研究員らしい同じ白衣に、可愛い系の顔立ちの兄妹。

 ……この世の天国か。

 

「systemの外にある情報は、開示して貰うしかない。無理にアクセスすればG社が連邦政府に喧嘩を売ることになる。いま社長が情報開示を打診してる所なのに、それを邪魔はできないだろ? まぁ、簡単に開示するとは思ってないけど」

「こちらからも関係者に確認しておきましょう」


 座れと言われたゲーミングチェアの背もたれに肩を埋めて、2人を見上げる。

 航行免許があっても、あのイオウスの危険運転には流石に酔った。


 まさかあのまま郊外の公道までぶっ飛ばすとは……。


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